営業は知性と技術の世界へ。疲弊とサヨナラするためのアカウントベースドマーケティングの始め方。


セレブリックスは、10年ほど前まではいわゆる”ゴリゴリ”のセールススタイルで営業活動を行っていました。

基本的に新規営業はアウトバウンド(PUSH営業)中心で、1時間40~50コールを1日中行うので、多い人で1日360コールの活動量がありました。
営業メンバーも複数人いたので、全員がきちんとコールできるだけのリストを担保するのは難しく、チームの仲間と営業先が重複することもしばしばありました。

しかしそんなゴリゴリ営業を行っていると様々な問題が発生します。

『常にリスト不足で、毎晩異常な時間までリストをつくる』
『営業や受注の仕方も強引になり、結果として長続きしない』
『営業パーソンが疲弊して退職者が増える』

・・・もしかしたら、同様の経験がある方も多いかもしれません。


しかしそんな”ゴリゴリ”の営業を、”営業のプロ”を名乗る私たちがやってしまうと、営業職のイメージはどんどん悪くなり、「気合と根性があれば誰でもできる」という考え方から脱却できません。

このままじゃよくない、と営業改革を決心し、始めた取り組みのひとつが、Account Based Marketing(ABM/アカウントベースドマーケティング)です。

目次[非表示]

  1. 1.Account Based Marketingとは何か?
  2. 2.ABMを始めるために必要なもの
  3. 3.ホワイトリストの精度の高め方
    1. 3.1.①勝利しやすいリスト群
    2. 3.2.②ブランド作りリスト群
    3. 3.3.③効率重視リスト群
  4. 4.ホワイトリストの絶対数
  5. 5.ABMの秘伝のタレ。具体性と鮮度
  6. 6.アプローチの訴求力を高めるタイミングの捉え方
  7. 7.まとめ


※本コラムは、弊社今井のnoteを加筆修正した内容です。


Account Based Marketingとは何か?

アカウントベースドマーケティングとは、『特定のターゲット顧客(企業)を選び、その顧客からの売上を最大化することを目的とした営業・マーケティング活動』である

私たちセレブリックスでは、このように定義しております。

分かりやすく言うと、「数打てば当たる」という発想を辞めて、付き合いたい企業を狙い撃ちしましょうという考え方です。


ABMを始めるために必要なもの

ABMを行う上で重要となるのが「ホワイトリスト」と呼ばれるターゲットリスト(データベース)です。

ホワイトリストなくしてABMは“絶対に成功しないと言っても過言ではありません。

このホワイトリストを作る上で大切になるのが、「リストに入れる企業、入れない企業の判断軸を誰が作るか」という点です。

この判断軸の設定方法は2つです。

・ システム(専用サービス)に任せる
・ 人がやる

これだけです。

前者のシステムを活用するという点であれば、FORCASが有名です。
こうしたサービスが利用できるのであれば、人に依存されないリストをとても効率的に作ることができます。

では、人がやる場合はどうするのか、ABMのホワイトリストの作り方から、アプローチの方法までを解説いたします。


ホワイトリストの精度の高め方

ホワイトリストを作る上で先ずやるべきことはABMの「A」、すなわちアカウントを定めることにあります。
要は、狙う企業をどこにするか決める、ということです。

ABMの場合は、企業データベース会社から闇雲にリストを購入すれば良いわけではありません。
「選定基準」を設けてホワイトリストを作っていく必要があります。

その基準が下図になります。

図のように、「受注後・導入後も顧客に価値や満足を提供できる」ことが前提になる企業をリストアップする基準を持ちます。

加えて、さらに細かく選定基準をわけると、『①勝利しやすいリスト群』『②ブランド作りリスト群』『③効率重視リスト群』となります。

それぞれを解説すると

①勝利しやすいリスト群

先ずリストに入れる基準は、勝てるリスト群を意識します。

・提案をすると競合に勝利できるリストか?
・すぐに退会、解約されないリストか?リピートされるか?
このような対象です。

この場合、既に受注している企業やリピートしている企業の属性を調査して、横展開できる切り口をリストの選定基準にしていきます。

例えば、属性でいうと

企業規模/業種大分類/業種中小分類/営業品目/商圏/本社所在地/拠点数/売上/上場区分/人数/レガシーorベンチャー/設立年数・・・

このようなものが挙げられます。

一方、ニーズやタイミングの切り口で言えば

業績良好or不良/人数増員or減少/売上拡大ニーズorコスト削減ニーズ/市場拡大or市場縮小/規制緩和or規制強化/事業が追い風or向かい風/テクノロジー対応/エンゲージメント/ブランディング/トレンド・・・

代表的なもので言えばこのような選定基準を設けられる筈です。

②ブランド作りリスト群

ブランド作りリスト群とは「獲得出来たらその後の営業が有利になる」企業群のことです。

有名な企業や業界のトップ企業など、この企業を受注出来たら、同業界や同ニーズの顧客群を芋づる式で受注できるような影響力を持ったリストです。

こうした企業は、省労力で効果を最大化する<スマートな>営業のために絶対に押さえておきたいリストだと言えます。

③効率重視リスト群

最後の選定基準が「効率」です。
当然、新規で縁もゆかりもない企業に営業するよりも、接点のある企業に営業した方が労力をかけずに成果を出せる可能性があります。

対象リードの一例は下記となります。

過去取引顧客(休眠顧客)/過去のWEBリード(問合せor資料DL)/過去名刺交換リード(商談した企業/展示会やセミナーなどのイベント)

こうした、データは効率的にリストアップできますし、濃淡はあるものの一度は自社に興味もってもらった自社のことを知っている企業なので、商談の決着は早い可能性があります。

ただし、③の効率を判断基準としたリストや、それ以外でも言えることは、営業活動を繰り返す中で、失注したり商談が進まなくなったときに、しっかりとその理由と向き合い、ホワイトリストから除外する選定基準もブラッシュアップをすることが重要です。

このように、正しいターゲットにリーチできるようにリストを精査していくことを、リストの精度を高めると呼んでいます。

ホワイトリストの絶対数

下記は本当に参考程度ですが、セレブリックスの営業代行サービスにおけるホワイトリストの企業群を記載しています。

弊社の場合、1人のBDR(アウトバウンド営業専任者)がABMの活動を行っているため、リストは300~500になるようにメンテナンスをしています。

この数は企業によっても異なると思いますが、多すぎるとメンテナンスできなくなり、少なすぎるとやることがなくなりますので、バランスが重要です。


ABMの秘伝のタレ。具体性と鮮度

ABMを成功させる重要要因のひとつがリストの「具体性と鮮度」です。

作成したホワイトリストに、具体的なペルソナ情報(=具体性)を加えることで、接触率やアポイント獲得率を高めます。

鮮度というのは旨味のある旬な情報のことで、この2つを効果的にリストに付与することができるのが、SNSです。

例えば用意したホワイトリストに、Eightという名刺管理アプリを活用し、役職情報や横展開したい部門名を入れていくこともできます。

また、Twitter等で実名アカウントをフォローして、その企業やプロダクトの情報や困りごとを仕入れるのも一つの手です。
こうして、リストの味付けを行っていき具体性と鮮度を保っていくのです。

アプローチの訴求力を高めるタイミングの捉え方

リストができたら次は具体的なアプローチの説明に入ります。

ABMのアプローチで大切なことは、リストを絞り込む代わりに、ターゲット攻略にベストな機会を絶対に見逃さないということです。

では、ベストなタイミングとはどのように仕入れるのでしょうか?

一つは、直接的なコミュニケーションです。
営業パーソンが商談した時の対話内容、以前の電話で聞いた内容など、直接顧客とやり取りした、再アプローチの時期があるのであればそれに従います。

それ以外ですと、企業の変化をウォッチ&キャッチする仕組みを整えることです。代表的な取り組みが下図となります。

例えばGoogleアラートやSansanでリリース・ニュース配信時にアラートが来る仕組みを整えられれば簡単に情報をキャッチすることができます。

また、特定のリリースサイトにチェックに行ったり、ブランドになるリスト群の企業については、対象のWEBサイトを見に行ってしまうのが良いでしょう。

こうしたリストの下地作りがあってABMは成功に近づきます。


まとめ

ご覧の通り、ABMのアプローチは闇雲にアプローチする旧態依然の営業活動と異なり、非常にスマートで洗練された営業スタイルと言えます。

・・・と同時に、とても知性やテクニックが求められるポジションであり、仕入れた情報をもとに、高度な仮説を立て、企業を攻略するというクリエイティブさも求められます。

しかし、仕組みとオペレーションと攻略方法が整えば、ライバルよりも早く真のターゲットに出逢え、有利な条件で商談を進めることが出来るでしょう。

リードが多様化し、競合が増えた現在だからこそ、求められる取り組みなのかもしれません。

是非、ABMをはじめる際は、

ホワイトリストの、精度/絶対数/具体性/鮮度を意識して取り組んでい頂ければと思います。


コラムを書いた人

今井晶也

セレブリックスの主席エバンジェリストとして、営業に関する公演・講義を全国で実施。営業マネジメント等の組織に関するテーマから、具体的な営業テクニックやコンテンツ作りまで専門領域は多岐にわたる。代表的な取り組みとして、長野県中小企業振興センターと共に【製造業に向けた提案型営業の習得を目指した講義】や、宣伝会議が主催する【見込客を顧客に育成するセールスコンテンツ講座】等で講師活動がある。DiSCの認定講師資格を所持。

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