既存商品の販路開拓は何から始める?新しい売り場を見極める方法と実践ステップ

既存商品に一定の販売実績はある。けれど、今の販路だけでは売上が伸びきらない。

百貨店では売れているが、サービスエリアではどうか。ECでは反応があるが、ホテルやジム、サロンなどのリアルな売り場でも可能性はあるのか。高価格帯の商品だからこそ、量販店ではなく、もっと相性のよいチャネルがあるのではないか。

このように、既存商品の販路開拓で多くの企業が悩むのは、単に「売り先が足りない」ことではありません。本当の悩みは、自社商品に合う次の売り場をどう見極め、どう検証し、どう商談まで進めればよいのかが分からないことです。

販路開拓は、販売チャネルをやみくもに増やす活動ではありません。既存商品の価値を、まだ出会えていない顧客や売り場に合わせて再設計する活動です。

本記事では、既存商品の販路開拓を進める企業に向けて、新しい販路の見極め方、テストセールスの進め方、小売・卸・本部商談で必要な準備、導入後に売れる売り場を作る考え方まで解説します。


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本記事を合わせて、「卸・小売本部の販路を切り拓く 4つの方法とBPOの活用術」をご覧ください。近年、販売チャネルや売り場の獲得手法は多様化が進み、効率的な販路開拓の悩みの種となっています。本ホワイトペーパーでは、販路開拓のよくある課題に対する4つの解決策と、BPOの活用術について解説しています。新たな販路を獲得する一助になれば幸いです。

卸・小売本部の販路を切り拓く4つの方法とBPOの活用術/セレブリックス

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目次[非表示]

  1. 1.既存商品の販路開拓とは
  2. 2.既存商品の販路開拓でよくある悩み
    1. 2.1.1. 自社商品に合う販路が分からない
    2. 2.2.2. 卸・小売本部への交渉方法が分からない
    3. 2.3.3. 人手不足で十分な行動量を確保できない
    4. 2.4.4. 本格展開する前に失敗リスクを抑えたい
  3. 3.既存商品の販路開拓を成功させる5つのステップ
    1. 3.1.ステップ1:既存商品の「売れている理由」を分解する
    2. 3.2.ステップ2:新しい販路候補を「相性」で絞り込む
    3. 3.3.ステップ3:小さくテストセールスを行う
    4. 3.4.ステップ4:本部商談に必要な材料を整える
    5. 3.5.ステップ5:店頭で売れる状態まで設計する
  4. 4.既存商品の販路開拓で見るべき販売チャネルの種類
    1. 4.1.小売店・量販店
    2. 4.2.百貨店・専門店
    3. 4.3.サービスエリア・ホテル・施設
    4. 4.4.ジム・サロン・クリニックなど専門チャネル
    5. 4.5.卸・小売本部
    6. 4.6.EC・モール・SNS
  5. 5.既存商品の販路開拓で失敗しやすいパターン
    1. 5.1.1. 販路を増やすこと自体が目的になる
    2. 5.2.2. 商品説明だけで商談してしまう
    3. 5.3.3. テストセールスの目的が曖昧
    4. 5.4.4. 現場の声を商品・訴求改善に活かせていない
    5. 5.5.5. 本部商談後の店頭実現を設計していない
  6. 6.社内で進めるべきか、外部支援も選択肢に入れるべきか
    1. 6.1.自社で担うべき領域
    2. 6.2.必要に応じて外部支援を活用しやすい領域
    3. 6.3.事例:外部支援を活用して販路仮説を検証したケース
  7. 7.既存商品の販路開拓を成功させるポイント
    1. 7.1.1. 「どこに売るか」ではなく「どんな体験で売るか」を考える
    2. 7.2.2. 販路候補ごとに訴求を変える
    3. 7.3.3. VOCを営業・販促・商品改善に活かす
    4. 7.4.4. 営業活動を仕組み化する
    5. 7.5.5. データをもとに改善する
  8. 8.まとめ

既存商品の販路開拓とは

既存商品の販路開拓とは、すでに販売している商品を、今までとは異なる市場・売り場・顧客接点で販売するための取り組みです。

たとえば、以下のようなケースが該当します。

  • EC中心で販売していた商品を、店頭販売に広げる
  • 百貨店で扱っていた商品を、ホテル・サービスエリア・ジム・サロンなど別チャネルに展開する
  • 既存の小売チェーンだけでなく、卸・小売本部・専門店・施設などに販路を広げる
  • 既存顧客とは異なる利用シーンやターゲットに向けて、商品の見せ方を変える

ここで重要なのは、販路開拓は「売り場を増やすこと」だけではないという点です。

新しい販路では、同じ商品でも、選ばれる理由・伝え方・陳列方法・商談材料が変わります。商品を変えずに売り先だけを変えても、売れていた理由を再現できなければ成果にはつながりません。

既存商品の販路開拓とは、商品を新しい場所に置くことではなく、その売り場で売れる理由を作り直すことです。そして、営業担当者に求められるのは、単にアタック先を増やすことではなく、「この売り場なら、どの顧客が、なぜ買うのか」を商談相手に説明できる状態を作ることです。

既存商品の販路開拓でよくある悩み

1. 自社商品に合う販路が分からない

販路開拓で最初につまずきやすいのが、販売チャネルの選定です。

小売店、卸、百貨店、ドラッグストア、バラエティショップ、サービスエリア、ホテル、ジム、サロン、飲食店、施設など、候補は多くあります。

ただ、候補が多いほど「どこから攻めるべきか」が見えにくくなります。

このときは、以下の観点で販路候補を整理します。

  • 商品の利用シーンと売り場の相性
  • 既存顧客と新しい販路の来店客層の近さ
  • 店頭で説明が必要な商品か、棚に置くだけで伝わる商品か
  • 継続購入が期待できる商品か、単発購入の商品か
  • 価格帯が売り場の客単価に合っているか
  • 店舗側にとって売上・粗利・買上点数に貢献できるか
  • 商流、物流、在庫、販促、店舗オペレーションに無理がないか

現場感覚で言えば、「売れそうな場所」ではなく、売れる理由を説明できる場所から優先するのが基本です。

たとえば、持ち運びやすさが強みの商品なら、移動中・外出中・仕事中に購入されやすい売り場との相性を考えます。専門家の説明があることで価値が伝わる商品なら、ジム、サロン、クリニックなどの接点も候補になります。

2. 卸・小売本部への交渉方法が分からない

既存商品を小売や卸に広げる場合、本部商談が必要になることがあります。

ただし、本部商談では「よい商品です」だけでは通りません。バイヤーや小売本部が知りたいのは、商品そのものの魅力だけではなく、導入したときに売り場へどのようなメリットがあるかです。

具体的には、以下のような情報が求められます。

  • どの顧客層に売れるのか
  • どの売り場・棚で展開すべきか
  • 既存商品と比べて何が違うのか
  • 売上・粗利・買上点数にどう貢献するのか
  • 販促やキャンペーンをどう設計するのか
  • 店舗側のオペレーション負荷はどの程度か
  • 導入後にどのような売り場支援ができるのか

営業現場では、商談資料の見栄えよりも、相手が社内で通しやすい材料がそろっているかが重要です。

バイヤーも、よい商品を探しています。ただし、導入後に売れる見込みがあるか、店舗に負担がかからないか、売り場に置く理由を説明できるかを見ています。

3. 人手不足で十分な行動量を確保できない

新しい販路の可能性を検証するには、一定量のアプローチが必要です。

候補チャネルを洗い出し、リストを作り、アポイントを取り、商談を行い、反応を記録し、改善する。これを複数の販路で回していくには、想像以上に手間がかかります。

既存取引先への対応で手一杯の営業担当者が、同時に新規販路開拓まで担うのは簡単ではありません。

その結果、よくあるのが「仮説はあるが、検証できていない」状態です。サービスエリアに可能性がありそう、ホテルにも合いそう、ジムにも置けそう。けれど、実際に接点を作る行動量が足りず、判断材料が集まらないまま時間が過ぎてしまいます。

4. 本格展開する前に失敗リスクを抑えたい

既存商品を新しい販路に展開する場合、いきなり大きく投資するのはリスクがあります。

新しい売り場で本当に売れるのか。店舗側に受け入れられるのか。想定したターゲットに響くのか。訴求やパッケージは適切なのか。

これらを確認するには、テストセールスが有効です。

テストセールスは、限られた範囲で商品を試験的に展開し、その結果をもとに改善する方法です。売上だけでなく、購入者属性、訴求方法、営業プロセスの変数を確認できるため、本格展開前のリスクを下げられます。

大切なのは、テストセールスを「売れるかどうかの確認」で終わらせないことです。

本当に見るべきなのは、どの販路で、誰に、どんな伝え方をすれば売れる可能性が高いのかです。

既存商品の販路開拓を成功させる5つのステップ

ステップ1:既存商品の「売れている理由」を分解する

最初に行うべきことは、商品分析です。

ただし、ここで見るべきなのは商品のスペックだけではありません。既存販路でなぜ売れているのかを分解します。

確認すべき項目は以下です。

  • 誰が買っているのか
  • どのようなシーンで使われているのか
  • 何が購入理由になっているのか
  • どの価格帯なら受け入れられているのか
  • 店頭・EC・営業現場でどの訴求が効いているのか
  • 売り手側のどのような課題を解決できているか(客単、来店数、リピート率等)
  • 購入前にどのような不安や疑問があるのか
  • 購入後にどのような評価や声があるのか

この作業をせずに販路だけを変えると、売れている理由が再現できません。

たとえば、既存販路で「手軽さ」が評価されている商品を、別の売り場では「高級感」で売ろうとしても、うまくいかないことがあります。逆に、既存顧客が本当に評価しているポイントが分かれば、新しい販路でも訴求の軸を外しにくくなります。

既存商品の販路開拓では、まず「商品価値」ではなく、売れている構造を見つけることが重要です。

たとえば、高価格帯の健康食品であれば、以下のように書き出してみます。

確認項目

書き出し例

誰が買っているのか

40〜50代女性、健康意識が高い層、親への贈り物を探している人

どのようなシーンで使われているのか

朝食代わり、外出先での栄養補給、ギフト、旅行時の持ち歩き

何が購入理由になっているのか

品質感、手軽さ、健康によさそうな印象、パッケージの上品さ

どの価格帯なら受け入れられているのか

日常使いではやや高いが、ギフトや特別感のある売り場では受け入れられやすい

どの訴求が効いているのか

「手軽に続けられる」「大切な人の健康を気遣う」「上質な栄養補給」

購入前の不安や疑問は何か

味はおいしいのか、価格に見合う価値があるのか、どのくらい続けるべきか

購入後の評価や声は何か

持ち運びやすい、贈り物にしやすい、説明されると納得して買いやすい

このように整理すると、次に狙うべき販路候補も見えやすくなります。

たとえば、購入理由が「高級感」や「ギフトにしやすい」であれば、百貨店、ホテル、セレクトショップなどとの相性を検討できます。一方で、「手軽に使える」「移動中に便利」といった理由で選ばれているなら、サービスエリア、駅ナカ、オフィス向け販売なども候補になります。

この段階で大切なのは、販路を思いつきで広げないことです。既存商品が今売れている理由を起点にすると、「どこに置けそうか」ではなく、「どこなら買う理由を作れるか」で販路を選びやすくなります。

ステップ2:新しい販路候補を「相性」で絞り込む

次に、新しい販路候補を洗い出します。

このとき、候補を広げるだけでは不十分です。重要なのは、商品と販路の相性を見極めることです。

観点

確認すること

顧客層

その販路の来店客・利用者は、商品のターゲットと近いか

利用シーン

商品が使われる場面と、売り場の文脈が合うか

価格帯

その売り場の客単価と商品の価格が合うか

説明必要性

棚置きだけで伝わるか、接客・POP・体験が必要か

継続性

リピート購入や定番化が見込めるか

店舗側メリット

売上・粗利・買上点数・話題性に貢献できるか

実行難易度

商流、物流、在庫、販促、店舗オペレーションに無理がないか

ここで大切なのは、販路を「売れそう」で選ばないことです。

その売り場で、誰が、なぜ手に取るのかまで描ける販路を優先します。

たとえば、先ほどの高価格帯の健康食品であれば、販路候補は以下のように整理できます。

販路候補

相性がよい理由

注意点

優先度

百貨店

高級感やギフト需要と相性がよい。接客を通じて品質感も伝えやすい

売り場の世界観や既存ブランドとの相性が見られる。導入までに時間がかかる場合がある

ホテル

宿泊中のウェルネス体験や、上質な滞在価値と結びつけやすい

客室設置、売店販売、朝食会場など、どの接点で売るかを具体化する必要がある

サービスエリア

移動中の栄養補給や、手軽に持ち運べる点を訴求しやすい

価格帯が高い場合、衝動買いされる理由や限定感を作る必要がある

ジム・サロン

健康・美容意識の高い層に届きやすく、スタッフの説明によって価値を伝えやすい

スタッフが説明しやすい資料やトーク、試供品などの準備が必要になる

ドラッグストア

健康食品とのカテゴリ相性はある。販売量の拡大も狙いやすい

価格比較されやすく、棚に置くだけでは高価格帯の理由が伝わりにくい

中〜低

駅ナカ・オフィス向け販売

忙しい人の栄養補給、仕事中・移動中の利用シーンと相性がよい

短時間で価値が伝わるパッケージやPOPが必要。単価との相性も確認が必要

このように並べると、「どこに置けそうか」ではなく、どこなら買う理由を作れるかで販路を比較できます。

同じ健康食品でも、百貨店では「ギフト」「品質感」、ホテルでは「滞在体験」、サービスエリアでは「移動中の手軽さ」、ジム・サロンでは「専門スタッフによる説明」が購入理由になります。

つまり、販路候補を選ぶときは、販売先の名前だけを見るのではなく、以下の3つをセットで考えることが大切です。

  • その販路にいる顧客は、商品のターゲットと近いか
  • その場所で商品を買う理由を作れるか
  • 商品の価値を伝えるための売り方を用意できるか

特に既存商品の販路開拓では、販売量が大きそうなチャネルから選びたくなります。

しかし、最初から大きな販路を狙うより、まずは商品の価値が伝わりやすい販路で勝ち筋を作った方が、後の本部商談や横展開にもつなげやすくなります。

ステップ3:小さくテストセールスを行う

販路候補が見えたら、いきなり本格展開するのではなく、小さくテストします。

テストセールスで見るべきなのは、売上だけではありません。

  • どのチャネルで反応がよいか
  • どのトークが刺さるか
  • どの顧客層が興味を示すか
  • どの資料・販促物が商談に効くか
  • どの反論や懸念が多いか
  • 店舗や本部側が導入判断で重視する条件は何か
  • 商品自体ではなく、伝え方や売り場づくりに課題がないか

現場では、こちらの仮説通りに進まないことも多くあります。むしろ、想定外の反応にこそヒントがあります。

たとえば、あるチャネルでは商品そのものよりも「お客様にどう説明すればよいか」が課題になることがあります。別のチャネルでは、パッケージに書かれている情報が足りず、店舗スタッフが勧めにくいという声が出ることもあります。

こうした声は、販路開拓の副産物ではありません。次の勝ち筋を作るための材料です。

テストセールスは、売れるかどうかを判定する場ではなく、売れる条件を見つける場として設計しましょう。

たとえば、高価格帯の健康食品で「ホテル」「ジム・サロン」「サービスエリア」を候補にする場合、以下のように検証内容を分けます。

販路候補

検証したい仮説

提案時の訴求

確認する反応

ホテル

宿泊中のウェルネス体験や、上質な滞在価値として受け入れられるか

客室・売店・朝食会場で、宿泊体験を高める健康食品として提案する

・どの設置場所に関心があるか
・価格帯は許容されるか
・宿泊者向けの説明が必要か

ジム・サロン

健康・美容意識の高い顧客に、スタッフ経由で提案すれば価値が伝わるか

運動後・施術後の栄養補給や、美容習慣の一部として提案する

・スタッフが説明しやすいか
・試供品が必要か
・どんな説明資料があると売りやすいか

サービスエリア

移動中の栄養補給や手軽さが、購入理由になるか

長距離移動中でも手軽に摂れる、持ち運びやすい健康食品として提案する

・衝動買いされる価格か
・パッケージだけで価値が伝わるか
・限定感や地域性が必要か

このように、販路ごとに仮説と訴求を変えると、営業結果の見え方が変わります。

たとえば、ホテルでは「商品は良いが、客室設置より売店販売の方が現実的」と言われるかもしれません。ジムでは「トレーナーが説明できれば売れそうだが、説明資料がないと勧めにくい」と言われるかもしれません。サービスエリアでは「価格が高いので、限定感やお土産需要と結びつけた方がよい」と分かるかもしれません。

これらはすべて、次の販路戦略を考えるための重要な材料です。

テストセールスでは、以下のような項目を記録しておくと、判断しやすくなります。

記録項目

見るポイント

商談先の反応

・興味を示したか
・どこで表情が変わったか
・どの説明に反応したか

導入時の懸念

・価格
・売り場
・在庫

・説明の難しさ
・オペレーション負荷

有効だった訴求

何が刺さったか(健康、美容、ギフト、手軽さ、上質感、限定感など)

必要な販促物

・POP
・試供品
・説明資料
・スタッフ向けトーク
・商品比較表など

次に改善すべき点

・価格の見せ方
・パッケージ
・提案資料
・売り場提案
・ターゲットの見直しなど

受注に至らなかった商談でも、「なぜ導入されなかったのか」「何があれば検討できたのか」「どの販路なら可能性がありそうか」が分かれば、次の打ち手につながります。

既存商品の販路開拓では、テストセールスを小さな営業活動ではなく、売れる条件を集める調査活動として捉えると、次の本部商談や販路拡大の精度が上がります。

ステップ4:本部商談に必要な材料を整える

販路候補の確度が見えたら、商談に向けて資料や提案内容を整えます。

本部商談で必要になる材料は、主に以下です。

  • 商品概要
  • 販売実績
  • ターゲット顧客
  • 売り場での展開イメージ
  • テストセールスの結果
  • 顧客の声
  • 販促施策
  • 販売計画
  • 導入後の売り場支援
  • 競合商品との差別化
  • 小売側のメリット

既存商品の販路開拓では、「すでに売れている商品です」だけでは弱いです。新しい販路に対しては、その売り場で売れる根拠を提示する必要があります。

ベテランの営業ほど、商談前に「相手が社内で説明しやすい状態」を作ります。商品を採用する理由、売り場に置く理由、販売計画、販促の打ち手、導入後の支援。これらがそろっていると、商談は単なる商品紹介ではなく、売り場づくりの提案になります。

たとえば、高価格帯の健康食品をホテルやジム・サロンでテストした結果、反応がよかった場合、本部商談用の資料には以下のような項目を入れます。

資料に入れる項目

書き出し例

商品概要

持ち運びしやすい個包装タイプの健康食品。忙しい日でも手軽に栄養補給できる

ターゲット顧客

健康意識の高い40〜50代女性、出張・旅行中も健康習慣を維持したいビジネスパーソン

売れる理由

品質感、手軽さ、ギフトにしやすいパッケージ、説明されると納得して購入しやすい点が評価された

売り場提案

ホテル売店、ジム受付横、サロンの会計横、百貨店の健康食品・ギフト売り場など

販促施策

POP、試供品、スタッフ向け説明シート、ギフト用什器、初回限定セットなど

テスト結果

ジムでは「トレーナーが説明できれば売れそう」、ホテルでは「客室設置より売店販売が現実的」という声があった

導入後の支援

販促物の提供、スタッフ向け説明資料、売場状況の確認、販売データをもとにした改善提案など

小売・施設側のメリット

健康意識の高い顧客への提案商品になる。客単価向上やギフト需要の取り込みにつながる

この表をもとにすると、商談資料は単なる商品紹介ではなく、売り場での販売計画になります。

物足りない商談資料は、「商品の特徴」「原材料」「価格」「ブランド紹介」で終わってしまいがちです。もちろんそれらも必要ですが、それだけでは小売本部側が導入後のイメージを持ちにくくなります。

一方で、良い商談資料は、次のように相手が判断しやすい形になっています。

  • どの顧客に売れそうか
  • どの売り場に置くべきか
  • なぜその売り場で買われるのか
  • どんな販促があれば売れやすいか
  • 導入後にどのような支援があるか
  • 店舗側にどんなメリットがあるか

本部商談では、商品を採用してもらうだけでなく、相手が社内で説明しやすい状態を作ることが重要です。

バイヤーや本部担当者も、社内で「なぜこの商品を導入するのか」を説明する必要があります。そのときに、売り場、ターゲット、販売見込み、販促施策、導入後の支援まで整理されていれば、検討の土台に乗りやすくなります。

つまり、本部商談に必要なのは、きれいな商品紹介資料ではありません。

相手が導入判断をしやすくなる材料です。

ステップ5:店頭で売れる状態まで設計する

小売本部との商談で合意が取れると、つい「これで販路が広がった」と考えたくなります。

ただ、現場を見ていると、商談成立はまだ入口です。商品が棚に並んでも、売り場の位置が悪い、POPが設置されていない、店舗スタッフに商品の特徴が伝わっていない、欠品が続いている。こうした状態では、どれだけ良い商品でも売上にはつながりません。

だからこそ、既存商品の販路開拓では、本部商談と同じくらい「店頭で売れる状態をどう作るか」が重要です。

具体的には、以下のような設計が必要です。

  • どの棚・売り場に置くか
  • POPや販促物で何を伝えるか
  • 店舗スタッフが説明しやすい情報は何か
  • 欠品や売り場乱れをどう防ぐか
  • 店頭での反応をどう回収するか
  • POSや売り場データをどう分析するか
  • 改善アクションをどう回すか

必要に応じて、売場メンテナンス、販促物の設置、店舗ごとの反応確認、推奨販売、売り場データの振り返りまで含めて設計しておくと、販路開拓は単なる導入で終わらず、売上につながる取り組みになります。

既存商品の販路開拓で見るべき販売チャネルの種類

既存商品の販路開拓では、オンライン・オフラインを分けて考えるよりも、商品の価値が伝わる接点かどうかで考えることが重要です。

小売店・量販店

認知拡大や販売量の拡大を狙いやすい販路です。一方で、競合商品も多く、棚の獲得や定番化には商談材料が必要です。

小売店・量販店を狙う場合は、商品力だけでなく、売り場での展開イメージや販売計画まで用意しておくと商談が進みやすくなります。

百貨店・専門店

高価格帯商品やブランドストーリーを伝えたい商品と相性があります。接客や売り場演出によって、商品の背景や価値を伝えやすい点が特徴です。

ただし、ブランドの世界観や客層との相性が重視されるため、単に「置いてほしい」ではなく、その売り場に並ぶ意味を説明できることが大切です。

サービスエリア・ホテル・施設

利用シーンや滞在文脈と商品が合えば、新しい需要を作りやすい販路です。

たとえば、移動中、宿泊中、リラックス中、運動後など、特定のシーンで価値が伝わる商品に向いています。

このタイプの販路では、商品の機能だけでなく、「その場で購入する理由」を作ることが重要です。

ジム・サロン・クリニックなど専門チャネル

商品に説明や信頼性が必要な場合に有効です。

専門スタッフの言葉を通じて価値が伝わる商品や、利用シーンが明確な商品は、専門チャネルと相性があります。特に健康、美容、ウェルネス、生活改善に関わる商品は、ただ棚に置くよりも、信頼できる人から紹介されることで購入理由が強くなることがあります。

卸・小売本部

複数店舗への展開や定番化を狙う場合に重要な販路です。

ただし、商談には商品力だけでなく、販売計画、売り場提案、販促施策、実績データが求められます。

卸・小売本部を狙う場合は、最初から大きな導入を狙うだけでなく、テスト導入や一部エリアでの検証を提案するのも一つの方法です。

EC・モール・SNS

既存商品の認知形成やテスト販売に活用しやすい販路です。

リアルな売り場での展開を狙う場合でも、EC上の販売実績、口コミ、SNSでの反応は、本部商談の説得材料になります。

オンラインの反応を、オフライン販路の商談材料として活用する視点も持っておきましょう。

既存商品の販路開拓で失敗しやすいパターン

1. 販路を増やすこと自体が目的になる

販路開拓の目的は、販売先を増やすことではありません。売上やブランド接点を増やすことです。

売り場との相性が低い販路に無理に広げても、成果にはつながりません。むしろ、在庫や販促費、営業工数だけが増えてしまうこともあります。

2. 商品説明だけで商談してしまう

小売や卸に対しては、商品説明だけでは不十分です。

相手が知りたいのは、以下のようなことです。

  • なぜこの商品を扱うべきか
  • 売り場にどんなメリットがあるか
  • 導入後に売れる状態をどう作れるか
  • 店舗側の負担はどれくらいか
  • 既存商品とどうすみ分けられるか

商談では、商品価値だけでなく、売り場価値に変換して伝える必要があります。

3. テストセールスの目的が曖昧

テストセールスを行っても、何を検証するのかが曖昧だと、結果を次の判断に活かせません。

テスト前に、以下を決めておく必要があります。

  • 検証する販路
  • 想定ターゲット
  • 訴求仮説
  • 成功基準
  • 取得するデータ
  • 改善判断のルール

「とりあえず試す」ではなく、「何が分かれば次に進めるのか」を決めてから動くことが大切です。

4. 現場の声を商品・訴求改善に活かせていない

販路開拓では、営業活動を通じて多くのVOCが集まります。

たとえば、「この情報があれば店舗スタッフが説明しやすい」「パッケージだけでは商品の良さが伝わりにくい」「この売り場なら買う理由が作りやすい」といった声です。

こうした声を、単なる営業メモで終わらせてはいけません。トークスクリプト、販促物、パッケージ、売り場提案、商品開発まで改善することで、販路開拓の精度は上がります。

販路開拓の価値は、受注だけではありません。市場や現場から得た声を通じて、商品の勝ち筋を磨けることにも価値があります。

5. 本部商談後の店頭実現を設計していない

本部で合意が取れても、店頭で展開されなければ売上にはつながりません。

棚割、販促物、店舗スタッフへの情報共有、欠品防止、売り場メンテナンス、効果検証まで設計する必要があります。

商談を取る力と、店頭で売れる状態を作る力は別物です。既存商品の販路開拓では、この両方をセットで考えることが重要です。

ここまで見てきたように、既存商品の販路開拓では、販路選定、テストセールス、本部商談、店頭で売れる状態づくりまで、考えるべきことが多くあります。すべてを完璧に進めようとすると、社内だけでは行動量やノウハウが不足することもあります。

ただし、いきなり外部に任せることを前提に考える必要はありません。まずは、自社で主導すべき領域と、必要に応じて外部の力を借りると進めやすい領域を分けて考えることが大切です。

社内で進めるべきか、外部支援も選択肢に入れるべきか

既存商品の販路開拓は、自社だけで進めることもできます。特に、商品の価値定義やブランドの方向性、既存顧客の理解は、自社が主導すべき領域です。

一方で、新しい販路の仮説検証やアポイント獲得、テストセールス、売り場状況の確認などは、一定の行動量と現場知見が必要になります。社内のリソースだけでは検証が進まない場合は、外部支援を選択肢の一つとして検討してもよいでしょう。

自社で担うべき領域

既存商品の販路開拓では、外部の力を借りる場合でも、すべてを任せきりにするのはおすすめできません。なぜなら、商品の価値やブランドの方向性、どの顧客に届けたいのかという判断は、自社の中にしかないからです。

たとえば、同じ健康食品でも、「手軽に栄養補給できる商品」として広げるのか、「大切な人への健康ギフト」として見せるのか、「上質なウェルネス体験」としてホテルやサロンに展開するのかで、狙う販路も提案内容も変わります。

この判断を外部に任せきってしまうと、販路は増えても、ブランドとして目指したい方向とずれてしまうことがあります。

そのため、以下は自社で主導した方がよい領域です。

  • ブランドの方向性
  • 商品の価値定義
  • 既存顧客理解
  • 重要取引先との関係構築
  • 最終的な販路戦略の意思決定

特に、ブランドの思想や商品の本質的な価値は、外部が代わりに決めるものではありません。

自社が「どの価値を、誰に、どのように届けたいのか」を明確にしたうえで、足りない行動量や販路開拓の実行部分を必要に応じて補う。この順番で考えると、外部支援を使う場合でも、販路開拓の主導権を自社で持ち続けやすくなります。

必要に応じて外部支援を活用しやすい領域

一方で、以下のような領域は、社内だけで進めるのが難しい場合に外部支援を活用しやすい部分です。

新しい販路候補は見えているものの、アプローチ先のリスト作成やアポイント獲得まで手が回らない。ホテル、ジム、サービスエリアなど複数の販路を試したいが、営業担当者が既存取引先対応で手いっぱいになっている。商談はできても、反応の記録やVOCの整理、次の改善まで回しきれていない。

このような状態では、外部支援を「販路開拓を任せる先」としてではなく、仮説検証の行動量を増やす手段として活用する考え方があります。

外部支援を活用する一例

  • 新規チャネルの仮説検証
  • アタックリスト作成
  • アポイント獲得
  • 小口・遠隔地アカウントへの営業
  • テストセールス
  • 本部商談代行
  • VOC回収
  • 営業データ・顧客データ分析
  • 売り場で販売につなげるための支援

たとえば、自社では商品の価値定義や販路戦略を握りながら、外部には候補販路へのアプローチ、テストセールス、商談後の反応整理を担ってもらう。そうすれば、自社の判断軸を保ったまま、検証スピードを上げることができます。

大切なのは、「外部に任せるか、自社でやるか」の二択で考えないことです。

自社が戦略と意思決定を持ち、外部支援は足りない実行量や現場情報を補う。この分担ができると、販路開拓を前に進めやすくなります。

事例:外部支援を活用して販路仮説を検証したケース

当社が支援したD2Cブランドのオフライン販路開拓でも、同じようなケースがありました。

この企業では、オンラインでの販売実績はあるものの、店頭や施設などのリアルな接点でブランドに出会い、価値を体験してもらう機会を広げたいという課題がありました。一方で、社内だけで新しい販路候補を洗い出し、アポイントを取り、商談後の反応まで整理するにはリソースが限られていました。

そこで当社では、ターゲットリストの作成からアポイント獲得、初回商談、商談後のフォローまでを一貫して支援しました。単に営業活動を代行するのではなく、商談ごとの反応をもとにトークスクリプトを改善し、どの訴求が響くのか、どのチャネルに可能性があるのかを検証していきました。

結果として、販路開拓の成果だけでなく、現場から得られた声をもとに、販促コンテンツや提案内容の改善にもつながりました。ここで重要なのは、外部支援を使ったことそのものではありません。自社だけでは集めきれなかった現場の反応を短期間で集め、次の打ち手に活かせる状態を作ったことです。

既存商品の販路開拓でも同じです。外部支援を活用する場合は、営業活動を丸ごと任せるのではなく、販路仮説を検証し、売れる条件を見つけるための実行パートナーとして位置づけると、成果につながりやすくなります。

参考事例:【事例】2か月の販路開拓代行の中でドットミーが得た成果や発見とは?

既存商品の販路開拓を成功させるポイント

1. 「どこに売るか」ではなく「どんな体験で売るか」を考える

新しい販路を考えるときは、販売先のリストだけでなく、そこで顧客がどのように商品と出会うのかを考える必要があります。

棚に置くだけでよいのか。スタッフの説明が必要なのか。POPや販促物が必要なのか。体験や試食・実演があった方がよいのか。

この設計がないと、販路は増えても売上にはつながりません。

2. 販路候補ごとに訴求を変える

同じ商品でも、チャネルが変われば響く訴求は変わります。

たとえば、ホテル向けなら上質感や滞在体験。ジム向けなら健康・栄養・継続性。サービスエリア向けなら移動中の利便性や手軽さ。百貨店向けならギフト性やブランド性。

販路開拓では、商品を変えなくても、伝え方を変える必要があります。

3. VOCを営業・販促・商品改善に活かす

販路開拓の価値は、受注だけではありません。

現場の声を通じて、顧客が何に反応し、何に不安を持ち、何が伝わっていないのかを把握できることにも価値があります。

VOCを活用すれば、トークスクリプト、販促物、パッケージ、売り場提案、商品開発まで改善できます。

4. 営業活動を仕組み化する

販路開拓を属人的に進めると、成果が一部の営業担当者に依存します。

誰が商談しても一定の品質で提案できるように、成功したアプローチ、よく出る反論、有効だった資料、チャネルごとの反応を記録しておくことが大切です。

営業活動を可視化し、ナレッジを共有し、次の担当者が再現できる状態にする。これができると、販路開拓は単発の活動ではなく、組織の資産になります。

5. データをもとに改善する

販路開拓は、一度商談して終わりではありません。

POSデータ、売り場データ、営業データ、顧客データを分析し、どの販路・店舗・訴求が成果につながっているのかを確認します。

数字を見ることで、感覚ではなく事実に基づいて改善できます。成果が出た店舗と出ていない店舗の違いを見れば、次の打ち手も見えやすくなります。

まとめ

既存商品の販路開拓は、単に販売チャネルを増やす活動ではありません。

重要なのは、今ある商品を、どの売り場で、誰に、どのように届ければ価値が伝わるのかを見極めることです。

そのためには、まず既存商品の売れている理由を分解し、新しい販路候補との相性を見極めます。そのうえで、小さくテストセールスを行い、顧客の声や営業データをもとに、訴求・商談資料・売り場提案を磨いていくことが大切です。



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本記事を合わせて、「卸・小売本部の販路を切り拓く 4つの方法とBPOの活用術」をご覧ください。近年、販売チャネルや売り場の獲得手法は多様化が進み、効率的な販路開拓の悩みの種となっています。本ホワイトペーパーでは、販路開拓のよくある課題に対する4つの解決策と、BPOの活用術について解説しています。新たな販路を獲得する一助になれば幸いです。

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髙田 冴夏
髙田 冴夏
【市場開発本部 ブランド・マーケティング統括室 マーケティングプランニングGr コンテンツスタジオ】 2022年6月入社。セレブリックスの営業ナレッジメディア「Sales is」の専任Webライターとして、3年間にわたり数百に及ぶ営業ノウハウの記事化に従事。現在はメルマガ執筆に加え、MAツール(Account Engagement)を用いた顧客コミュニケーションの自動化やCRM設計を担当。「営業の言語化」と「データに基づいた施策」の両輪で、顧客体験の最適化を追求している。

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