若年層のカード会員獲得は体験型オフラインプロモーションを行うべき理由

近年、キャッシュレス決済の選択肢が急激に増え、スマホアプリによるQRコード決済やデビットカード、さらには“Buy Now, Pay Later (BNPL)”といった新しい後払い方式が台頭してきました。これらのサービスは利便性や手軽さが魅力的である一方で、「クレジットカードを発行する必要性」を若年層と呼ばれる大学生や20代~30代の社会人に強く意識させるきっかけが少なくなっています。

特に「新生活を始めたばかり」「社会人歴が浅い」といった若者ほど、「クレジットカードを持っても使いすぎが心配」「審査が通るか不安」「どれを選んでいいかわからない」という印象を抱くケースも多いようです。

さらに、従来型の大量DMや電話勧誘といった会員獲得施策は、押しつけがましい印象を与えやすいためデジタルネイティブ世代には敬遠されがちです。その結果、「主婦層を中心に会員が集まっているが、若年層がなかなか増えない」という課題に直面しているカード会社は少なくありません。

本記事ではオフラインでの“体験”を軸としたプロモーション施策の重要性に焦点を当てます。「なぜ若年層への会員獲得に体験型のオフライン施策が必要なのか?」「オンライン広告だけでは届きにくい理由は何か?」といった根本的な疑問に答えながら、キャンパスやショッピングモール、イベント会場などで実際に使える施策例を詳しく解説します。

SNSやデジタル技術が発達した今だからこそ、リアルな場での接触は“新鮮な体験”として若者の心をつかむ大きなチャンスとなるはずです。従来型の「バラ撒き型」の広告手法ではなく、“直接コミュニケーション”による心理的ハードルの低減や、興味を持った瞬間にそのままお申し込みまで誘導できる導線づくりが、爆発的な若年層の会員数拡大を実現するカギとなっていきます。


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デジタル時代に再注目される 目的別オフラインプロモーション7選

目次[非表示]

  1. 1.若年層クレジットカード会員獲得の難しさと時代背景
    1. 1.1.スマホ決済やBNPLが増える中での、クレジットカードへの抵抗感
    2. 1.2.従来型アプローチ(DM・電話勧誘)に感じる若者の違和感
    3. 1.3.大学生や20代~30代への新規入会促進が急務となる理由
  2. 2.若年層のカード会員獲得は体験型オフラインプロモーションがおすすめな理由
    1. 2.1.「リアルな体験」で心理的ハードルを下げられる
    2. 2.2.オフラインならではの信頼構築と安心感の提供
    3. 2.3.SNSやデジタル広告と相互補完できる強み
  3. 3.体験型オフラインプロモーション施策一覧と詳細
    1. 3.1.大学・専門学校でのキャンパスブース出展
    2. 3.2.ショッピングモール・百貨店での特設ブースやポップアップイベント
    3. 3.3.音楽フェス・スポーツイベント・アニメ・ゲームイベントとのコラボ
    4. 3.4.タイアップカフェ・期間限定ポップアップストア開設
    5. 3.5.就活イベント・インターン合同説明会での金融リテラシーセミナー
    6. 3.6.タウンプロモーション・街頭キャンペーン
    7. 3.7.インフルエンサーやタレントと連動したファンミーティング形式のイベント
  4. 4.各施策の成功ポイント・効果を高めるコツ
    1. 4.1.キャンペーン内容の明確化と魅力づけ
    2. 4.2.その場で申し込める簡単な導線づくり
    3. 4.3.学生や若い社会人の“今のニーズ”を捉えた特典設定
    4. 4.4.イベントの世界観とのシナジーを生むカードデザイン・サービス連携
    5. 4.5.SNS拡散やデジタル広告との連動方法
  5. 5.まとめ:若年層獲得のために必要なのは「体験」と「リアルな対話」

若年層クレジットカード会員獲得の難しさと時代背景

スマホ決済やBNPLが増える中での、クレジットカードへの抵抗感

かつてはクレジットカードが“キャッシュレスの代表格”でしたが、ここ数年でキャッシュレス手段は大きく多様化しました。

それこそ、QRコード決済や電子マネー、さらにはスマホウォレットが登場し、若者は“わざわざクレジットカードを作らなくても”大半の買い物を完了できる環境に置かれています。

加えて、BNPL(Buy Now, Pay Later)という“クレジットカードが不要な決済方法”も広まり、若者にとっての“カード発行”の優先度は下がりがちです。大学生や新社会人は「使いすぎが怖い」「審査で落ちたら恥ずかしい」などの不安要素も抱えやすく、「本当に必要なの?」という疑問を抱きやすい傾向があります。

従来型アプローチ(DM・電話勧誘)に感じる若者の違和感

DMの大量送付や電話勧誘などは、上の世代には一定の効果を上げてきたアプローチでした。しかし、デジタルネイティブ世代は「不要な連絡が来ること」に強い抵抗感をもっています。SNSやメッセージアプリを日常的に使うため、自分の欲しい情報は自ら検索し、必要でなければ“スルー”するという行動パターンが定着しています。押し売り的なDMが頻繁に届くと、むしろ企業のイメージダウンを招きかねません。

大学生や20代~30代への新規入会促進が急務となる理由

“高い知名度”と“豊富な提携先”を持つカード会社でも、主婦層以外の会員が思うように増えないという悩みは少なからずあります。

特に若年層は、一度ブランドロイヤルティを獲得すると、その後の利用期間が長くなることが期待できます。

逆に、大学生のうちに別のカードを利用し続ける習慣が定着すれば、自社カードへの乗り換えは難しくなっていくでしょう。したがって、まだクレジットカード利用経験の浅い若年層にアプローチすることが中長期的な事業成長において極めて重要なのです。

若年層のカード会員獲得は体験型オフラインプロモーションがおすすめな理由

「リアルな体験」で心理的ハードルを下げられる

オンラインだけでは、「カードを作るメリットや安全性」が十分に伝わらないことがあります。とくに若者は“体感”や“実感”を重視する傾向が強いため、リアルな場で説明を受けるとカードサービスへの理解が一気に深まります。専門スタッフがその場で質問に答えることで、「審査は面倒くさい?」「もし不正に使われたら費用は?」といった不安を素早く取り除けるのも利点です。

オフラインならではの信頼構築と安心感の提供

ネット上の情報だけで契約すると、「本当に大丈夫?」と心配になる層は少なくありません。対面でスタッフと会話しながら申込フォームの記入方法や特典の利用方法を教えてもらえると、「ちゃんとサポートがあるんだ」という安心感を得られます。特に初めてクレジットカードを持つ若年層にとって、この安心感は非常に大きな決め手となります。

SNSやデジタル広告と相互補完できる強み

体験型のオフラインプロモーションとSNS、デジタル広告を組み合わせることで、若者へのアプローチ効率は飛躍的に高まります。事前にSNSでイベント告知を行えば、ターゲット層に「実際に行ってみようかな」と興味をもってもらえるでしょう。イベント会場ではリアルにカードの魅力を伝え、その後は再びオンライン上で“フォロー”や“アップセル”を仕掛けることで、継続利用へとつなげる好循環を生み出せます。

体験型オフラインプロモーション施策一覧と詳細

ここからは、実際に若年層の会員獲得を目指すうえで有効な体験型オフラインプロモーション手法を具体的に紹介します。いずれも直接的な“人の力”を活用し、若者との接点を濃密につくることを目的としたものです。

大学・専門学校でのキャンパスブース出展

<施策内容>

・新入生歓迎の時期(入学式やオリエンテーション期間)や学園祭など、多くの学生が集まるタイミングでブースを展開します。

・学生スタッフやキャンパス内インフルエンサーとの協力を得て、学生の口コミネットワークを活用し、新規会員獲得を促進。

・ミニ講座形式で「クレジットカードの仕組み」や「ポイントの貯め方」「スマホとの連携方法」をわかりやすく解説し、入会特典を案内します。

<ポイント>

・大学で行われるイベントは「初めてカードを持つ」学生が集まりやすい絶好のチャンスです。

・講座を通じて金融リテラシーを高めるサポートを行うことで、企業イメージもアップ。

・ブースデザインを若者好みにカスタマイズし、SNSで写真をシェアしやすい工夫をすると拡散効果が期待できます。

ショッピングモール・百貨店での特設ブースやポップアップイベント

<施策内容>

・Z世代向けのブランドが集積しているフロアや、若者が多く訪れる時間帯に合わせて特設ブースやポップアップイベントを展開。

・ノベルティグッズ配布や、その場で申し込み可能なタブレット端末を用意し、すぐに手続きできる体制を整えます。

・SNS投稿や店内放送でのキャンペーン告知を行い、買い物客をブースに誘導する仕掛けを作ります。

<ポイント>

・ショッピング中のテンションが上がっている場面で、直接カードのメリットを訴求できるのが強みです。

・ショッピングモール自体がよく利用される場所であれば、会員期首の段階から“ここで使うとポイント優遇”などの切り口が響きやすいでしょう。

・レジ横やコラボ店舗など、若者が足を止めやすい場所にブースを設けると、より効果的です。

音楽フェス・スポーツイベント・アニメ・ゲームイベントとのコラボ

<施策内容>

・若年層の趣味/嗜好が反映された大型イベントに協賛し、会場内にブースを設置。

・イベントチケットの先行予約権やグッズ割引特典、会場限定ノベルティなど「今しか手に入らない」限定性を打ち出します。

・イベントの世界観に合わせたフォトブースやインスタ映えスポットを用意し、SNS拡散を促進します。

<ポイント>

・フェスやスポーツ大会、アニメ・ゲーム系イベントには熱心なファンが集まるので、ブランドの世界観と親和性が高いほど効果的です。

・現場の熱量を活用し、思い出の一部としてクレジットカード申込のハードルを下げられるのが特徴です。

・ステージやアトラクションの合間を狙ってスタッフが声掛けするなど、タイミング次第で大きな集客が見込めます。

タイアップカフェ・期間限定ポップアップストア開設

<施策内容>

・人気のカフェや有名ブランドショップとコラボし、限定メニューやオリジナルグッズを揃えた期間限定ストアをオープンします。

・店内にはプロモーション動画やパネル展示を設置し、クレジットカードのメリットや活用事例を視覚的にアピールします。

・その場で新規入会を希望する人に対して、対面での丁寧な説明と簡単手続きサポートを実施します。

<ポイント>

・カフェやブランドショップに足を運ぶ若者は「トレンドに敏感」「SNSで情報発信したい」という人が多いため、写真映えを意識した空間づくりが効果的です。

・「限定スイーツ付き」「オリジナルドリンクが飲める」といった体験価値があると、クレジットカード自体の魅力にも興味が向きやすくなります。

・スタッフが温かく対応することで、“この会社なら安心”という印象が生まれます。

就活イベント・インターン合同説明会での金融リテラシーセミナー

<施策内容>

・就活生や若手社会人が集まるキャリア系イベントに出展し、「社会に出る前に知っておきたいクレジットカードの基礎知識」などをテーマにしたミニセミナーを実施。

・クレジットカードのセキュリティ対策や返済管理術、実際に困ったときのサポート体制などを詳しく紹介します。

・参加者限定の入会特典を設け、セミナー後にそのまま申し込める導線を用意します。

<ポイント>

・“初めてのクレジットカード”に対するハードルや不安を解消する絶好の機会です。就活生や新社会人は今後の生活に必要な知識と感じ、積極的に学びに来ます。

・社会人になったばかりの人は海外出張や引っ越し費用など、一度の買い物が大きくなる場面も多いので、役立ちそうな特典を重視する傾向にあります。

・金融リテラシーを高める社会的意義を打ち出すと企業イメージも向上し、ブランドロイヤルティにもつながります。

タウンプロモーション・街頭キャンペーン

<施策内容>

・大学街や若者が多く集まる商業エリアで、ブランドアンバサダーやスタッフがチラシやサンプルを配りながらブースに誘導します。

・SNSで人気のフォトスポットや、クイズ・ゲーム形式を取り入れて「楽しい」雰囲気を作ります。

・キャンペーン期間中に入会した人には、地域の人気店舗やカフェで使えるクーポンなど“すぐ使えてお得”な特典を付与します。

<ポイント>

・街頭キャンペーンは一見“アナログ”ですが、SNSでの拡散効果を狙えば“リアル×デジタル”の相乗効果を得られます。

・学生たちが歩くルートや時間帯を意識し、集客のピークタイムを逃さない工夫が重要です。

・マイナスイメージを持たれないよう、スタッフの教育やキャンペーンの見せ方が洗練されている必要があります。

インフルエンサーやタレントと連動したファンミーティング形式のイベント

<施策内容>

・若者に人気のタレントやSNSインフルエンサーを招き、ファンとの交流イベントを企画します。

・トークショーやミニライブ、写真撮影会などの場を設け、その中でクレジットカードのメリットを自然に紹介します。

・実際にタレントがカードを使っている様子や「こんなところに便利」といったエピソードをシェアすることで、親近感を高めます。

<ポイント>

・インフルエンサーのファンコミュニティは結束が強く、タレントが信頼する商品をファンも手に取る傾向が高いです。

・リアルイベントではテンションが高まっているため、その場で申し込み手続きを行える環境を整えておくと入会率が上がります。

・場合によってはファン限定のカードデザイン(コラボカード)を用意し、特典を付与するなどの戦略も有効です。

各施策の成功ポイント・効果を高めるコツ

キャンペーン内容の明確化と魅力づけ

若者が興味を持つのは「自分が得する内容かどうか」。たとえば、入会時のポイント付与や年会費の割引だけでなく、普段よく使うサービス(音楽サブスク、動画配信サービス、コーヒーチェーンなど)での優待特典やキャッシュバックを明確に提示すると、「これなら使う場面が多そう」と思わせられます。

その場で申し込める簡単な導線づくり

申し込みの煩雑さは大きなハードルの一つです。イベント会場やブースで“タブレットを活用したオンライン申請”を導入し、必要情報の入力を最小限に抑えることで、他のブースに行く前に一気に登録を完了してもらいやすくなります。

学生や若い社会人の“今のニーズ”を捉えた特典設定

学生なら学業関連のサポート、留学や旅行好きなら海外旅行保険やラウンジ利用、社会人ならビジネスシーンで役立つサービス…といった具合に、セグメントごとに欲しい特典は異なります。ブースやイベントでは「どんな生活シーンで使いたいか?」を対話しながら探り、最適なカードをおすすめできる体制が理想です。

イベントの世界観とのシナジーを生むカードデザイン・サービス連携

音楽フェスならそのアーティストやジャンルの雰囲気に合ったデザイン、アニメやゲームなら公式イラスト入り限定カードなど“世界観を共有”できると、若者の心をくすぐります。会場で発行される限定カードをSNSにアップするファンが増えれば、一気に話題が広がるでしょう。

SNS拡散やデジタル広告との連動方法

リアルイベントだけに留まらず、事前告知や事後フォローをSNSやWeb広告で行うことがポイントです。

・イベント前:SNSでインフルエンサーやタレントが「このイベントでカードの特典を紹介するよ」と告知。

・イベント中:ハッシュタグキャンペーンやフォトスポットでSNS投稿特典を用意。

・イベント後:入会者に対し、定期的にメリットやサービスアップデート情報を発信し、継続利用を促す。

まとめ:若年層獲得のために必要なのは「体験」と「リアルな対話」

デジタル広告やSNSマーケティングの活用はもちろん重要ですが、若者が“肌で感じる”体験型オフラインプロモーションは一度に多くの効果を得られる手法です。「初めてカードを作る不安の解消」「サービスのリアルな魅力紹介」「その場で申し込みまで完了できる導線構築」など、オンラインでは得にくいメリットがあるからです。

特に「主婦層から若年層まで、幅広いカード会員を拡大したい」「BNPLやスマホ決済に流れてしまいそうなユーザー層を引き込みたい」という課題を抱えるカード会社ほど、オフライン接触でのブランド認知度向上と申し込み体験のスムーズさを重視すべきです。デジタルとオフラインを組み合わせ、体験を通して生まれる感情の“熱”を会員化につなげることが、今後の成功を左右するといえます。

リアルイベントは「楽しかった」「興味がわいた」というポジティブなイメージを抱きやすい場です。そうしたポジティブな記憶とともに、クレジットカードの利便性やスタイリッシュな面を強く印象づけられれば、複数あるキャッシュレス手段の中から“クレジットカード”を選ぶ動機を自然と高められるでしょう。

最後に、体験型オフラインプロモーションは「若者を説得しようとする場」であってはなりません。むしろ「一緒に楽しみながら疑問を解決し、『このカード、便利そう!』と感じてもらう場」であることが肝心です。デジタルネイティブ世代のモチベーションを理解し、心地よい体験を提供することで、彼らにとって「クレジットカードは便利なパートナー」として印象づけられるはずです。

今後、市場に新たな決済サービスが次々と登場する中で、従来の主婦層だけでなくZ世代・ミレニアル世代といった若者層を“爆発的”に増やすためには、“体験”によるオフラインでの接点づくりが不可欠となります。ぜひ本記事を参考に、カード会社のプロモーション担当者の方々には、時代に合った新しい企画やキャンペーンを計画してみてください。

石田 真理子
石田 真理子
株式会社セレブリックス MX事業本部 マーケティングビジネスデザイン室

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