大手企業にアプローチする際に押えておきたいポイント~基礎編~

アウトバウンドでの営業活動において、大手企業にアプローチする際、なかなかキーパーソンまで辿り着けない、受注にならないなど、悩みを抱えている営業パーソンが存在します。大手企業やエンタープライズ規模の企業に自社の商品やサービスの営業をするには、中小企業やベンチャー企業への営業活動とは異なるアプローチが必要です。

そこで今回は、大手企業へ営業活動を始める際に意識しておくべき基本的なスタンスやポイントをまとめました。

大手企業への営業活動はなぜ違うのか?

企業との取引は、人間関係の構築に等しいと言えます。すなわち、企業取引は定期的に顧客の組織内の人物と関係を築くことでもあり、それは長い購買サイクルの中で重要な役割を果たします。

大手企業と中小企業(SMB)を分ける主な要因は、やはり規模です。

大企業の購買サイクルには以下のような特徴があります。

・購買サイクルが長い(6ヶ月以上)

・利害関係者が多い

・リスクが高い

・交渉期間が長い

・契約金額が高い

一方、中小企業やベンチャー企業の購買サイクルはというと、

・購買サイクルが短い

・利害関係者が少ない

・リスクが低い

・交渉にかかる時間が短い

以上が挙げられます。

今後の営業目標の見通しを立てるためには、上記のような違いを認識する必要があります。たとえば、企業向けソフトウェアを提供する際に、大手企業はSaaSプラットフォームを利用することで大幅なコスト削減を期待しています。この際に従業員1,000人分を購入する場合、たとえば15人分を購入する中小企業と比べて、多額の資金が必要になります。このように、特に大手企業は購買活動においてリスクが大きいため、多くの意思決定者が購入プロセスに関与することになり、結果として購買サイクルは長くなるということです。

意思決定の仕組みを知る

取引を成立させるためには、意思決定がどのように行われるかを理解する必要があります。プロセスを理解していなければ、営業の進捗が遅れてしまうかもしれませんし、最悪の場合、取引自体が成立しなくなってしまうかもしれません。

組織はそれぞれ異なりますが、主に共通の構造が3つあります。

1つ目は、最終決定を下す唯一の意思決定者です。この人物は通常、CEO、役員、部門長ですが、会社の組織構造によっては、特別プロジェクトの責任者などになる場合もあります。これはいわゆる大手企業でも、ある程度規模の大きい企業でも同じです。

2つ目は、取締役会の承認を必要とする意思決定者です。意思決定者が取締役会に同意を得た後は、次の会議や検討のタイミングを待つ必要がありますが、他の業務の優先事項によっては、次のタイミングを待たなければならないこともあります。これは、銀行や保険などのコンプライアンスが重視されるビジネス等で特に顕著に見られます。

3つ目は、複数の意思決定者です。最終的な決定を承認する人が一人いたとしても、その人の意思はチームの決定や合意に大きく左右される可能性があります。

このように、必ずしもCEOや役員が中心となって意志決定がなされるわけではありません。大企業であれば、取引に影響を与える権限を持ったキーパーソンが社内に多数いるかもしれません。

大手企業にアプローチするために意識すべき5つのポイント

見込み顧客を知る

大手企業との取引を成立させるためには、徹底した事前準備が必要です。一番避けたいのは、十分な事前準備をしなかったために、見込み顧客からの興味を失ってしまうことです。そうならないために、企業や業界の情報を逐一確認出来るようにしておくことが重要です。そして、彼らの展望と現状のギャップを埋めるために、課題を発見出来るような適切な質問を準備しておきましょう。

また、企業の階層を知ることもその一環です。上述した通り、購買プロセスには多くの関係者が関わっており、彼らの職級や職種を知ることは大切なポイントです。たとえば、企業向けソフトウェアの購買サイクルでは、取引が成立するまでに平均7人の意思決定者が関与すると言われています。意思決定に関与する部署や個人を特定することは、購入プロセスを明確にする際に非常に役立ちます。

それに加え、ソフトウェアであれ、サイバーセキュリティであれ、ビッグデータであれ、ヘルスケアであれ、金融サービスであれ、自社の製品の業界と特徴、競合優位性を知りましょう。

これらの要素を熟知することで、トップセールスパーソンは、他では提供できない価値を見込み顧客に提供することができるのです。

信頼関係の構築

営業パーソンの評判が良ければ良いほど、企業との取引を成立させる上で大きな力となります。そこで、人脈作りに注力し自分の名前を知ってもらうのも一つの手段です。ソーシャルメディアで潜在顧客と交流したり、業界の会議やイベントに参加したりして、自分への信頼性を高めることが有効です。

関係を深めるためのもう一つのポイントは、商品やサービスをすでに使っていて、気に入ってくれている顧客を見つけることです。自社の製品のファンがいれば、そこから新たな顧客を生み出せる可能性が高まります。

また、直接的に意思決定者との話し合いが出来ないこともあります。大手企業との取引においては自身の相対していない相手企業の担当者と自身以外の担当者が同時進行で話している可能性があります。そのため、誰と誰が繋がっているかを把握しながら積極的に踏み込んでいくことが必要です。別担当が聞いていることを知らずに再度聞いてしまった、といった好ましくない状況に陥らないようにしましょう。

最適な戦略を選ぶ

販売方法には、いくつかの方法論があります。ここでは代表的なものをご紹介します。

SPINセリング:4つのステージ(Situation、Problem、Implication、Need)に分けて、それぞれのステージで適切な質問をすることに重点を置く。

※SPINセリングの詳細についてはこちら

チャレンジャー・セリング:B2Bセールスの著名人にちなんで名付けられたもので、営業担当者が積極的に会話をし、顧客を先導するスタイル。

ソリューション・セリング:お客様の最大の問題を見つけ出し、その解決策を販売すること。

バリューセリング:製品にどのような利点があるかを説明して販売する。

※バリューセリングの詳細についてはこちら

ターゲットアカウントセリング:一人一人の営業パーソンが特定のアカウントに集中して、それぞれの潜在顧客とより強い関係を築く。

何を基準にするかは、専門分野によって異なります。たとえば、企業向けソフトウェアの購買サイクルでは、自社のサービスがどれくらい業務効率化・コスト削減できるかを具体的に計算できるソリューション・セリングが効果的です。

自身が最大のセールスツールであることを忘れずに、チームにとって最も効果的な戦略は何かを考えましょう。

CRMやSFAを駆使し、きめ細やかなプロセスを確立する

現在、81%のセールスチームが、セールスプロセスをきちんと管理していないというデータがあります。

企業を見込み顧客の段階から成約まで導くために、再現性のある一連のプロセスを構築しましょう。典型的なプロセスの流れは、見込み顧客の開拓、ファーストコンタクト、企業のニーズの理解、製品の紹介、ボトルネックの解消、そして最終的にはクロージングとフォローアップです。

カスタマージャーニーの全体像を把握し、セールスプロセスを確立します。もちろん、セールスプロセスは定期的に見直し、変更を加えることが必要になってきます。

辛抱強く

忍耐力は企業へのアプロ―チにおいて必要不可欠なものです。特に、大手企業の購買サイクルは6ヶ月以上に及び、意志決定のあらゆる段階で多くの関係者が関わっているため、交渉する相手も多くなります。当然のことながら、複数の意思決定者を説得するには時間がかかります。

そこで、見込み顧客を定期的にフォローアップすることを徹底し、自社と顧客との関係を深めましょう。長期的な目標に集中し、必要な時間と努力を惜しまずに忍耐強く取り組むことで、より多くの企業への営業活動を実現することができ、成果にもつながるでしょう。

まとめ

今回は、大手企業へ営業活動を始める際に意識しておくべき基本的なスタンスやポイントをまとめました。

大手企業は購買サイクルが長くなることから、意志決定者の特定、適切な営業手法、顧客管理による中長期的なフォローアップが重要になってきます。

これから大手企業へ営業活動を実施していく場合は、上記のスタンスを押さえた上で活動されることをおすすめします。

本記事は以下のサイトをもとに弊社で編集・加筆させていただいています。

・Patel, Neil. “Sell to Large and Enterprise Businesses Using This 16 Point Checklist.” Neil Patel, 24 Jan. 2020, neilpatel.com/blog/sell-to-enterprise.

・Vladikder. “The Enterprise Sales Process: 5 Steps to Close Deals with Corporate Giants.” Revenue Grid: Guided Selling & Sales Acceleration Platform, 18 Feb. 2021, revenuegrid.com/blog/enterprise-sales-process.

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