B2BコンテンツLIVE2021セッション2~実際に作ってきたコンテンツの紹介~


2021年1月、「B2BコンテンツLIVE2021」と題したイベントをオンラインで開催し、株式会社ベイジの枌谷力氏と弊社今井がB2Bマーケティング、B2Bセールスのコンテンツのあり方について対談をしました。

セッション1はこちら

目次[非表示]

  1. 1.株式会社ベイジの例
  2. 2.ブランディング施策におけるコンテンツ戦略
  3. 3.株式会社セレブリックスの例
  4. 4.質疑応答
    1. 4.1.「会社を好きになってくれるコンテンツについて、そのテーマについて明確になってきていると感じますか?」
    2. 4.2.「コンテンツを発信する際の基準やガイドライン、炎上しないためにこういうことを発信するのは避けようなど、作成していますか?」
    3. 4.3.「コンテンツ作成が根付いていないフェーズにおいて、社内、チーム内で一過性にならないために工夫されたことは何ですか?特に失敗したからやめておけというものはありますか?」
    4. 4.4.「信念と執念、とても頭に残る言葉ですね。ここで言う執念とは、良いと思って提案しているものを伝わるまで伝えるというニュアンスですか?もう少し深堀してお聞きしたいです。」



株式会社ベイジの例

枌谷

web制作会社である私たちの集客のお話をすると、ファネルを全てコンテンツで埋めるというのが大前提です。なので、課題形成前、情報収集、絞り込み、比較検討のためのコンテンツを、それぞれ持っています。たとえば情報収集だと、メインはwebサイトですね。検索エンジンも大事なのでSEOを重視し、情報収集の段階の人が興味を持つテーマの記事をひたすら載せていて、細かいニーズもキャッチアップできるようにしています。絞り込みの段階には、会社紹介用のホワイトペーパー、比較検討に入るとセールスの商談になるので、定型の会社紹介資料と進め方資料でほぼ決着をつけるというイメージです。

制作会社というと最終的にはコンペで選ばれることも多いですが、我々はコンペを受けないスタイルでやっています。コンペ用に無償で提案書を作ることなく、1000万円を超える案件を獲るにはどうすればよいか、というのをひたすら考えてマーケティングしてきました。さらにいえば、我々には専任の営業担当もマーケティング担当もいません。デザイナー、ディレクター、エンジニアというクリエイターばかりの組織なので、その体制でも受注できるように、営業難易度を極限まで下げていくのがポイントなんです。


そんな工夫をしたコンテンツの一例が、ホワイトペーパーとして配布し、商談の時にも使っている、会社紹介です。まず3ページ目で、他のweb制作会社と何が違うか、1ページで分かるように作っています。そして自己紹介が終わったその次の章で、我々のマーケティングの成果を徹底的に紹介しています。ここで、「ベイジさんしかいない」という気になってもらって、決着をつける感じですね。これを、私ではなく他のメンバーがやっても受注できるよう、資料を作成しています。一方で、商談で次のステップに移行した時のネタとして、「進め方資料」というのを用意しています。これらの資料と見積りを出すことで、お客様に納得し、コンペをせずにご指名いただいてます。


今井

誰がやっても売れるようにするという発想がコンテンツの醍醐味ですよね。我々がビジネスの中で呼称しているコンテンツというのは情報加工物である必要があって、その編集された情報でお客様に届けられる状態になっていないとコンテンツとは呼んではいけない気がしています。

コンペにならなくても勝てるというのはこのコンテンツが働いているからというのももちろんあると思いますし、それこそSNSや口コミも含めて、会社への安心感や信用してもらっている状態で情報に触れているからなんでしょうね。まずはお客様がwebサイトを作る前段階の状態からベイジのコンテンツに触れていて、そこからベイジという会社がその企業にとってB2Bマーケティングの意味のある存在になっていると思うんですよね。なのでベイジに作ってもらいたいとか、ベイジに相談したいという前提でコンテンツが出てくるとすごくよい方向に作用するんだろうなと思います。


枌谷

まさにおっしゃる通りで、商談時のコンテンツだけで獲得できているとは思っていなくて、やはり我々がB2Bに強いweb制作会社という、他にはあまり存在しないポジションを取っているとか、常日頃から情報発信してベイジという会社を知っている人がどの会社にもいる状態を作ってるとか、そういう前提があったうえでの、営業段階でのコンテンツなんだと思います。


先ほども話したように、私たちはクリエイター集団なので、机に向かってモノづくりをしていたら、勝手にお客様がやってくるような状態を作りたいのです。そのために、コンテンツを作り、SNSを通じてお客様のネットワーク上に入り込んでいくような活動をしています。私たちの場合、コンテンツが勝手に巡回営業をしてくれてるんですよ。そしていざ、お客様がwebサイトをリニューアルしようと考えた時に、ベイジが第一想起される。そんなベイジが、商談であの資料をもって話をする、ということなんですね。こういった課題改正前のすべての行程を含めて、コンテンツを設計していくことが大切かな、と思っています。


今井

私も一緒です。SNSで投稿している内容やイベントで話している内容は営業のノウハウやメソッドが基本です。昔はこういったノウハウやメソッドを門外不出の営業のレシピとして隠していたんですが、料理と一緒だなと思っていて、良いレシピを知っていても技術がないと良い料理は作れないし、思いやメッセージによって最後の味付けって変わると思うので、むしろそのレシピは公開してしまった方が、営業で困ったときにセレブリックスを想像してもらう素材に使ってもらえるんじゃないかなと思っています。


枌谷

私もセレブリックスの営業メソッドは一部拝見していて、確かに言語化されていて非常に良いものであるものの、簡単に真似できるものではないんですよね。なので、あれは一読者として勉強になるものではありつつ、一方で外に公開してもセレブリックスの優位性が揺らぐ情報でもなく、だからどんどん見せていった方がメリットは大きいんだろうな、という気はします。


ブランディング施策におけるコンテンツ戦略

今井

やはりコンテンツのおかげで想起ブランドが築けたかなと思います。

受注の割合でいくと、4~5割くらいがweb経由で決着するんですね。3割くらいが横展開という、お付き合いしている企業様からのご紹介や他部門への展開で、残りの2割がSNSや口コミです。それこそ、SNSを頑張っているだけで結構お取引させていただいています。


枌谷

今井さんはSNSの効果をどういったところで測っていらっしゃるんですか?


今井

大きく分けて、ブランド的な評価と業績貢献の評価に分けていて、ブランド評価に関しては、ブランド自体が概念なので、定量的な評価はあまりしていません。「営業といえばセレブリックス」という声をもらえれば良いなと思っていますし、ブランドのために実施している施策は目先の成果は追わなくて良いと言っています。強いて言うなら、有名なイベントにどれだけ登壇依頼が来たかを指標に置いています。業績貢献の方は、セールスフォースで流入経路を記録しているので、契約延長も含めると億近くの貢献はあったのではないかなと思います。


枌谷

私も考え方は一緒です。よく、施策をシンプル系と複雑系の2種類に分ける話をします。シンプル系というのはコンバージョン数や商談数にすぐ現れるような、成果が短期間で出て数字で分かりやすいものです。複雑系というのは、事業の多方面に効いてさらに時間差を持っているので、効果がはっきりと見えないものです。ブランディング系の施策や、オウンドメディアやSNSも複雑系に分類されると思います。こういったものはKPIを設定して監視するよりは、信念に基づいてひたすらやり続けた方が良い施策です。だから、同じコンテンツといっても、指標を持つコンテンツと、指標を持たず信念で作るコンテンツとに分けて、できれば両方並走させるのが良いのかな、と思っています。


今井

私とマーケチームで決めていることとしては、私はブランド要素がある複雑系のイベントしか出ないということです。なので、促されない限り基本的には商品の説明をしたことがないですね。どちらかと言うと、営業とか顧客開拓のあるべき姿といったところを少しでも知っていただいて、正しい営業が世の中に広まったら良いなということと、セレブリックスを好きになってくれる企業が増えたら良いなと思っているので、徹底的に綺麗ごとに振り切っています。胸を張ってあるべき綺麗ごとを言えるように、商品のピッチなどのイベントには出ません。


今日のイベントも、私たちのビジネスの成果貢献は求めていないじゃないですか。これってまさに複雑系やブランド系のメッセージとしてやっていることですよね。

そうではなくて、セレブリックスの支援事例の紹介や「うちも営業代行使えるかな」と思っていただけるようなイベントになると、たとえばコニカミノルタジャパン様とのイベント開催が挙げられます。彼らのやっている新規事業の思いや素晴らしい取り組みのご紹介に加えて、実際にセレブリックスに営業代行を頼むとどうなるのかという話や、大手企業が始める新規事業に外部の人材を使うとどうなるのかといったところに焦点を当てたものだったんですね。なので、ここに参加される方っていうのは枌谷さんのファネルで言うと、情報収集や比較検討の段階の人しか来ないイベントなんですよ。でも、一番商談につながったイベントはこういうイベントです。同じような課題や悩みを持っている大手企業の新規事業チームや企業様から、このウェビナーを見て相談したいとか商談をしたいと声をいただいたので、やはりコンテンツをシンプル系、複雑系に分けることはとても大事なんだろうなと思います。


枌谷

我々は全部のファネルのコンテンツを埋めるということを基本コンセプトにしているんですが、リソースが限られているので、最上部の課題形成前を特に重視しているんですね。ここって、商談や成約からは遠いので成果が出るのが遅いのですが、一番レバレッジが効くので、ここを膨らませると成果の総和が増えるんです。ただ時間がかかるので、コンテンツを作り続けるのに執念や信念が必要ですね。


株式会社セレブリックスの例

今井

営業の中で一番重要なのって、商談のプロセスでいけば、緊急性と重要性を気付かせるという課題設定だと思うんですよね。課題設定をするためには深いところまでヒアリングをする必要があるんですが、ヒアリングって正直難しいと思っています。なぜ難しいかというと、ヒアリングして回答された内容が事実かどうかは誰も分からないからなんです。その場の状況対応で相手が答えてくれた内容が本当の事実か、本当の課題かどうかってわからないんです。それなら、最初の会社紹介のエントリーの部分で、この会社面白いなとか、信用に値するか会社だなと思ってくれれば、顧客も協力して事実を話してくれて、一緒に商談が進んでいくんですよね。なので、私は会社説明のところが受注の成功要因を一番コントロールしやすい箇所だと思っています。

実際に会社の説明で使っている資料なんですが、枌谷さんと同じで、最初の流れは特徴で、営業支援やB2Bの営業に強い会社というインパクトアプローチで、結論から端的に伝えることが大事だと思っています。その次は信用のコンテンツで、我々の強みに関する内容という流れになっています。

ただ、会社のアピールだけではなく、セレブリックスが選ばれる理由であり、選ばれない理由であるということも先に誠実に伝えています。なぜかと言うと、私たちが失注する理由は価格の高さなんですね。なので、見積りを出した後にお客様に「高い」と思われて反論が生まれる状態を作りたくないんです。私は、反論対策として出てきた言葉に切り返すというやり方をしてしまうと相手の価値観や考えを否定することになるので、減らした方が良いと思っているんです。なので、反論が生まれない物語を披露する方が重要だと考えています。その次に、我々の強みをお伝えし、興味も惹くような内容を伝えることによって、ヒアリングをしやすい状態を作っています。これが、私たちのアプローチ設計になります。


枌谷

一般的なダイレクトマーケティングの要素を押さえていますね。信頼させているし、なぜ営業のプロというのかを証明しているし、疑り深い人がいてもその疑いをちゃんと潰しておくというのが全部含まれている。さすが、経験豊富だとこういうコンテンツになるんですね。


今井

設計は合理的に、伝え方は情熱的にというのがアプローチの鉄則で、なるべく「なぜ私たちだと成功できるのか」という想いの部分で共感していただくと、顧客側が喋りたくなるという商談設計ができると思います。


質疑応答

「会社を好きになってくれるコンテンツについて、そのテーマについて明確になってきていると感じますか?」

今井

良いところばかり言っても、人には響かないと思いますね。究極、会社説明のイメージって映画のCMに近いかなと思っていて、物語に共感してもらえるかどうかがすごく大事だと思うので、内容も然りなんですが、構成も大事にしたいなと思います。100人いて100人に好かれるコンテンツはないと思っているので、そこでセレブリックスに共感してもらえないかもらえるかというところでこの企業と付き合うべきかを選定してしまって良いんじゃないかと思っています。


「コンテンツを発信する際の基準やガイドライン、炎上しないためにこういうことを発信するのは避けようなど、作成していますか?」

今井

広報ガイドラインはありますし、セレブリックスという名前を付けて広報をして良い人間は会社で申請を出して認められた場合のみといったルールはありますが、博報堂グループ全体で根本にある思想は、マルチクライアントへの配慮ですね。誰かの特定の思想や発想を傷つける可能性がある内容を言わないということはすごく大事にしているので、私もブランディングでイベントなどに出る時は、他社さんが商品説明をするイベントにはなるべく登壇しないとか、特定の商品をリスペクトするといったコンテンツにはならないようい心がけています。あとはSNSで主語をあまり大きくしないとか、断定しすぎないとか、伝え方には気を付けています。

私の考え方として、正義の逆は相手の正義だと思ってるんですよ。相手の主張があるからぶつかると思うんですね。なので、自分の言っていることが必ずしも相手にとっての正義ではないということを心がけながら、小さな反論の種があった時もそこに十分気配りと配慮をすることを大事にしています。


枌谷

社員のTwitter活動を支援するTwitter道場というのを、自社や他社で行っているのですが、そこでは明確に注意事項を設けています。それは基本的には今井さんがおっしゃった内容と同じなんです。ただ、誰かを否定してしまうことを恐れすぎてもいけないな、と思うこともあります。自分が何かを強く主張すれば、それによって誰かを否定する可能性が生まれると思うんです。たとえば、「web制作会社はもっとコンテンツ配信をするべきだ」と私が言ったら、コンテンツ配信をしていないweb制作会社さんを否定しているように聞こえます。ただ、それを私が言わなくなったら誰もそういう主張をしなくなるわけですよね。だから、どこかで誰かを否定する可能性があるというのを想定しつつ、その発言に自分なりの信念を持てるか、ということを自分の理性と話し合って発信しています。


「コンテンツ作成が根付いていないフェーズにおいて、社内、チーム内で一過性にならないために工夫されたことは何ですか?特に失敗したからやめておけというものはありますか?」

枌谷

これまでオウンドメディアをいくつか立ち上げましたが、「皆でやっていきましょう」は確実に失敗しますね。うちの今のオウンドメディアは、社員のコンテンツを私が全部チェックし、気になるところは最終的には私が手を入れています。このように、何があっても前進させていく意思がある強いリーダーが必要だと思います。


「信念と執念、とても頭に残る言葉ですね。ここで言う執念とは、良いと思って提案しているものを伝わるまで伝えるというニュアンスですか?もう少し深堀してお聞きしたいです。」

今井

相手の知りたい事を伝えなければいけないとは思うんですけど、コンテンツって成果が出るまで即効性があるわけではないので、やり続けるとか成功させるといった強い意志を持っていないとなかなかやり続けられないことだと思うんですよね。なので、コンテンツを作ることにコミットするという意味で執念という言葉を使いました。



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