はじめての営業同行を依頼する人の意識とマナー完全マニュアル

営業同行が決まったものの、「商談で何を見ればいいのか分からない」「どう振る舞うのが正解?」「とりあえず失礼がないようにしておこう」と感じたことはないでしょうか。

多くの新入社員(新人営業)は、営業同行を“商談の感覚をつかむ時間”だと思っています。もちろん、それも営業同行の目的のひとつですし、間違いではありません。ただ実際には、同行が決まった時点で、上司や先輩はあなたの仕事に対する取り組み方を見始めています。

本記事では、営業同行の目的、営業同行中に意識するべきマナーをまとめました。営業プレイヤーとしてイチ早く成長し、上司からも評価される営業同行のマナーをご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.営業同行に臨む2つの目的
  2. 2.上司や先輩に評価してもらえる、営業同行のマナーとは?
  3. 3.【プロセス別】営業同行で意識すべきマナーチェックリスト
    1. 3.1.前日までの事前準備
      1. 3.1.1.①翌日の商談情報を整理する
      2. 3.1.2.②身だしなみや服装の確認をする
      3. 3.1.3.③当日に使う資料の準備をする
      4. 3.1.4.④筆記用具のインク・残量チェックをする
      5. 3.1.5.⑤デジタル機器のアップデートと充電の完了させておく
      6. 3.1.6.⑥名刺は多めに予備を準備をする
      7. 3.1.7.⑦訪問先へのルートは事前に把握しておく
      8. 3.1.8.⑧電車の時刻を確認する
      9. 3.1.9.⑨訪問先の天気予報をチェックする
      10. 3.1.10.⑩現地到着時間を想定しておく
    2. 3.2.当日〜移動
      1. 3.2.1.①同行者との待ち合わせには、約束の10〜15分前には到着しておく
      2. 3.2.2.②タクシーを利用する際は、自分が助手席に座る
      3. 3.2.3.③スマートフォンの設定はサイレントモードに切り替えておく
      4. 3.2.4.④身なりの最終チェックはビルの外で行う
    3. 3.3.受付〜待機
      1. 3.3.1.①受付対応を誰がするのか相談しておく
      2. 3.3.2.②入館後の事前準備をする
      3. 3.3.3.③その企業に関わるすべての人へ丁寧に挨拶する
      4. 3.3.4.④応接室への入室とドア操作は率先して行う
      5. 3.3.5.⑤荷物(鞄)は床に置く
      6. 3.3.6.⑥部屋に通されたら、基本は出入口に一番近い席(下座)の横に立つ
      7. 3.3.7.⑦待機中も気を抜かない
    4. 3.4.商談中
      1. 3.4.1.①名刺交換はお互いに役職が高い人同士から順番に行う
      2. 3.4.2.②飲み物の扱いや細かい所作に気を付ける
      3. 3.4.3.③お客様や上司が重要な話をしたタイミングではリアクションをとる
      4. 3.4.4.④発言の境界線を守る(発言に割って入らない)
    5. 3.5.商談後
      1. 3.5.1.①商談が終わったら、自分の荷物を素早くスマートにまとめる
      2. 3.5.2.②エレベーターに乗る際は上司を奥へ促し、自分は操作盤の前に立つ
      3. 3.5.3.③顧客やすれ違う方、同行者へのお礼を徹底する
  4. 4.成長が速い人は、話し方ではなく「意図」を見ている
  5. 5.商談後に顧客解像度を高める3つの質問例
    1. 5.1.①事前準備の仮説を答え合わせしたいとき
    2. 5.2.② 商談中の軌道修正の意図を知りたいとき
    3. 5.3.③事前準備の想定と、実際の商談がズレた理由を知りたいとき
  6. 6.まとめ:営業同行を「信頼とスキル」を掴む機会に変えよう

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営業生産性を向上させる 139のチェックリスト


営業同行に臨む2つの目的

営業同行には、明確に2つの目的があります。

ひとつは、商談の感覚を掴むこと。
もうひとつは、同行した上司や先輩にとって特別な存在になることです。

営業同行は、ただ元気に挨拶ができればOK!ではありません。商談当日の事前準備から商談が終わった後まで、上司や先輩は「またこの人と一緒に行きたいと思えるか」「この人は信頼できるのか」を、しっかり見ています。

つまり、営業同行は単なる見学ではなく、部下としての価値を示す場(部下力)であり、評価を取りにいく場と捉えておきましょう。

上司や先輩に評価してもらえる、営業同行のマナーとは?

例えば、営業同行の移動中をイメージしてみてください。「次はどっちの道ですか?」といった上司任せの人より、「次はこの先を右です!」と自ら案内できる人のほうが、やはり安心感があります。

これは営業経験の差というよりも、受け身ではなく主体的に仕事に向き合っているという”信頼感”を感じるからです。

また、受付や待機中の振る舞いも、信頼に関わります。受付の方への挨拶、資料の準備、座るタイミング。こうした細かい部分に、その人の仕事への向き合い方が出ます。営業同行では、そういったあなたの振る舞いも見られています。

【プロセス別】営業同行で意識すべきマナーチェックリスト

ここからは、以下の5つのプロセスに沿って営業同行マナーをご紹介します。

  • 前日までの事前準備
  • 当日〜移動
  • 受付〜待機
  • 商談中
  • 商談後

前日までの事前準備

①翌日の商談情報を整理する

商談の基本情報を整理し、前日までに同行する上司や先輩へメッセージ等で共有しておきましょう。事前に自分の仮説や目標を伝えておくことで、上司側も「どこを指導すべきか」の目線が合い、当日の同行が何倍も有意義になります。

また、商談直後は上司も次の予定で忙しいことがあるため、「事後の壁打ち(振り返り)の時間」も前日の段階でチャット等でジャブを打っておくのがスマートです。

【同行者への事前共有メッセージ例】

件名:【明日〇〇様同行】商談情報と目標のご共有

〇〇課長、お疲れ様です。明日の同行、どうぞよろしくお願いいたします。
事前に商談情報と、私なりの調査・目標を整理しましたので共有いたします。

会社名: 〇〇株式会社

訪問時間: 14:00〜15:00

集合場所・時間: 〇〇駅 改札前に13:45集合

顧客情報・事前調査:

  • (調べた情報①)直近で〇〇のプレスリリースが出ている
  • (調べた情報②)当社の〇〇(製品・サービス)に関連しそうな課題は〜〜

明日の私の目標:

  1. 商談の全体の流れ(時間配分や展開)をつかむ
  2. お客様の困りごとや現状を理解し、顧客解像度を高める
  3. 〇〇課長の商談時の「言い回し」や「受け答え」を学ぶ

なお、もし可能であれば、商談後に10分ほど「なぜあの質問をしたのか」などのお話を伺う、振り返り(壁打ち)のお時間をいただけますと幸いです。
明日はどうぞよろしくお願いいたします。

商談の事前準備に活用できるプロンプトは以下の記事で紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

②身だしなみや服装の確認をする

服装選びのゴールは、小洒落ることではなく、同行者やお客様に「この人と一緒なら安心だ」と思わせる清潔感と信頼感です。

基本は男女問わず、無難なセットアップのスーツスタイルが間違いありません。もし訪問先の社風がカジュアルで迷う場合は、事前に「明日の服装はスーツでよろしいでしょうか?」と同行者にすり合わせておくと安心です。

前日までに、以下のディテールを必ずチェックしておきましょう。

スーツ・シャツのシワ

前夜に必ず確認し、シワがあればアイロンを。時間がない場合はシワ取りスプレー等で応急処置をしておきます。

足元と小物の意識(男性)

革靴とベルトは「黒」で統一します。靴下は、椅子に座った際にすねが見えないよう、黒のハイソックスを選ぶのが鉄則です。

爪の長さ

名刺交換や資料を指し示す際、指先は想像以上に見られています。短く清潔に整えておきましょう。

ハンカチは2枚持つ

「自分の汗・手拭き用」と「予備(またはお手洗いで手を拭いた後、綺麗な状態でポケットに入れておく用)」の2枚体制がスマートです。

口臭・エチケットケア

昼食後のニオイ対策として、ブレスケアやタブレットをカバンに必ず忍ばせておきます。

③当日に使う資料の準備をする

商談の進行を裏で支えるのも、同行する若手の重要な役割です。「資料が足りない」「データが開かない」といったトラブルで商談の腰を折らないよう、以下のポイントを徹底しましょう。

印刷形式の事前確認

そもそも印刷が必要か、画面投影かを確認します。印刷する場合は「カラーか白黒か」「両面か、2in1(1枚に2スライド)か」など、同行者のこだわりや社内ルールを事前に確認しておきます。

部数は「参加人数 + 1〜2部」の予備を

お客様の急な同席に備えて予備は必須です。ただし、企業のコスト意識によっては「余らせすぎるのはNG」とされる場合もあるため、+1〜2部が目安です。

資料は絶対に「裸」で持たない

印刷した資料をそのまま持ち運ぶのは厳禁です。折れや汚れを防ぐため、必ず綺麗なクリアファイルや、自社のロゴ入り封筒などに入れてスマートに持参します。

スライド投影でも予備データを準備しておく

万が一、同行する上司のPCがフリーズしたり、接続トラブルが起きたりしても商談を止めないよう、予備のデータを自分のPCや共有ドライブにも必ず入れておきましょう。

④筆記用具のインク・残量チェックをする

商談中にメモを取る際、インクが掠れたりノートのページが足りなくなったりすると、それだけで準備不足な印象を与えてしまいます。前夜に必ず残量を確認しておきましょう。

また、キャラクターものやチープに見える使い古したペンは避け、ビジネスシーンに馴染むシンプルでスマートなものを用意します。

⑤デジタル機器のアップデートと充電の完了させておく

スマホやPCの充電を100%にするのは鉄則ですが、意外な落とし穴が「PCの自動アップデート」です。商談の真っ最中に突然再起動が始まってフリーズしないよう、前日夜のうちに手動で最新状態に更新しておきましょう。万が一に備え、モバイルバッテリーもカバンに必須です。

⑥名刺は多めに予備を準備をする

名刺は切らすことのないよう、現在の保有枚数を確認し、多めに予備を用意しておきます。名刺入れのベースとなるデザインや色に悩んだら、どんなビジネスシーンでも悪目立ちせず、誠実な印象を与える黒やネイビーを選んでおけば間違いありません。

⑦訪問先へのルートは事前に把握しておく

移動の時点で「自分が上司をナビゲートする」という意識を強く持ちましょう。

現地までの乗り換えや最寄り駅からのルート、ビルまでの地図は事前にインプットしておくのが鉄則です。上司の後ろをただついていくだけでは、ビジネスパーソンとして良い印象は残りません。

少しでも不安な場合は、地図アプリのストリートビューなどを使って事前に「エア訪問」し、実際の道順を頭に叩き込んでおくと当日の立ち振る舞いが格段にスマートになります。

⑧電車の時刻を確認する

移動スケジュールは、電車の遅延などのトラブルを見越してしっかりと余裕を持って組みましょう。万が一の事態が起きた際、焦らずに別ルートを提案できるかどうかで、ビジネスパーソンとしての信頼度は大きく変わります。

また、事前に同行者の商談後の予定までスケジュールを把握しておくのがポイントです。「〇時〇分頃にこの駅の電車に乗れれば、課長の次のご予定に間に合います」と即座に応えられる準備をしておくだけで、上司からの評価は一気に高まります。

⑨訪問先の天気予報をチェックする

前日や当日の朝には、必ず訪問先の天気予報をチェックしておきましょう。「急な雨でスーツや髪型が台無しになる」「大事な提出資料が濡れてしまう」といった事態は絶対に避けなければなりません。降水確率が低くても、カバンに折りたたみ傘を常備しておくのがビジネスパーソンの嗜みです。

また、雨だけでなく気温の確認も欠かせません。特に猛暑日は、駅から急ぎ足で歩くと汗だくになり、到着後の身だしなみや清潔感に影響します。最高気温が高いと分かっている日は、汗をかかないようあえてゆっくり歩く時間を考慮して、スケジュールにさらに5〜10分の余裕を持たせておきましょう。

⑩現地到着時間を想定しておく

訪問先に到着するベストなタイミングは、相手の業態や環境によって異なります。一般的なオフィス訪問であれば「10分前」に現地(ビルの下や受付近く)へ到着するのが目安です。

一方、一般のお客様や利用者が行き交う施設や店舗などへの訪問であれば、あまり早く行きすぎると現場の負担になることもあるため、5分前程度の到着が望ましいでしょう。

いずれにしても、何分前に受付を通るべきかは事前に同行者に確認し、すり合わせておきます。また、到着直後の汗や身だしなみをサッと整える「クールダウンの時間」も考慮して、ゆとりを持ったスケジュールを逆算しておきましょう。

当日〜移動

①同行者との待ち合わせには、約束の10〜15分前には到着しておく

同行者(上司・先輩)との待ち合わせには、約束の10〜15分前には到着しておくのがマナーです。

待機している間、スマホをいじってダラダラ過ごしたり、壁に寄りかかったりするのは厳禁。いつ上司に声をかけられてもいいよう、背筋を伸ばし、いつでも動ける状態で待機しましょう。上司の姿が見えたら自分から進んで駆け寄り、元気よく挨拶をして気持ちよく当日をスタートさせます。

②タクシーを利用する際は、自分が助手席に座る

タクシーでは「運転手の後ろ」が最も目上の人が座る上座となります。そのため、乗り込む際には上司に先に乗車するよう促し、自分は手前の「助手席の後ろの席」に座るのがマナーです。後部座席からでも、運転手へ行き先を分かりやすく伝え、スムーズにナビゲートをサポートしましょう。

また、目的地に到着してからカバンをゴソゴソと探して焦らないよう、あらかじめ財布やスマートフォン(電子マネー)をすぐ出せる位置に準備しておきます。降車時の支払いを素早くスマートに済ませるまでが、同行する若手の重要な役割です。

③スマートフォンの設定はサイレントモードに切り替えておく

訪問先に向かう移動の段階で、スマートフォンの設定を「バイブレーションもオフ」の完全静音モード(サイレントモード)に切り替えておきましょう。

「マナーモードにしているから大丈夫」と油断しがちですが、静まり返った応接室や重要な商談の最中、カバンやポケットの中で響く「ブーブー」という振動音は想像以上に目立ち、商談の集中を削いでしまいます。アラーム設定なども含め、音が一切鳴らない状態を事前に作っておくのが確実です。

④身なりの最終チェックはビルの外で行う

ネクタイの曲がりや髪型の乱れ、スーツの埃、靴の汚れなどの最終チェックは、必ず訪問先のビルに入る前(最寄り駅のトイレや屋外)に済ませておきます。

ビルのトイレには、これから商談するお客様や、その企業の社員の方がいる可能性があります。そのため訪問先が入っているオフィスビルの共有トイレで長居し、鏡を占領して身なりを整えるのはNGです。「ビルへの敷地内に入った瞬間から、すでにお客様に見られているかもしれない」という緊張感を持って臨みましょう。

受付〜待機

①受付対応を誰がするのか相談しておく

ビルに到着する前に、受付対応を同行者(上司や先輩)と自分のどちらが行うかを必ずすり合わせておきましょう。

基本的には若手である自分が率先して行うのがスムーズですが、上司のこだわりや企業のルールによって異なる場合もあります。初めての同行でない場合は、移動中などのタイミングで「本日の受付対応は、ぜひ私にやらせてください!」と自発的に申し出る意気込みを見せましょう。その一言があるだけで、上司も安心して受付を任せることができます。

②入館後の事前準備をする

受付を済ませた直後は、入館から名刺交換へスムーズに移行するための「次の準備」を素早く行うことが大切です。

まず、受付で入館証を渡されて首から下げる際は、ストラップの紐がねじれていたり、カードが裏返っていたりしないかを必ず確認してからセキュリティゲートを通りましょう。こうした細部への目配りが、だらしなく見えないための重要なポイントになります。

また、相手と対面した瞬間に慌ててしまわないよう、名刺入れはカバンの奥にしまい込まず、あらかじめスーツのポケットなど取り出しやすい場所に忍ばせておきます。さらに、名刺入れのフタ部分(外側)などに自分の名刺をあらかじめ4〜5枚挟んでおくのがおすすめです。このワンアクションをしておくことで、お客様の前に立った瞬間に、1秒で迷わずスマートに名刺を差し出せる状態を作ることができます。

③その企業に関わるすべての人へ丁寧に挨拶する

受付のスタッフ、応接室へ案内してくれる方、お茶を出してくださる方など、担当者以外のすべての「顧客接点(タッチポイント)」において、常に愛想良く丁寧に対応しましょう。

「おはようございます」「お世話になります」「ありがとうございます」といった基本的な挨拶やお礼は、相手の目をしっかりと見て、明るくハキハキと伝えます。また、同行者が挨拶やお礼を述べたタイミングには、自分もタイミングを合わせて自然に声を出し、深く会釈をすることが大切です。

担当者だけでなく、その企業に関わるすべての人への敬意を示すことで、会社全体の好印象に繋がります。

④応接室への入室とドア操作は率先して行う

案内された応接室に入る際、ドアの開閉やノックの操作は自分が率先して行います。

ノックの回数はビジネスシーンの基本である「3回」です。「失礼いたします」とハキハキとした声で発声しながらドアを開けましょう。ドアを開けたら自分がドアを静かに押さえる(または先に少しだけ入ってドアをキープする)などして、まずは上司を先に室内へと通します。上司に続いて自分が中に入ったら、後ろ手に閉めず、相手に背中を向けすぎないよう意識しながら静かにドアを閉めます。

⑤荷物(鞄)は床に置く

カバンは自分が座る椅子の横(または足元)の床に置くのが鉄則です。空いている椅子の上や、机の上に置くのはNG。床に置いたときにクシャッと横倒しになるとだらしなく見えてしまうため、床に置いてもパッと立つ「自立するバッグ」で臨むのがビジネスのマナーです。

また、持参した資料をはじめから机の上に置いて待つかどうかは、事前に同行者に確認しておきます。机の上に置く・置かないのどちらであっても、一番大切なのは、お客様が着座しいざ資料を配るというタイミングで、もたつかずにサッとスマートに差し出せる状態を作っておくことです。

⑥部屋に通されたら、基本は出入口に一番近い席(下座)の横に立つ

入室から着座までのわずかな時間にも、ビジネスパーソンとしての所作の美しさが表れます。

部屋に通されたら、基本は「出入口に一番近い席(下座)」の横に立ちます。上司を部屋の奥の席(上座)へと自然に促し、相手企業の担当者から「どうぞお掛けください」と勧められてから、上司の後に続いて静かに着座しましょう。

また、椅子に座る瞬間に、ジャケットのボタンをスマートに外します(※男性のシングルスーツなどの場合)。ボタンを留めたままだと、胸元や背中に不自然なシワが寄って見栄えが悪くなってしまうためです。そして商談が終わり、立ち上がるタイミングで再びサッとボタンを留める。この一連の動作が自然にできると、非常に洗練された印象を与えられます。

⑦待機中も気を抜かない

相手企業の担当者が部屋に現れるまでの数分間も、決して気を抜いてはいけません。いつ誰が入ってきてもいいように、以下の意識を持って待ちましょう。

待っている間にスマートフォンを触ったり、部屋のインテリアや掲示物をキョロキョロと見回したりするのは厳禁です。背筋をピンと伸ばし、両手は膝の上に置いて、落ち着いた姿勢で静かに待ちます。

また、案内された後、椅子に座って待つか、それとも相手が来るまで立って待つかは、同行する上司や先輩の動き(または事前の指示)に合わせます。上司が立ったまま待つ姿勢をとった場合は、自分も即座に起立し、相手が入室してきた瞬間にすぐ挨拶ができるよう準備しておきましょう。

商談中

①名刺交換はお互いに役職が高い人同士から順番に行う

名刺交換は、その場の状況を見ながらタイミングを合わせて自然に行うことが大切です。遠慮しすぎてモタモタするのも、逆に出しゃばりすぎるのも良くありません。

基本ルールとして、名刺交換はお互いに役職が高い人同士から順番に行うのが鉄則ですので、まずは上司同士が交換する流れを見守ります。ただし、上司が相手の全員と交換し終えるのをただボーッと待つ必要はありません。上司が相手の最上位役職者との交換を終えて次の人へ移ったら、自分もスムーズに相手の最上位役職者の前へ進み、全体の流れを止めないように名刺交換を行っていきましょう。

いただいた名刺は、お客様が座っている席次と同じ通りに自分の机の上に並べます。その際、相手の中で最も役職が高い方の名刺の下に自分の名刺入れを敷き、「座布団」の代わりにすることで敬意を表すのがマナーです。他のメンバーの名刺については、名刺入れには載せず、机の上に直接きれいに並べるようにしてください。

②飲み物の扱いや細かい所作に気を付ける

商談中に出される飲み物の扱いや姿勢など、細かい所作はお客様からしっかり見られています。こうした細かな部分にこそ、その人の仕事への向き合い方や配慮が表れるため、油断せずに正しい振る舞いを意識しましょう。

まず、出された飲み物は、お客様から「どうぞ」と勧められるまで口をつけないのが基本です。さらに言えば、勧められた後であっても、隣にいる上司が先に口をつけるのを待ってから自分も飲むようにすると、より確実でベターな選択と言えます。また、飲み物のタイプによって商談終了時の対応が異なる点にも注意が必要です。

ペットボトルや缶で提供された場合は、飲み切れず余ったとしてもそのまま残さず、自分のカバンにしまって持ち帰るのがマナーです。一方で、湯呑みやグラスで出されたお茶などの場合は、最後にしっかり飲み干してから退室するのが、用意してくださった相手への礼儀となります。

③お客様や上司が重要な話をしたタイミングではリアクションをとる

商談中にメモを取ることは大切ですが、ずっと手元や画面を見たまま下を向き続けていると、熱意や関心が伝わらず「ただの記録係(作業員)」に見えてしまいます。

お客様や上司が重要な話をしたタイミングでは、必ず顔を上げて相手の目をしっかりと見つめ、深く頷くなどのリアクションを挟むようにしましょう。しっかりとアイコンタクトを交わすことで、話に共感し、真剣に耳を傾けているという姿勢をお客様に示すことができます。

また、お客様の話だけでなく、隣で上司が話している時も「深く頷く」「真剣に聞く」姿勢を示します。チームとして上司の話に説得力を持たせるための大事な演出です。

④発言の境界線を守る(発言に割って入らない)

同行者という立場である以上、商談中は基本的に聞き役に徹するのが鉄則です。上司の話を遮るように「あ、ちなみに〜」と勝手に割り込んで発言するのは避けましょう。

もしどうしても補足したい重要な情報がある場合は、上司の話が一段落したタイミングを見計らい、「〇〇の補足になりますが、1点よろしいでしょうか」と上司にアイコンタクトを送って許可を得てから、スマートに話し始めるのがマナーです。

商談後

①商談が終わったら、自分の荷物を素早くスマートにまとめる

退出の合図があったら、自分の荷物を素早くスマートにまとめます。メモのゴミや消しゴムのカスなどを机に残さないのはもちろんのこと、使った椅子は引いたままにせず、静かに元の位置(机の下)へ戻してから立ち上がります。

そして応接室を出る直前、ドアの手前でもう一度しっかりとお客様の方へ振り返り、「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。失礼いたします」ときれいな姿勢でお辞儀をしてから部屋を退出しましょう。

②エレベーターに乗る際は上司を奥へ促し、自分は操作盤の前に立つ

エレベーターに乗る際は、上司を奥へ促し、自分は操作盤(昇降ボタン)の前に立ちます。お客様が見送ってくださっている場合は、お礼を述べながら「閉」ボタンを押し、ドアが閉まるタイミングに合わせて深くお辞儀をします。

また、エレベーター内には他社の人間や同じ会社の別の社員が乗ってくる可能性があるため、移動中に顧客情報や不用意な雑談を口にするのは厳禁です。もし1階の入り口まで見送っていただいた場合は、自動ドアなどを出た外の敷地内で改めて振り返り、最後の一礼を丁寧に行いましょう。

③顧客やすれ違う方、同行者へのお礼を徹底する

入館時と同様に、お客様のオフィスにいる間は、廊下やロビーなどで担当者以外の社員の方とすれ違った際にも、必ず軽く会釈をしたり「こんにちは」と挨拶を交わしたりして道を譲る気配りを忘れないようにしましょう。

また、同行してくれた上司や先輩に対するその後のフォローも非常に重要です。オフィスビルを出て敷地から完全に離れた段階で、まずは「本日は同行いただき、ありがとうございました」と改めてお礼の挨拶を伝えます。その際、お客様へのお礼メールを自分と上司のどちらが送るべきかもその場で確認しておくと、その後の動きがスムーズになります。

さらに、その日の終業時あたりまでに、同行への感謝に加えて「今日の商談で得た学びや感想」をまとめたメッセージを上司に送りましょう。この迅速で丁寧な一通があるかどうかが、上司から「また次回も一緒に連れて行きたい」と思われるかどうかの大きな分かれ道になります。

同行者へのお礼メッセージの例

〇〇課長、お疲れ様です。〇〇(自分の名前)です。

本日はお忙しい中、〇〇株式会社への商談にご同行いただき、本当にありがとうございました。本日の同行を経て、自分なりに感じた学びと感想をまとめましたので、共有させていただきます。

【本日の学びと気づき】

顧客の課題深掘りについて
事前調査では「〇〇の導入」ばかりに目を奪われていましたが、〇〇課長がお客様の「人員不足による運用の手間の懸念」をヒアリングで引き出された瞬間を見て、顧客解像度がグッと高まりました。提案ありきではなく、まずは相手の運用のリアルを知ることの大切さを学びました。

切り返しの言い回しについて
お客様から「予算が厳しい」と言われた際、すぐに値引きの話をせず、「他社様では〇〇のコストを削減して予算を捻出されるケースが多いです」と切り返されていたのが非常に勉強になりました。次回から私もこのトークを取り入れてみます。

【今後のアクション】
本日〇〇課長の商談の流れや受け答えを間近で拝見し、全体の時間配分の感覚も掴むことができました。次回は前半のヒアリングパートを私がリードできるよう、まずは今回の議事録と顧客情報の整理を本日中に完了させます。

改めまして、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします!

成長が速い人は、話し方ではなく「意図」を見ている

見出し「前日までの事前準備」のところで、

商談直後は上司も次の予定で忙しいことがあるため、「事後の壁打ち(振り返り)の時間」も前日の段階でチャット等でジャブを打っておくのがスマートです。

と書きました。なぜ壁打ち相談の時間が必要なのかを解説します。

成長が速い人は上司の綺麗な話し方を真似しようとするのではなく、発言の裏にある「意図」を観察しています。

例えば、営業同行をした人の中には「ありがとうございました」だけで終わる人もいれば、「あの質問って、どういう意図だったんですか?」と聞いてくる人もいます。

後者の人は、上司の営業トークを真似しようとしているのではありません。「なぜその質問をしたのか」「なぜそこを深掘ったのか」とった背景を理解しようとしています。なぜなら、商談中に行われていた上司の質問の意図の裏には、「顧客が今どういう心理か」「どこに本当の課題があるか」という上司なりの見立て(仮説)が必ず隠されているからです。

つまり、顧客理解を学ぼうとしているのです。テクニックだけでなく顧客理解の観点でも質問ができる人は、自然と成長が速くなります。

商談後に顧客解像度を高める3つの質問例

営業同行が終わった後、気になったことを質問をするのは重要です。

しかし、「なぜあの質問をしたんですか?」とただ聞くだけでは、上司に「自分で考えていないのかな」「コミュニケーションコストがかかるな」と思われてしまう可能性があります。

大事なのは、「自分なりの気づきや仮説(背景)」と「質問」をセットでぶつけることです。

質問の例を3つご紹介します。

①事前準備の仮説を答え合わせしたいとき

背景(自分の意見)

「後半の〇〇に関する質問ですが、私は事前準備の段階でお客様は××に課題があるのかなと予想していました。」

質問

「あえて〇〇のテーマを深掘りされたのは、何か別の見立てや確信があったからでしょうか?どのような仮説を持たれていたのか、ぜひ勉強させてください!」

② 商談中の軌道修正の意図を知りたいとき

背景(自分の意見)

「〇〇の話で盛り上がっていたところから□□の質問に切り替えられた際、私は『このまま話を広げるのかな』と思って見ていました。」

質問

「あえてあのタイミングで会話の軌道を修正されたのは、どのような判断や意図があったのでしょうか?」

③事前準備の想定と、実際の商談がズレた理由を知りたいとき

背景(自分の意見)

「事前の調べでは、お客様の課題は〇〇(売上減少や業務効率など)にあると予想していたのですが、実際の商談では□□の話がメインになっていました。」

質問

「商談の途中で『今日のメインテーマはこっちだな』と切り替えた判断の基準や、お客様のどの反応を見て見立てを変えられたのか、ぜひ教えてください!」

聞いた質問は、ドキュメントやノートにメモするようにしましょう。

先輩や上司から学んだ判断軸は貴重な営業ノウハウです。今回聞いた回答と合わせて自分の実践知を付け加えることで、チームの成果を高める質の高いマニュアルを作成できます。

まとめ:営業同行を「信頼とスキル」を掴む機会に変えよう

営業同行は、単なる見学ではありません。お客様の反応、空気感、会話の流れ、上司がどこで深掘ったか。そういった、“顧客解像度”を高める場です。

そして同時に、「この人は一緒に仕事がしやすいか」という、上司からの信頼を獲得するチャンスでもあります。良い案件の紹介、追加同行依頼、相談機会の創出。これらは営業成績だけではなく、あなたの日々の振る舞いの積み重ねで、少しずつ増えていきます。

営業同行の時間を、ただ“見る時間”で終わらせるのか。それとも、顧客理解を学び、上司との信頼構築の時間にするのか。その違いが、後々の成長速度に大きな差を生むはずです。

ぜひ次回の営業同行から今回ご紹介したマナーや質問を実践してみてください。


あわせてお読みください
本記事と合わせて、営業生産性を向上させる 139のチェックリストをご覧ください。新規開拓で生産性を向上させ、成果を高めるためのチェックリストです。セレブリックスが独自で生み出したメソッド「顧客開拓メソッド」から内容を抜粋し、営業パーソンや営業組織がもつべき基本的なスタンス、起こすべき行動から、実際の営業活動で実施すべき項目までまとめています。
営業生産性を向上させる 139のチェックリスト

髙田 冴夏
髙田 冴夏
【市場開発本部 ブランド・マーケティング統括室 マーケティングプランニングGr コンテンツスタジオ】 2022年6月入社。セレブリックスの営業ナレッジメディア「Sales is」の専任Webライターとして、3年間にわたり数百に及ぶ営業ノウハウの記事化に従事。現在はメルマガ執筆に加え、MAツール(Account Engagement)を用いた顧客コミュニケーションの自動化やCRM設計を担当。「営業の言語化」と「データに基づいた施策」の両輪で、顧客体験の最適化を追求している。

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