“旅後”を狙え!ロケーション戦略×サンプリングが今熱い

新たな商品やサービスを市場に投入する際、まず最初に直面する大きな課題が「認知度をどのように高めるか」という点です。テレビCMやSNS広告、インフルエンサーマーケティング、交通広告など、多種多様な手法が存在します。これらの手法それぞれに特徴があり、特定のターゲット層に対しては大きな効果をもたらします。

その中でも、実際の場で商品やサービスの体験機会を生み出す「サンプリング」は、消費者との物理的な接点を直接作ることができる貴重な手段です。特にデジタル広告と比較したとき、実際に手に取ってもらうことで強い印象や記憶に残りやすいのが特徴といえます。

本記事では、多様化するプロモーション手法の中でも注目度が高いサンプリングに焦点を当て、効果的なロケーション戦略や曜日・時間帯の選び方、さらには“旅後”を狙うことの重要性について詳しく解説します。

また、具体的な事例として、某大手企業の「住宅選び相談所」の認知拡大のために行ったサンプリング手法や、花火大会での失敗例、広告号外を使った事例なども取り上げます。

新サービスの認知拡大を検討しているプロモーション担当の方々に向けて、サンプリングを成功させるための秘訣をぎゅっと凝縮しました。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:新商品・サービス認知拡大の多様な手法
  2. 2.サンプリングが持つ圧倒的な“確実接触”の強み
  3. 3.ロケーション戦略の重要性と“旅後”の視点
  4. 4.ターゲット別ロケーションと曜日・時間帯の選定
    1. 4.1.ファミリー層向け(ショッピングモール・駅前/土日)
    2. 4.2.若い女性向け(渋谷・新宿・池袋・新大久保/土日の昼間)
    3. 4.3.ビジネスマン向け(品川・新宿・東京駅・秋葉原・六本木/夕方)
  5. 5.成功事例:某大手企業の「住宅選び相談所」の認知拡大
    1. 5.1.商材概要と認知拡大における課題
    2. 5.2.ターゲット選定とサンプリングの工夫
    3. 5.3.得られた反応と学び
  6. 6.失敗から学ぶ:花火大会や旅前サンプリングの落とし穴
    1. 6.1.うちわサンプリングの不発例
    2. 6.2.荷物になる・タイミングが悪いという致命的要因
    3. 6.3.“旅前”ではなく“旅後”を狙う理由
  7. 7.PR号外を活用したサンプリング事例
    1. 7.1.号外が引き起こすインパクト
    2. 7.2.ライブ・イベント終了後の配布の強み
    3. 7.3.SNS波及への期待とロケーションサポート
  8. 8.サンプリング実施のポイント:計画から運営まで
    1. 8.1.適切なゴール設定・KPI策定
    2. 8.2.配布スタッフのトレーニングと配置計画
    3. 8.3.当日の運営と臨機応変な対応
    4. 8.4.効果測定と次回へのフィードバック
  9. 9.まとめ:サンプリングを成功させるために

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はじめに:新商品・サービス認知拡大の多様な手法

新商品や新しいサービスを世に送り出す際、認知拡大はスタートダッシュを決める最重要課題です。企業が取り得る手法は実に多彩です。たとえば、以下のような方法が挙げられます。

  • テレビCM

大きな予算が必要ですが、不特定多数の視聴者へ一気にリーチ可能。全国的な認知度向上を狙うのに有効といえます。

  • 交通広告

電車内やバス、駅構内など、通勤や通学などで移動する人に対して反復的・視覚的にアプローチできるのが持ち味です。

  • SNS広告・インフルエンサーマーケティング

ターゲットを細かく絞り込みやすく、拡散力を生かしたバイラル効果が期待できます。特定の層の深い興味と共感を喚起しやすいのが強みです。

  • オンラインセミナー・Web広告

商品を必要としていそうな層に対して情報を届ける精度が高く、運用型広告や検索連動広告を通して費用対効果を測定・改善しやすいメリットがあります。

一方で、こうしたデジタル手法やマスメディアを用いたアプローチは、消費者との間にある種の“距離”が生まれやすいという点も否めません。広告を見たりSNSで知ったりしても、実際に商品を手に取ってみるインパクトにはかなわないことが多いのです。そこで注目されるのが、サンプリングというプロモーション手法です。

サンプリングが持つ圧倒的な“確実接触”の強み

サンプリングは、その名のとおり「実際に商品やサービスを試してもらう」ことを目的としたプロモーション活動です。たとえば、新発売の飲料を街頭で配布したり、化粧品の試供品をお試しサイズで配ったりするのは典型的な例でしょう。また、飲食店のクーポンや無料体験チケットを配る形態もサンプリングの一種と捉えることができます。

サンプリングには、デジタルと比べても以下のような優れた強みがあります。

  • 実際に手に取ってもらえる安心感

文字や画像だけでなく、実物を持って試せるため、「本当にどんなものか」を肌で体感してもらえます。食品や飲料の場合は味を確かめられますし、化粧品ならテクスチャーを確かめることが可能です。

  • わかりやすい商品理解

体験による理解は、広告のコピーや比較表以上に納得感を与えます。消費者の「よくわからない」という不安を解消できる点で、購買意欲が大きく高まります。

  • 対面でのコミュニケーション

街頭配布やイベント会場でサンプリングを行う場合、担当スタッフから商品の特徴や使い方を直接伝えられます。商品についての疑問をすぐに回答できるため、その後の購入意欲を後押しできます。

  • 実施エリア、実施時期、配布方法の応用力

日々の買い物客、オフィス街の通勤客、イベント参加者など、さまざまな人のライフスタイルに合わせた場所と時間を選べる柔軟性があります。特に「どこで」「いつ」配布するかをきめ細やかに戦略立案することで、高い効果を発揮します。

こうした実物配布のメリットは、多くの場合デジタル広告よりも注目されやすく、商品やサービス自体の使用ハードルを大きく下げる力があります。実際に手にした瞬間から「試してみるか」と思ってもらえるようになるため、ブランド認知を高めるうえでも重要です。

ロケーション戦略の重要性と“旅後”の視点

サンプリングを効果的に行うには、どのロケーションでどのタイミングを選ぶかが成功のカギを握ります。サンプリングにおいては「とにかく人通りが多い場所で配ればよい」という単純な考え方では成果が頭打ちになりがちです。むしろ、商品やサービスのターゲットがいつ・どこで・どんな気持ちのときにサンプルを手に取るかを深く考える必要があります。

特に注目すべきは“旅後”を狙うという戦略です。「旅後」というと、旅行帰りの人だけを狙うように聞こえますが、ここでは「あるイベントや用事が終わった直後」のタイミングを広く指しています。たとえば、大型コンサートやライブが終わったあと、野球観戦やサッカー観戦の試合後、旅行からの帰路、ショッピングをひととおり楽しんで帰る直前など、「これから次の行動に移る間の時間帯」をうまく活用することが重要です。

理由は主に次のとおりです。

  • 気持ちに余裕ができている

イベント前や朝の通勤前などは急いでいる人が多いものの、ひと区切りついたあとはやや時間のゆとりが生まれます。落ち着いてサンプルを受け取ってくれる可能性が高まります。

  • ポジティブな感情を抱いていることが多い

コンサートやスポーツ観戦、旅行後であれば満足感から気分が高揚しているケースが多く、「ちょっと試してみようかな」と前向きに受け取る可能性が高くなります。

  • 拡散力や耳を傾けてくれる可能性

旅後やイベント後はSNSへの投稿意欲が盛り上がっているタイミングでもあり、商品を手にした人が自然に口コミしたり、写真を撮ってシェアしてくれる動機が回遊しやすいのです。

この視点を踏まえると、「どんなロケーションが旅後の人たちと接点を持ちやすいのか」を検討することがサンプリング成功の大きなポイントになります。

ターゲット別ロケーションと曜日・時間帯の選定

ロケーション戦略を考える際、ターゲットとなる消費者の属性を細かく設定し、それぞれに合った曜日・時間帯・場所を押さえましょう。サンプリングで最も重要なのは、「そこにいる人たちーつまりターゲット層が、自分たちの商品・サービスに関心を抱き得るか」という点です。この章では、ファミリー層、若い女性、ビジネスマンという代表的なターゲット層の例を見ていきます。

ファミリー層向け(ショッピングモール・駅前/土日)

小さなお子さんがいるファミリーは、子ども用品や住宅購入、レジャー商品など多岐にわたって需要を抱えています。ただし、平日は子どもの幼稚園や学校、親の仕事でバタバタしがちなので、土日・祝日をメインに狙うのが常道です。さらに、ショッピングモールや施設内、あるいは駅前など、家族連れが多く行き交う場所が理想的です。

  • ショッピングモール内

ベビーカーを押している、あるいは子どもの手を引いているファミリーは、平日のスーパーマーケットでの買い物と違い、余暇を求めている可能性が高いです。配布にも応じやすく、なにより客足が安定しています。

  • 駅前の広場

土日に開催されるイベントと連動する形でサンプリングを仕掛けると効率的です。気持ちに余裕がある状態で買い物に来ている場合が多く、商品説明やクーポンの説明を聞いてくれる確率も上がります。

若い女性向け(渋谷・新宿・池袋・新大久保/土日の昼間)

若い女性を中心にアピールしたい場合は、都内の繁華街が強力なロケーションとなります。渋谷や新宿、池袋、新大久保など、おしゃれな飲食店やコスメ関連の店が集まるエリアは、週末の昼間にターゲットが大挙して訪れます。

  • 渋谷や新宿の駅近

ショッピングや食事、友人との待ち合わせなどで集まる若者が多いため、関心を集めやすいのが魅力。なるべく人の流れが大きく、かつ立ち止まって邪魔にならない場所を選びましょう。

  • 池袋・新大久保

特に新大久保は近年、韓流ブームや多国籍グルメの店舗が集まる場所として若い女性に人気があります。興味を引くアイテムやSNSで映えそうなサンプルを用意すれば、一気に拡散を狙えます。

ビジネスマン向け(品川・新宿・東京駅・秋葉原・六本木/夕方)

ビジネスマンを狙う場合は、平日のオフィス街や主要ビジネスエリアが狙い目です。朝の通勤ラッシュ時に配布しがちですが、これはあまり効果的ではありません。なぜなら、急いで出勤する人はサンプルを受け取ろうという意識が薄いからです。むしろ、夕方や仕事帰りの時間帯を狙うと、手にとってくれる人が多くなる傾向があります。

  • オフィス街(品川・新宿・東京駅・秋葉原・六本木)

夕方から夜にかけて、仕事を終えた人が帰宅する時間に配布すると、手持ち無沙汰になっている場合や多少気持ちに余裕がある場合が増えます。仕事で疲れているからこそ、思わぬ新商品のサンプルを「とりあえず受け取ってみよう」と思う人は少なくありません。栄養ドリンクのサンプリングは、オフィス街の夕方から夜がもっとも効果を発揮しました。

  • 昼休みを活用する

ランチタイムにビジネス街のビル周辺で配るのも、ある程度効果が見込まれます。ただし、限られた休憩時間のため、配布スタッフの声がけや誘導方法が洗練されていないとスルーされやすい点にも注意が必要です。

成功事例:某大手企業の「住宅選び相談所」の認知拡大

ここでは具体的な成功事例として、某大手企業の「住宅選び相談所」のサンプリングキャンペーンを取り上げます。もともと当該企業のブランドは住宅情報誌や賃貸情報サイトとして広い認知を獲得しており、そのキャラクターも多くの人に知られています。しかし、「住宅選び相談所」という住宅購入相談が無料で出来るサービスについては、まだ十分に浸透していませんでした。その知名度を高めるために、住宅購入を検討しそうなファミリー層に向けたサンプリング戦略が実施されました。

商材概要と認知拡大における課題

住宅選び相談所は、住宅の売買(新築・中古問わず)の検討をしている方々に対し、無料で相談を受け付けるカウンターサービスです。従来の住宅展示場や不動産会社のモデルハウス見学と異なり、「特定メーカーの家だけしか見られない」という制限がないのが特徴です。住まいを探すうえで「そもそもどうやって進めればいいの?」という段階の方でも、最初から包括的に相談できる利点があります。

  • 認知拡大における課題

すでにブランド自体の認知度は一定のレベルに到達していました。しかし、「住宅選び相談所」としては、「無料で相談できる場所がある」という事実が世間一般にあまり知られていなかったのです。利用者を増やし、サービスの存在意義を周知させるために、より直接的にアピールできるサンプリングが選ばれました。

ターゲット選定とサンプリングの工夫

  • ターゲット:5歳以下の子どもがいるファミリー

住宅購入を検討するタイミングは「子供が小学校にあがる直前」が最も多いと言われています。そこで、ファミリー層がよく利用するショッピングモールや駅前のイベントスペースで、土日にサンプリングを実施することにしました。

  • 配布物の内容を工夫

はじめはチラシのみの配布でしたが、これだと「賃貸向けの情報?」と誤解されるケースが多発しました。そこで配布するチラシを住まい購入向けであることを分かりやすくデザイン変更。また、「500円のデジタルギフト」などをインセンティブとして取り入れていましたが、住宅という大きな買いものに対する500円のギフトはあまり効果を得ることができませんでした。そこで当時ご支援をさせていただいていた当社は子どもの興味を引くことが先決であることを提案し、風船配りやくじ引きというアプローチにシフトしました。結果的に子どもが興味を示すと親も足を止めやすく、家を持ちたい・引っ越したいと考える家族に対してじっくりサービス説明ができる状況を作ることができました。

得られた反応と学び

  • 好反応が得られた理由

ファミリーは子ども主体で動くことも多く、子どもを惹きつける「仕掛け」を用意するだけで、ブース付近で立ち止まってくれる率が大幅に上がりました。さらに、無料相談ができるというメリットを直接打ち出すことで、「まずどの不動産屋に行けばいいのかわからない」という漠然とした不安を解消。認知度アップだけでなく、実際の親子来店数も増加しました。

  • 学び

チラシ一枚でも、そのデザインやメッセージの伝わり方を工夫するだけで、消費者の反応は大きく変わります。また、インセンティブを「お金」ではなく「子供をターゲットにした風船」などに変えることで、ターゲットに配布物を受け取ってもらいやすくすることができます。こういった工夫が成否を分ける一例です。

失敗から学ぶ:花火大会や旅前サンプリングの落とし穴

成功事例がある一方で、「時と場所を誤るとサンプリングは失敗しやすい」という典型例も数多く存在します。ここでは、花火大会や旅行の出発前といった“旅前”に実施したサンプリングの失敗から学べるポイントを見てみましょう。

うちわサンプリングの不発例

大手製菓会社や化粧品会社などの認知拡大のご支援で、夏に開催される花火大会の会場でうちわを配布しました。「花火大会の会場は人がたくさんいるし、夏だからうちわは喜ばれるのでは?」と考えるのは自然に思えます。しかし、結果としてあまりうまくはけなかったケースがあったのです。

  • 予想外の反応の理由

うちわ自体は欲しいという人もいましたが、それ以上に「花火大会を楽しむために既に荷物を最小限にしている人」が多く、配った後に邪魔になってしまったり、すぐに使用されなかったりしました。また、会場が混雑しているため、スペースがなく手に取りづらいという状況もあったためです。

荷物になる・タイミングが悪いという致命的要因

花火大会だけでなく、空港の出発ロビーなども同様のリスクがあります。旅行前に荷物を増やしたくない心理が働くので、サンプリングは極端にスルーされやすいのです。実際に、空港ロビーでのサンプリングが想定よりも上手くいかなかった例もありました。

“旅前”ではなく“旅後”を狙う理由

こうした事例からわかるのは、サンプリングは「少し落ち着いた状態」や「満足感が高い酒宴後・イベント後」を狙う方が、高い確率で受け取ってもらえるということです。同じ人通りの多い場所でも、時間帯や人々の心理状態を読み取ることが非常に重要です。

PR号外を活用したサンプリング事例

新聞の号外は、何か大きなニュースが発生した際、人々がこぞって手に取るイメージを持たれている方も多いでしょう。この「号外」の仕組みをPRに転用し、サンプリングに活用する事例もあります。

号外が引き起こすインパクト

号外という言葉には「特別なお知らせ」というニュアンスがあり、通行人の目を引きやすくなります。さらに、紙面を見開きの広告として使用し、中にクーポンや追加の情報を差し込むなどの工夫をすることで、商品やサービスの認知を一気に高めることができます。フィギュアの発売発表やコンサート、ライブ、歌舞伎など、歴史的快挙や記念イベントのタイミングで号外が配布されると、多くの人が記念に持ち帰る傾向があるのです。

ライブ・イベント終了後の配布の強み

特に超有名歌手のライブ後に行われたサンプリングが一例です。ライブ終了直後の観客は熱気と興奮がおさまらず、帰路についてもその余韻に浸っています。そこで「緊急発表」や「新曲リリース」を号外形式で配布することで、多くの人が自発的に手を伸ばし、SNSで「こんな号外ゲットした!」と写真付きで投稿するケースも見られました。

  • 夜中でも人が受け取る理由

イベント後は人々が「もう帰るだけ」という状態であり、気分的にも余裕があります。特にライブ会場周辺は、盛り上がったままなので話題性のある試供品や広告を受け取りやすい環境です。SNSで「#〇〇ライブ号外」などのハッシュタグが生まれやすく、自然と口コミが広がります。

SNS波及への期待とロケーションサポート

号外サンプリングを導入したい企業にとっては、「どこでどのように配るのか」というノウハウが大きなハードルになります。ライブやイベントのスケジュール管理、配布スタッフの手配、警備との連携など、考慮すべき事項は多岐にわたります。ここで、サンプリング方法に特化した会社の支援を受けることで、適切な場所とタイミングを押さえつつ、スタッフの指導や運用管理を行うことが可能になります。結果として、SNSでの波及を期待しながら、確実にターゲット層にアプローチできるのです。

サンプリング実施のポイント:計画から運営まで

ここまで、サンプリングの有用性と事例について見てきました。最後に、サンプリングを実際に行うときに押さえておきたいポイントをまとめます。

適切なゴール設定・KPI策定

サンプリングを行う目的は、単純に「多くの人に配る」ことではありません。以下のようなKPIを明確にしたうえで、配布したサンプルの効果を測定できる体制を作ることが重要です。

  • 新規顧客の来店・問い合わせ数
  • 無料体験サービスの利用数
  • 商品の実売数(クーポンの回収率、オンラインでのクーポンコード利用率など)
  • SNSでの口コミ拡散件数

配布スタッフのトレーニングと配置計画

サンプリングの成否は、スタッフの声かけや笑顔、受け取る側にストレスを与えない導線設計にかかっています。たとえ良い場所であっても、スタッフが魅力的に配布できなければ、多くの人が素通りしてしまいます。事前に商品知識をしっかり教育し、「どのように声をかければ興味を引けるか」といった観点でOJTを行うとよいでしょう。

参考記事: “見向きもしない”を一変!その場成約率約8倍の街頭会員獲得術

当日の運営と臨機応変な対応

予期せぬトラブルや、急に人出が多く必要になったり天候が崩れたりすることは珍しくありません。当日の状況に応じて配布エリアを切り替えたり、急遽配布スタッフを増援したりする柔軟性が求められます。長時間のサンプリングであれば、スタッフの交代や休憩タイミングをしっかり確保して、質の高い対応を維持することも大切です。

効果測定と次回へのフィードバック

サンプリング後に配布したクーポンの利用状況や、問い合わせフォームの送信数、SNSでの言及数などを漏れなく把握し、データを活かしましょう。どの時間帯に、どの場所で、どれだけの人にサンプリングしたのか、そしてその結果どれほどの反応が得られたのか。こうしたデータは次回以降のロケーション選定やターゲット設定の精度を上げるうえで欠かせません。

まとめ:サンプリングを成功させるために

サンプリングは、「実際に手に取ってもらう」という物理的なアプローチを通じて、商品・サービスの魅力をダイレクトに伝えるパワフルな手段です。オンライン広告やSNSが隆盛を極める中でも、なお確実な接触機会と体験価値を提供できるため、認知拡大の初期フェーズにおいて非常に有効な選択肢となります。

しかし、ただ闇雲に人が多い場所を狙えばいいというわけではなく、ターゲット層に合わせたロケーションや曜日・時間帯を緻密に設計する必要があります。ファミリー層には土日、若い女性には都心の繁華街、そしてビジネスマンには夕方のオフィス街が向くといった基本線はありますが、さらに「イベントや旅の後を狙う」という視点を取り入れることで、サンプルの受け取り率を一層高めることができます。

実際に大手企業の「住宅選び相談所」の事例では、ターゲットであるファミリー層に合わせて土日にショッピングモールでサンプリングを行い、配布物も子どもを引き寄せる風船やくじ引きをメインにすることで成功を収めました。一方、花火大会や空港の出発ロビーなど“旅前”にサンプリングを行った例では、荷物になることや時間的な余裕のなさから失敗に終わることもありました。“旅中”または“旅前”ではなく、余裕が出る“旅後”を狙うことが大切であるという学びは、多くのサンプリング企画に応用できるでしょう。

さらに、PR号外と呼ばれる形状のチラシをイベント終了後に配布する取り組みも、SNS拡散を自然に生む効果的なアプローチです。コンサートやライブなどで熱気が冷めないうちに「今しか手に入らない情報」を伝え、持ち帰りたい記念品としての価値も付与することで、驚くほど高い受け取り率と口コミ拡散を実現できます。

最後に、サンプリングは配布の現場だけに留まらず、事後の効果測定と分析を必ず行い、次回へのフィードバックとして活かすことが肝要です。配布場所・時間・ターゲット属性・スタッフの対応などをすべて総合的に検証し、プロモーション効果を最大化していきましょう。サンプリングは依然として「古い手法」のように感じられることもあるかもしれませんが、実は今も進化を続けるプロモーション手段です。ロケーションやタイミングの戦略がしっかり練られてさえいれば、現代のデジタル社会においても確かな価値を発揮し続けるでしょう。

あなたの新商品や新サービスの認知拡大に、「サンプリング」というリアルな接点を巧みに織り込んでみませんか? 的確な場所・時間に、ターゲットが思わず手に取って試したくなるようなサンプリングを実現することで、一気にブランドの存在感を高めるチャンスがあります。ぜひ本記事でご紹介した事例や考え方を参考に、成果に直結するサンプリングプランを練り上げていただければ幸いです。サンプリング専門の会社や経験豊富なプロの力を借りて、ロケーション戦略とターゲット戦略を組み合わせれば、きっと大きな成功をつかむことができるでしょう。今こそ“旅後”を狙い、ロケーション戦略とサンプリングを掛け合わせて、新たなプロモーション価値を生み出すときです。

石田 真理子
石田 真理子
株式会社セレブリックス MX事業本部 マーケティングビジネスデザイン室

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