New Normal 時代の営業メソッド【シン・セールス理論】~「この人から買いたい!」を実現するセールスプロセスの再構築

 

従来の営業活動が変わる、大きな変革の時が来ました。

これまでは「お客様に会って話を伺い、それを起点として情報提供をしたり提案をしたりすることで購買判断をサポートし、購買を促す」という流れが一般的でした。しかし、テレワークが浸透してきたことで、購買者はそもそも出社しておらず、会いたくても容易に会うことができません。このような事態において、従来の考え方では、営業活動をまともに行うことは困難です。

我々セレブリックスは、今を「営業のNew Normal(ニュー・ノーマル)時代の到来」と捉えています。しかも、この変化は不可逆的で、おそらく元に戻ることはないでしょう。

そして、営業のNew Normal時代に必須となるのが、セレブリックスが新たに提唱する「シン・セールス理論」です。
営業活動にどのような変化が起きたのかをご説明するとともに、シン・セールス理論について解説します。

 

 

 

New Normal時代における購買者の変化

 

購買者のNew Normal その1
「比較・検討して買う」から「信じられる人から買う」へ

 

コロナ禍である現在、先行きの不透明感が増し、消費判断が鈍くなる中でありながら、SEOやコンテンツマーケティングの名のもと、雑多なコンテンツが量産され続けています。

また、よく似た商品やサービス、ウェブサイト、店舗が多すぎて、比較するポイントがわかりづらいことも少なくありません。加えて、リモート作業に不慣れな営業からオンライン商談を受けた場合、商品・サービスの良さや提案内容が伝わってこない場合もあります。

 

このような状況において、購買者は徐々に比較・検討するのが面倒になり、「モノを選ぶこと」に疲れてきています。購買者は、自分で比較・検討することをやめ、信用している人との会話を通じて、その人がすすめるモノを買うという購買モデル、「会話経済」に移行しようとしています。

価値ある情報を届けてくれると信用している人からモノを買うということは、これまで面倒に感じていた情報収集や比較・検討などのプロセスを飛ばして、一気に商品選定に進むことができるということです。

 

 

購買者のNew Normal その2
「まず会う」から「必要な時にだけ会う」へ

 

これまでは、「ご説明に伺います」または「とりあえず説明に来てくれる?」から話が始まり、営業が一度も訪問しないで商談を進めることは失礼だという認識が一般的でした。しかし、New Normal時代の現在は、人同士が直接会わないほうが、むしろ常識になりつつあります。

 

人と会わない、または会えない状況になったとき、購買者は会わなくても購買の判断をする必要に迫られたことで目利き力が備わり、会わないことに対する耐性もつきました。今では、直接会うことはむしろ、迷惑だと感じられる場合もあります。

 

このような状況が、「まず会う」から「必要な時にだけ会う」へと、発想の転換をもたらしています。

具体的には、現場視察や実物の確認、意思決定という大詰めの場面など、対面がふさわしい場面に限って営業と直接会うことになります。

 

 

購買者のNew Normal その3
求めるのは「情報提供者」ではなく「相談相手」

 

ワークスタイルがリモートワークになり、コミュニケーションはオンラインが中心に移行しつつあります。そして、ウェブサイトやホワイトペーパー、事例集などで情報が簡単に入手できるようになりました。

また、オンラインによるイベントや勉強会に参加すれば、購買者は自分たちでみずからの課題や解決策に気づくことができるようになります。やがて、AIをはじめとするテクノロジーが発達すると、購買者自身による合理的な意思決定を支援するようになってくるでしょう。

 

このような状況において営業に求められる役割とは、情報提供者ではありません。「気づかせてくれる人」です。

購買者の状況や理想、課題に対して、正しい「問い」を与えてくれる「相談相手」なのです。

 

課題に対するベストアンサーが必要なら、AIなどのテクノロジーのほうが正確にサポートしてくれます。購買者が人である営業に求めるのは、商品や解決策を活用した相談相手という役割です。営業は購買者に対して、「本人も気づいていない潜在的な課題を気づかせてくれる人」になります。

 

 

New Normal時代における営業の変化

続いて、営業する側の変化についてです。New Normal時代では、購買者の変化とともに、売り手=営業の常識も変わります。

 

 

営業のNew Normal その1
営業のプロセスが変わる

 

従来の分業モデルが示した分業・協業モデルは、営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、セールス、そしてカスタマーサクセスの4つに分解しました。The Modelは、4つの役割を明確にした上で、各プロセスがしっかりと連携することで、営業全体のパフォーマンスを最大化するという考え方です。

 

しかし今後は、このような考え方が成り立たなくなります。なぜなら、インサイドセールが1つのプロセスではなく、ほかのプロセスでも適用される機能や役割に変わってきているからです。

 

例えば、すでにセールスによるオンライン商談が盛んに行われ、カスタマーサクセスでの利用促進やアップセールス、そして定着化も、今ではオンラインが主流に行われています。それぞれのプロセスでインサイドセールスの手法を用いた施策が実施されており、もはやセールスプロセスの1つとしてインサイドセールスを捉えることの意味が失われつつあります。

 

このような背景により、従来のセールスファネルを中心として管理するThe Model型営業が、必ずしも有効に機能しなくなります。これからはファネル中心ではなく、ウェブやSNSなど、チャネルごとに営業プロセスやコミュニケーションを構築しなければ、自社のセールスモデルが成立しなくなるのです。

 

 

営業のNew Normal その2
コミュニケーションのとり方が変わり、難度が上がる

 

営業プロセスで用いられる顧客とのコミュニケーションのとり方は、多岐にわたります。

チャットボットやダイレクトメールの一斉送信、イベントでのプレゼンテーションといった一方通行なコミュニケーションから、One to Oneメール、電話、オンライン商談、対面商談といったインタラクティブな要素を持つコミュニケーションまでさまざまです。これからは、これらの中から非対面の手段を巧みに組み合わせて、高度化していく必要があります。

 

また、New Normal時代では、顧客は「信じられる人から買う」とご説明しました。しかし、非対面のコミュニケーションでは、顧客の表情の変化や反応などが読み取りにくくなり、インタラクティブなコミュニケーションの難度は上がります。

 

 

営業のNew Normal その3
人材リソースの前提が変わる

 

働き方や人材が多様化し、従来では常識だったものがイレギュラーに変化しています。働く場所や時間は人それぞれになり、ワークライフバランスという考え方も営業に取り入れられ、仕事として行動できる時間も制限されるようになっています。時間内にいかに仕事をやりきらせるか、人材リソースの確保が課題となります。

 

さらに、数字にコミットさせる難しさもあります。競争しない世界で生きてきた人、断られることへの抵抗感が強い人などが増え、彼らは営業活動の中で必要以上に傷つく傾向があります。働き方の価値観が変化し、容易に転職という選択肢を取りやすくなりました。営業が必ずしも社員である必要もなく、業務委託や副業という働き方で関わりを持つ場合が増えています。

その上で、テレワークの普及により、遠隔からスタッフをマネジメントしなければならない難しさも加わります。

 

 

シン・セールス理論とは「この人から買いたい!」と相手に思わせるような購買体験を作り出すこと

 

購買者のNew Normalとして会話経済が成立するようになると、いかに信用される人間になるかということが営業として重要になってきます。また、オンラインでのコミュニケーションが常識になり、「会って話をすれば何とかなる」という考え方が成り立たなくなります。

リモート環境であっても、いかに良好な人間関係を築いて顧客から信頼されるようになるか。そこで重要になるのが、「この人から買いたい!」と相手に思わせるような購買体験です。

それを実現させるためのメソッドが、シン・セールス理論なのです。

 

 

 

 

 

シン・セールス理論を用いて描く営業プロセス「シン・セールス ジャーニー 」

New Normal時代の会話経済に即した、「この人から買いたい!」を実現するためのメソッド、シン・セールス理論。これを実践するためには、営業プロセスを作り変える必要があることはこれまで述べたとおりです。

自社の営業プロセスをシン・セールス理論の考え方に沿って再構築し、New Normal時代にふさわしい新たな営業体験を作り上げること、それを「シン・セールス ジャーニー」と呼びます。

 

 

シン・セールス理論におけるセールスプロセスの全体像

 

シン・セールス理論における、最も典型的なセールスプロセスの全体像は次のとおりです。

 

 

  1. 商談機会を作る手段を「アウトバウンドセールス」「インバウンドセールス」および「ソーシャルセリング」の3つに整理し、リードの獲得を行う。
  2. 得られた商談機会は、オンラインまたはオフラインをミックスさせたハイブリッド型の商談プロセスを経て受注へと結びつける。
  3. 受注後のカスタマーサクセスでも、ハイブリッド型のコミュニケーションを中心に行う。

 

 

最初の重要な局面であるリード獲得について、商談機会を作る3つの手段別に解説します。

 

<アウトバウンドセールスによる商談機会の獲得>

アウトバウンドセールスでは、ホリゾンタル(広範囲)ターゲットと呼ばれる、不特定多数の企業に対し広範囲に新規開拓する場合にアプローチして、商談機会を獲得します。

まず、ターゲットリストはウェブ上で情報を集めたり、専門業者から購入したり、オリジナルのDMP(Data Management Platform)などを駆使することで、できるだけ自社の製品などにマッチする内容で作成します。これに対して、ダイレクトメール(DM)やフォーム、電話といったチャネルを組み合わせて、最適なパターンでコンタクトします。

 

ここで重要になるのがKPIの設定です。従来のアウトバウンドセールスのゴールは、「アポイントの獲得」が一般的でした。しかし、シン・セールス理論で重視するのは、対象者の直通電話番号やメールアドレスなど、見込み客のダイレクトな情報を得ること。すなわち、リードの獲得です。

 

購買者の変化によって、必要がなければ会わないのが当たり前となってきている今、アポイント獲得に執着することに、もはや意味はありません。

直接の連絡先を知っているか否かが、今後のビジネスが成立するかどうかの重要なポイントとなります。

 

<インバウンドセールスによる商談機会の獲得>

インバウンドセールスでは、オンラインまたはオフラインでの反響を商談機会に結びつけます。

 

オンラインでは、運用型広告や検索、SNSなどを利用して外部メディアに集客したり、自社メディアや自社のSNSに誘導したりします。オフラインでは、マス広告や交通広告、屋外広告、そしてリファラルを入り口としてイベントや自社メディアに誘導したり、直接問い合わせに結びつけたりします。特にSNSでは、ダイレクトに顧客からの相談を受けることも可能で、そのまま見込み客としてリード獲得につながることもあります。

 

ここで重要になるが、マーケティングコンテンツです。自社サービスをわかりやすく紹介したさまざまな資料やホワイトペーパー、コラムなどのコンテンツに接触させながら顧客の温度感を高め、ニーズや競合状況、予算感、与信などの切り口でリードの精査を行います。

 

<ソーシャルセリングによる商談機会の獲得>

ソーシャルセリングは、顧客の信頼獲得において重要になる考え方です。

ソーシャルメディアやリアルな人間関係を土台にして、商談機会の獲得につなげます。現代に即した人脈営業と言い替えても良いかもしれません。

 

ソーシャルメディアを用いる場合、まずは企業のスタンスとメディアの特性を考え、どのソーシャルメディアが最適なのかを判断します。

総合的なSNSではTwitterやFacebook、写真・画像系ではInstagramやPinterest、文章・記事系ならnoteやブログといった多くのメディアが存在しますので、その中から最適なものを選択します。

ソーシャルメディアを通じて、特定のテーマのもとでターゲットと関係性を構築したり、相互コミュニケーションを図ったりします。また、営業自身がコンテンツを配信することで、自分のフォロワーや支持者、ファンを増やしていきます。こうして信頼関係を構築できれば、会話経済が成立しやすくなります。

 

このほか、銀行や商工会議所のほか、知人や顧客を通じた紹介によるリアルな人間関係づくりも、ソーシャルセリングとして有効な手段です。

 

 

商談を前進させるセールスコンテンツの重要性

 

商談機会獲得後のセールスプロセスでは、オンラインでのコミュニケーションが主流になっていくことを前提としなければなりません。しかし、オンラインでは繊細な表情が読み取りにくく、雰囲気もわかりづらいため、人間関係の構築が思ったよりも難しくなります。

 

そこでポイントとなるのが、オンライン商談時でも充実した購買体験を得ることができる、「セールスコンテンツ」を準備することです。セールスコンテンツは、資料や動画のほか、ヒアリングシートや事例集、勉強会・相談会なども含みます。これらを用いて議題やテーマなどを明確にすれば、購買者にわかりやすく購買体験をしてもらうことができます。そして、商談での対話がスムーズに進み、比較的容易に信頼関係を築くことができるでしょう。

 

セールスコンテンツをきっかけとして顧客の理想像を描き出し、潜在的な課題、正しい問いが展開されることが大切なのです。これからは、「セールストーク」よりも「セールスコンテンツ」で営業能力の差別化を図っていく時代、「コンテンツドリブンなセールスの時代」といえます。

 

<シン・セールス理論におけるセールスコンテンツ>

(1)生きたデータ、生きた事例を用いた、温かみのある、血の通ったコンテンツ

(2)「Why, You, Now(なぜ、あなたに、今:なぜ今、あなたのためにこのコンテンツを届けると思いますか?)」のメッセージが明確に入っているコンテンツ

(3)最終的には、営業自身がお客様にとって価値あるコンテンツ=信用できる人になることを目指す

 

 

 

シン・セールス理論は営業の常識になる

 

従来のセールスプロセスは、1つのセールスファネルを各セールスプロセスで分業していく手法が主流でした。

しかし、シン・セールス理論では、チャネルで分業する形に変わります。インサイドセールスは特定のプロセスではなくなり、さまざまなプロセス上で適用される機能や役割へと変わります。

コミュニケーションはより非対面の重要性が増し、購買環境は従来の「検索→比較→商談」の流れから、「コミュニティ→相談→商談」の流れに変わります。これまで、行動変容のきっかけはヒアリングが主流でしたが、これからはコンテンツによるきっかけが主流になります。

 

このような変化の中で重要になるのは、「この人から買いたい」と思わせる購買体験を顧客に提供できるかどうかです。それを可能にするのが、「シン・セールス理論」です。

シン・セールス理論の重要なポイントは、「信用できる人から買う」会話経済への購買者の変化に対応して、いかに営業プロセスを迅速かつ巧みに再構築できるかです。そのために必要になるのが、シン・セールス理論にもとづき会話経済に対応したセールスプロセスと、その作成方法を示すシン・セールス ジャーニーなのです。

 

シン・セールス ジャーニーは、サービスや製品特性、市場状況などによって千差万別です。

セレブリックスではさまざまなニーズへ対応するため、セールスプロセスの再構築に必要なシン・セールス理論を多方面に向けて展開していきます。どうぞご期待ください。

 

 

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営業支援ソリューション

今井晶也

<執筆者:今井晶也

セレブリックスの主席エバンジェリストとして、営業に関する公演・講義を全国で実施。営業マネジメント等の組織に関するテーマから、具体的な営業テクニックやコンテンツ作りまで専門領域は多岐にわたる。代表的な取り組みとして、長野県中小企業振興センターと共に【製造業に向けた提案型営業の習得を目指した講義】や、宣伝会議が主催する【見込客を顧客に育成するセールスコンテンツ講座】等で講師活動がある。DiSCの認定講師資格を所持。

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