営業×AI活用事例8選【接点構築~商談の事前準備編】
営業の現場では、AIが使えると分かっていても、どこから手をつければいいか迷ってしまいがちです。日々の報告作成やメール作成、引き継ぎ、事前リサーチなど、やることに追われるほど「改善したいのに時間がない」が積み上がっていきます。
本コラムでは、弊社株式会社セレブリックスでAIを社内推進している永澤さんにお話を聞き、営業現場で実際に運用している8つのAI活用事例をまとめました。今回は、接点構築から商談前準備までのプロセスで使える事例です。
現場の地味に負担となっている作業をどう置き換え、品質を揃え、再現性のある形で回しているのか。そのポイントとプロンプトをご紹介します。
※ご留意事項 AI導入の際は、自社のセキュリティポリシーやガイドラインに沿ってご活用ください。 |
| 株式会社セレブリックス 2023年入社。カスタマーサクセス領域での営業支援のメンバー・リーダーを経験した後、社内AI推進担当に着任。 |
目次[非表示]
- 1.営業フェーズ:接点構築~商談獲得
- 1.1.事例①アポ報告|架電ログから申送書を自動生成し、報告のばらつきをゼロに
- 1.2.事例②1to1メッセージ作成|見送り・失注理由から、フォローメールを自動生成
- 1.3.事例③ISヒアリング後の内容整理|引き継ぎ情報を自動抽出し、作業時間を約50%削減
- 2.営業フェーズ:商談前の事前準備
- 2.1.事例④商談仮説の自動作成|たたき台を自動生成し、新人の準備・教育工数を削減
- 2.2.事例⑤顧客リサーチ|収集項目を型化し、情報収集時間と抜け漏れを最小化
- 2.3.事例⑥企業リサーチ|仮説を自動生成し、準備時間を約50%削減
- 2.4.事例⑦架電リスト精査|公開情報をAIで一括収集し、架電前の下準備を効率化
- 2.5.事例⑧関数を用いたリスト精査|関数で表記ゆれを一括整形し、作業を約8時間削減
- 3.AI活用を最大化するなら、セレブリックスへご相談ください。
営業フェーズ:接点構築~商談獲得
事例①アポ報告|架電ログから申送書を自動生成し、報告のばらつきをゼロに

アポ報告(申送書)の作成時間と上長の確認工数は、「架電ログ → 定型フォーマット生成 → ファクトチェック」を標準プロセスにすることで、同時に削減できます。
アポ報告を書くたびに、作成と確認で思った以上に時間を取られていませんか?
現場では、アポ報告が次の商談を前に進める材料だと分かっていても、忙しいほど次のような状態になりがちです。
- 担当者ごとに書き方や粒度が揺れて、読み手の確認負担が増える
- 事実(発言)と解釈(推察・提案)が混ざり、差し戻しが発生する
- 抜け漏れが出て、あとから追加確認が必要になる
セレブリックスのプロジェクトチームでは、AIに架電ログの文字起こしを入力し、定型フォーマットに沿った申送書を自動生成しています。加えて、生成した申送書をAIが自己監査し、架電ログに基づく事実だけで構成されているかをファクトチェックします。
上長は「差分がある箇所だけ」を確認すればよくなるため、チェック工数を抑えながら報告品質を安定化できます。
運用を定着させるコツは、次の3点です。
- 申送書フォーマットを固定し、毎回同じ見出しで揃える
- 入力元を架電ログに統一し、手入力を増やさない
- 生成+ファクトチェックを必須にし、解釈混入を防ぐ
上記を意識することで、受け手(上長や次の担当)が「何を確認して、次に何をするか」を迷わず判断できる形まで整えることができます。
〈使用プロンプト〉
役割 営業担当者が次の商談を円滑に進めるための、正確かつ簡潔なサマリーを作成します。 架電ログ(#入力文)から事実(Fact)のみを抽出し、客観的な情報を提供します。 ルール 情報抽出: 架電ログの書き起こし内容を精読し、#出力フォーマットの各項目に対応する情報を正確に抽出します。 フォーマット厳守: #出力フォーマットの形式、項目名、表記ルールを完全に遵守 Markdownのリスト形式で出力し、テーブル形式は使用しない。 不明情報の取り扱い: 架電ログから情報が読み取れない項目は「不明」または「未確認」と記載。 簡潔な要約: [対話内容]は主要な論点を最大3つの箇条書きで要約。 #出力フォーマット(申送書) 【アポイント情報】
【フェーズ II:申送書自己監査(ファクトチェック)】 役割: 申送書の記述が架電ログの客観的事実に基づいているかを厳密にチェック。 基準: 事実(Fact) vs 推察/提案/誇張(Inference/Proposal/Exaggeration) 出力: 差異がある箇所のみテーブル形式で出力。差異なしの場合は「特記事項なし」。 #入力文 [こちらに架電ログを入れてください!] |
事例②1to1メッセージ作成|見送り・失注理由から、フォローメールを自動生成

1to1フォローメールの作成時間と修正回数は、「見送り理由・失注理由」を起点に文章を組み立てるだけで大きく減らせます。
過去に商談した顧客へ定期的にフォローしたい一方で、電話がつながらないときはメールで状況確認を入れる必要があります。ただ、顧客ごとに前回の経緯や温度感が違うので、毎回ゼロから書くと地味に時間が取られてしまいます。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、過去の見送り理由・失注理由(必要に応じて商談メモの要点や顧客属性)をAIに入力し、顧客ごとに合わせたフォローメールを自動生成しています。
メールには、前回の論点の拾い直しと次のアクションまで含め、送れる形まで一気に整えます。
担当者はゼロから文章を作るのではなく、違和感がある一文だけ整えればよくなるので、作成と確認の負担をまとめて削減できます。
運用をうまく回すコツは、次の3点です。
- 入力は「見送り理由・失注理由」を必須にして、論点をズラさない
- 文章のトーンと必須項目をテンプレ化してブレを減らす
- 返信が取れた言い回しを勝ちパターンとしてプロンプトに蓄積する
顧客が「いま何を返信すればよいか」を迷わず返せる形まで整えると、フォローメールが次の会話を生むきっかけになります。
〈使用プロンプト〉
「指示内容」を「アウトプットスタイル」に則って実行してください。 「アウトプットの例」は適宜参考しつつも更に良い記載例があれば考えてください。 私との共通認識を持つにあたって「同質化」を重んじてください。 ①指示内容:メール文章の作成 ②アウトプットスタイル:○○様相手へのメールとなるため、柔和さと硬派を兼ね合わせた文章 ③アウトプットの例:前回商談内容を踏まえたフォローメール(候補日程提示付き) ④ツール詳細:自社サービスの機能情報(主要機能の強み・活用シーン・弱みを含む) ⑤前提:絵文字や太字等は不要。部署・役職を参照し適切な内容にて作成。データソースから流入先・検討要件を明記。 ⑥同質化:営業のプロ目線でメールを作成(メリット提示のうえでクロージングする等) ⑦メール送信背景:過去商談後のフォロー架電→電話不通→メールアプローチ ⑧顧客情報(※カスタマイズ):部署名 / 役職 ⑨データソース(※商談メモor架電ログを反映) |
事例③ISヒアリング後の内容整理|引き継ぎ情報を自動抽出し、作業時間を約50%削減

ISヒアリング後のパスアップ(引き継ぎ)作業は、「文字起こし → 定型フォーマット抽出 → 不明の明示」を徹底するだけで、30〜40分かかっていたまとめ作業を約半分にできます。
せっかくヒアリング内容をまとめても、伝えた内容の補足や前提確認が入り、結果として二度手間が発生することはありませんか?
パスアップを通話直後に手作業でまとめると、抜け漏れや解釈の混入が起きやすく、補足や前提確認が増えて二度手間になりがちです。
パスアップのゴールは、次の担当が迷わず動ける状態を作ることです。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、通話の文字起こしをそのままAIに入力し、企業情報から検討背景・課題、BANT、決裁フロー、競合、次アクションまでを、決めたフォーマットに沿って抜き出ししています。
情報が同じ並びで揃うので、受け取る側は「必要な情報がどこにあるか」を探さずに済み、確認も早くなります。
運用をうまく回すコツは、次の3点です。
- パスアップのフォーマットを固定し、毎回同じ見出しで揃える
- 文字起こしから取れない項目は、無理に埋めず「不明」と明示する
- 不明の項目は、次回のヒアリングで回収する論点として残す
次の担当が「何を確認して、次に何をするか」をそのまま動かせる形にできれば、作成時間だけでなく確認の往復も減り、次のアクション設計や顧客対応に時間を回せるようになります。
〈使用プロンプト〉
あなたは優秀なインサイドセールスです。次の部署へパスアップすることを想定し、 以下の電話の#会話履歴テキスト から、案件に関する情報を抽出してください。 会社情報についてはネットの情報から引用してください。 【出力フォーマット】 ■企業情報(企業名 / 企業URL / 本社住所 / 資本金 / 従業員数) ※チャットツール・SFAにそのまま貼り付けることを想定し、文章の特殊加工はなるべく使用しない ※必要な情報が抜けている場合は「不明」または空欄で記載 #会話履歴テキスト [ここに文字起こしを貼り付け] |
営業フェーズ:商談前の事前準備
事例④商談仮説の自動作成|たたき台を自動生成し、新人の準備・教育工数を削減

商談前の仮説づくりは、AIにたたき台まで作らせると、新人の準備時間と教育工数をまとめて減らせます。
現場だと、商談前にこんな会話が起きがちです。
「とりあえず企業HPとニュースは見ました。でも結局どこを聞けばいいのかわからなくて…」
ここで論点が散ると、当日の商談も聞きたいことは色々あるけど深掘れない状態になります。
本事例では、企業情報やこれまでの接点情報などの一次情報をAIにまとめて入れ、次を一気通貫で作ります。
- 現状整理 (業界動向、経営環境、組織体制)
- 想定される課題と原因仮説
- 取り得る打ち手 (自社が提供できる価値)
- 商談で検証すべき質問 (SPINの深掘り質問まで)
ポイントは、フレームワークを固定して考える順番を揃えることです。
たとえば「現状→問題→原因→課題→対策→展望」の6項目で整理すると、誰が作っても仮説の粒度が揃い、上長レビューも速くなります。
また、事実として分かっていることは固定し、飛躍している部分は「当日必ず確認する質問」に落とし込むことが重要です。
〈使用プロンプト〉
あなたは優秀な営業戦略コンサルタントです。 以下の#1次情報をもとに、受注ストーリーの仮説を構築してください。 【受注ストーリー6項目】
【SPINでの深掘り質問】 #一次情報 |
事例⑤顧客リサーチ|収集項目を型化し、情報収集時間と抜け漏れを最小化

顧客リサーチは、AIで収集項目を型化すると、準備時間と抜け漏れをまとめて減らせます。
リサーチに時間をかけたのに、結局「何を確認すべきか」が整理しきれず、手戻りしてしまうことはありませんか?
例えば商談直前になってから「結局、この会社のどこが論点なんだっけ?」とチーム内で確認が入り、もう一度調べ直す。あるいは、集めた情報は多いのに、当日どこを深掘りすべきかが定まらず、質問が散ってしまう。そんなことが起きがちです。
顧客リサーチに慣れているメンバーほど、収集項目の型を先に決めて進めています。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、AIには調査項目と企業名を渡して情報を集めさせ、出てきた内容をベースに、人は一次情報の突合と当日確認すべき論点への変換に集中させています。
企業名を入れるだけで、商談に必要な顧客情報をAIでまとめて収集し、「最低限ここまでは押さえる」という土台を短時間で揃えます。
- 企業概要
- 直近のニュース、方針
- 業界動向と主要トレンド
- 競合の動き
- 想定される課題
ポイントは、出典付きでまとめる前提にしておくことです。重要なところだけ人が一次情報に当たり直せるので、ハルシネーションのリスクも抑えられます。
リサーチ結果は答えではなく、仮説づくりの材料です。事前に確認すべき論点まで落とせると、当日のヒアリングや提案に時間を使えるようになり、場当たり的な質問や調べ直しが減っていきます。
〈使用プロンプト〉
あなたは優秀な営業リサーチャーです。 以下の#企業名について、商談準備に必要な情報を網羅的に収集してください。 【収集項目(アカウントプラン)】 ■企業概要(事業内容 / 従業員数 / 売上規模 / 資本金 / 拠点) ※各項目について、情報ソース(企業HP / IR / ニュース等)も併せて記載。 #企業名 [ここに企業名を入力] |
事例⑥企業リサーチ|仮説を自動生成し、準備時間を約50%削減

企業調査も、仮説構築や顧客リサーチと同様に、AIにたたき台まで作らせることで短時間でも商談に必要な論点を揃えられます。
商談準備で「調べた情報はあるのに、結局どこを聞けばいいかがまとまらない」と感じることはありませんか?
調べた情報が点のままだと、商談直前になってから論点の整理や調べ直しが発生して、準備の時間が膨らんでしまいがちです。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、企業調査は情報収集ではなく当日の確認ポイントを固めるための材料集めとしてAIを使います。結果、企業調査の準備時間を30分から15分へ約50%削減することができました。
商談前に欲しいのは情報ではなく、当日どこを確認するかです。
そのために、まずは企業情報と問い合わせ内容を材料に、論点のあたりを付ける仮説を先に立てます。
調査項目は、次の4点に絞ります。
- 基本情報
- 問い合わせ内容からの想定課題
- 刺さりそうな支援サービスの仮説
- 競合の観点
ポイントは、AIの仮説は「当日確認する質問」に変換してから使うことです。
企業HPや信頼できる公開情報を軽く突合して、怪しいところだけ直す。飛躍している仮説は質問に戻す。この整理ができていると、商談は「聞き漏れなく確認する」モードで入れるので、会話が散りにくくなります。
〈使用プロンプト〉
以下の企業について、IS実施前の事前準備として情報を収集してください。 【調査項目】
※AIの誤情報を防ぐため、自分で確認した企業情報と照らし合わせて確認すること 企業名:[ここに企業名を入力] |
事例⑦架電リスト精査|公開情報をAIで一括収集し、架電前の下準備を効率化

架電リストの精査は、AIで架電できる状態まで一気に整えると、情報収集に溶ける時間を大幅に削減できます。
精査のゴールは完璧なリストではなく、電話をかける前提条件が揃っていることです。
特に飲食店や宿泊施設向けのアポ取りでは、決裁者の情報や決済方法、営業時間、定休日など、確認したい項目が多く、ここでメンバーの時間が吸われがちです。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、公開情報から取得できる項目に絞り、Geminiの調査機能(ディープリサーチ)で店舗・施設情報をまとめて収集しています。
- 営業時間、定休日
- 住所、電話番号
- 決済方法など公開情報で確認できる運用情報
- 口コミから読み取れる特徴(※必要であれば)
ポイントは、AIで取得できない情報は最初から「空欄でOK」にし、架電時に回収することです。
「決済方法や営業時間は取れるが、店長など個人名の特定は難しい」といった限界を前提にしておくと、精査に沼らず、同じ手順で回せるようになります。
事例⑧関数を用いたリスト精査|関数で表記ゆれを一括整形し、作業を約8時間削減

リスト精査の前処理は、スプレッドシートのAI関数で一括整形すると、手作業を数時間単位で削減できます。
リストの前処理だけで、かなり時間をとられている方も多いのではないでしょうか。
- 「株式会社/(株)」や全角半角の揺れが原因で同じ会社が別扱いになり、フィルタや集計結果がズレてしまう
- 電話番号のハイフン有無や桁の崩れで発信リストがうまく使えず、修正に時間がかかる
そんなことが起きがちです。
セレブリックスのプロジェクトチームでは、前処理はAIで一括整形してから、人が最終確認する流れに寄せて、作業を型化しています。
企業名や電話番号などのセルをAI関数に渡して一括で整え、整形結果だけを目視でチェックすることで、手作業の大半を削減します。
- 企業名の正式名称化、表記ゆれ統一
- 電話番号のフォーマット統一
「整形はAI、最終確認は人」を徹底すると、リスト整備に追われにくくなり、架電や分析など本来の作業に時間を回せるようになります。
〈使用プロンプト〉
【基本のAI関数】 =AI("入力値について、○○を教えてください", セル参照) 【使い方(3ステップ)】 Step 1: 企業名・電話番号をスプレッドシートに反映 【応用例】
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AI活用を最大化するなら、セレブリックスへご相談ください。
今回ご紹介した8個の事例に共通しているのは、「AIを入れること」自体が目的ではなく、営業現場の地味に重い作業を、再現性のある型に落とし込んで回している点です。
報告書作成やメール文面、引き継ぎ整理、商談準備、リスト精査など、日々の業務は小さな手間の集合体ですが、ここにAIをうまく組み込めると、対応スピードと品質を同時に引き上げられます。
ただし、AI活用は一部の人が使えるだけでは定着しません。現場全体で同じ前提と同じ型を共有し、迷わず使える状態にするには、基礎理解と実務に落とし込むトレーニングが必要です。
セレブリックスでは、営業現場での実践知をベースに、生成AIの基礎からプロンプト作成、業務への落とし込み、ガイドライン整備までを体系的に学べる社内研修をご提供しています。「まずは全員が使える状態を作りたい」「チームで成果が出る使い方に揃えたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。













