大手企業にアプローチするために意識すべき5つのポイント
自社から積極的に働きかけるアウトバウンド営業では、大手企業へのアプローチの際に「キーパーソンまでたどり着けない」「なかなか受注につながらない」といった悩みを抱える営業パーソンは少なくありません。
大手企業やエンタープライズ規模の企業への営業は、中小企業やベンチャー企業へのアプローチとは異なるアプローチが必要です。
本記事では、大手企業への営業を成功させるために押さえておきたい基本的なスタンスとポイントをまとめています。これからの営業アプローチの参考になれば幸いです。
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| 【監修者】 |
セレブリックス営業総合研究所の所長兼セールスエバンジェリストとして、法人営業・購買・AI営業の最前線で研究や情報発信を行う。著書に『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』、『お客様が教えてくれた「されたい」営業』、『The Intelligent Sales~AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス~』などがあり、累計発行部数は10万部を突破。現在は取締役 執行役員CMOとしてマーケティング戦略や新規事業開発を牽引。営業プラットフォーム『YEALE』、『Japan Sales Collection』の監修や、Everything DiSC®認定トレーナーとしても幅広く活動している。 | |
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大手企業への営業活動はなぜ違うのか?
企業との取引は、人間関係の構築に似ています。顧客組織内の人物と継続的に関係を築いていくことが、長い購買サイクルの中で大きな意味を持ちます。大手企業と中小企業(SMB)の最大の違いは「規模」です。それにより、購買サイクルの特徴も大きく異なります。
項目 | 大手企業 | 中小・ベンチャー企業 |
上記表からもわかるように、営業目標の見通しを立てるうえで、こうした違いを正確に把握しておくことが重要です。
例えば、SaaS導入における投資規模やリスクは、1,000人規模の大手と15人の中小企業では大きく様変わりします。そのため、大手企業では多くの意思決定者が購買プロセスに関与することになり、結果として購買サイクルは長期化する傾向があります。
意思決定の仕組みを知る
取引を成立させるには、顧客企業の意思決定プロセスを理解することが不可欠です。プロセスを把握できていなければ、商談が停滞したり、最悪の場合は失注につながったりすることもあります。
組織によって構造は異なりますが、主に以下の3つのパターンが見られます。
① 単独の意思決定者
CEO・役員・部門長など、一人が最終決定を下すケースです。企業規模を問わず見られる構造ですが、特別プロジェクトの責任者が決定権を持つ場合もあります。
② 取締役会の承認が必要な意思決定者
意思決定者が取締役会の承認を得る必要があるケースです。次回の会議や検討タイミングまで待たなければならないため、時間がかかりやすく、銀行や保険など、コンプライアンスが重視される業界で特に多く見られます。
③ 複数の意思決定者
最終承認者が一人いても、その判断がチームの合意に大きく左右されるケースです。実質的な意思決定が集団で行われるため、複数の関係者への働きかけが必要になります。
このように、必ずしもCEOや役員だけが意思決定の中心ではありません。大手企業では、取引に影響力を持つキーパーソンが社内に複数存在することを念頭に置いておきましょう。
大手企業にアプローチするために意識すべき5つのポイント
大手企業への営業を成功させるには、中小・ベンチャー企業とは異なる視点と準備が求められます。ここでは、特に意識しておきたい5つのポイントをご紹介します。
見込み顧客を知る
大手企業との取引を成立させるには、徹底した事前準備が欠かせません。準備不足によって見込み顧客の興味を失ってしまうことは、何としても避けたいところです。それを防ぐには、企業や業界の情報を常に把握できる状態に整えることが大切です。そして、顧客の現状と目標のギャップを埋めるためにも、課題が引き出せる適切な質問を事前に用意してください。
また、企業の組織階層を把握することも重要です。前章でも述べたように、購買プロセスには複数の関係者が関与するため、それぞれの職級や職種を商談前に事前に理解しておくことが大切です。
例えば、企業向けソフトウェアの購買には平均7人の意思決定者が関与すると言われています。そこで重要になるのが、関与する部署や人物を特定し、プロセスを明確に把握して購買スピードを早める工夫です。
また、トップセールスであれば自社製品の業界特性や競合優位性の理解は欠かせません。これらを深く把握することで、他社には真似できない独自の価値を顧客へ提供できます。
信頼関係の構築
営業パーソンとしての評判は、大手企業との取引を成立させる大きな力となります。人脈作りに注力し自分の名前を知ってもらうのも一つの手段です。例えば、ソーシャルメディアで潜在顧客と積極的に交流したり、業界のイベントや会議に参加したりすることで、自身の信頼性の醸成につながります。
また、自社の製品やサービスをすでに気に入っている顧客がいらっしゃれば、関係を広げる方法として効果的です。なぜなら、既存のファンによる紹介は、新しい顧客を獲得しやすいからです。
大手企業との取引では、自分のあずかり知らぬところで、先方と自社の別担当者がやり取りを進めている場合があります。たとえ自分が意思決定者と直接やり取りできない場合でも、どの営業が誰とつながっているのかを常に把握しておく必要があります。情報の重複や行き違いを防ぐためにも、組織全体で連携して対応することが大切です。
最適な戦略を選ぶ
営業手法は日々進化を遂げています。特に近年はAIやデジタルツールの普及により、従来の手法に加えて新たなアプローチが注目を集めるようになりました。そこで、現在の大手企業向け営業において主流となりつつある代表的な手法をご紹介します。
【営業アプローチの体系:不変のメソッドと現代の攻略戦略】
対人営業フレームワーク |
組織戦略と最新テクノロジー |
どの手法が適切かは、扱う製品や専門分野によって異なります。例えば、ABSツールといえば、Salesforceの「Sales Cloud」や「 Account Engagement(旧Pardot)」などを想起する方も多いはずです。
自分自身が最大のセールスツールであることを念頭に置きながら、チームにとって最も効果的な戦略を選ぶことが大切です。
CRMやSFAを駆使し、きめ細やかなプロセスを確立する
大手企業営業の複雑な購買プロセスを管理するには、デジタルツールの活用が欠かせません。CRMやSFAの導入は、顧客情報や商談進捗の組織共有を可能にし、「属人的な営業」からの脱却を後押しします。
さらに生成AIを組み合わせれば、情報収集や資料作成といった準備業務を大幅に効率化できるでしょう。その結果、営業パーソンはより質の高い顧客対応に集中できるようになります。
確実な成約には、再現性のあるプロセスの構築が不可欠です。以下に、典型的な営業プロセスの流れをまとめました。
集客: 見込み顧客の開拓、初回コンタクト
提案: ニーズ把握、製品紹介、課題解消
成約: クロージング、フォローアップ
こうした一連のプロセスを、属人的スキルに頼らず組織の「仕組み」として定着させることが重要です。それが、持続的な成長を支える盤石な営業基盤の構築へとつながります。
辛抱強く顧客との関係を深める
大手企業へのアプローチには、忍耐力が不可欠です。購買サイクルが半年以上に及ぶことも珍しくなく、多層的な意思決定プロセスを経るため、成約までには相応の時間と労力を要します。
しかし、ここで求められるのは単に「待つ忍耐」ではありません。CRMやAIツールを駆使して顧客の動向を精緻にモニタリングし、「求められる瞬間」を逃さずフォローアップする戦略的な継続性が重要です。デジタルと人的対応を組み合わせた粘り強いアプローチが、最終的な成果につながります。
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まとめ
今回は、大手企業営業において意識すべきスタンスを解説しました。
中小企業とは異なり、大手企業攻略には「プロセスの複雑さ」を前提とした戦略が欠かせません。意思決定の仕組みを理解した上で、デジタルツールやAIを活用し、組織としての再現性を高めることが成功への近道です。
従来の「経験頼み」から「データ活用」へ。本記事でご紹介した5つのポイントが、皆さまの営業スタイルを見直すきっかけになれば幸いです。












