スクリーニングで良質な案件を創出する方法

見込み顧客からのお問い合わせに対して行うインサイドセールスの役割の1つに、スクリーニングがあります。見込み顧客からのお問い合わせは、受注に至る確率も高く時間も短いですが、スクリーニングを実施することで、提案のタイミングとして最適か、それとも中長期でお付き合いすべきかを判断できるので、無作為に商談をする必要がなくなります。
その結果、成約に至る可能性が高い良質なアポイントを、フィールドセールスやオンラインセールスなどのクロージング担当に提供することが可能になるのです。ただし、判断基準が曖昧なままスクリーニングしてしまうと、多くのリスクが発生します。そこで今回は、スクリーニングのポイントをご紹介していきます。




目次[非表示]

  1. 1.自社に合致する基準を設ける
    1. 1.1.自社サービスのターゲットを定める
    2. 1.2.市場と自社サービスのフェーズを踏まえる
    3. 1.3.「今すぐ顧客」と「そのうち顧客」を見極める
  2. 2.スクリーニング実践事例
  3. 3.まとめ

自社に合致する基準を設ける

自社サービスのターゲットを定める

サービス開発の段階で、ペルソナ設定やターゲット選定を実施している企業が大半だと思いますが、事業を展開していくにしたがって、新しい利用用途が生まれたり新たな機能が追加されたりすることもあるでしょう。そこで、その時々で正しく価値提供できる企業の基準を決めておく必要があります。

主な手法としては、過去の受失注分析やNPS、LTVが高い企業の傾向を調べることです。

例えば、企業規模や従業員数、売上高がこの水準であればLTVが高い傾向にあるといったときに判断する定量的な指標もあれば、どのような課題感を抱えている場合に受注がしやすかった等の定性情報なども挙げられます。

また、マクロ環境の変化や競合の出現などによっても、判断基準は変わっていく可能性もありますので、クロージングを担当する営業との判断基準の擦り合わせは、定期的に行なっていくのがよいでしょう。

市場と自社サービスのフェーズを踏まえる

市場が活性化しておらず、自社サービスの認知度も低い場合、自社サービスへの問い合わせ数も少ないことが想定されます。こういった場合において、たとえターゲットでない企業から問い合せがきた場合でも、すぐに判断基準をもとに「商談設定をしない」とジャッジするのは早すぎます。

ターゲット外の企業になぜ興味を持ってもらえたのか、どのように利用する予定なのかなどをヒアリングすることで、今後のサービス改善や新たな市場進出のための一種のマーケティング活動になります。

逆に市場が活性化しており、競合や自社サービスの導入も一定数存在する場合、自社サービスのターゲティングもしやすくなってきます。ある程度の問い合わせ数が望めるようであれば、一定の基準に従ってスクリーニングを行うフェーズと捉え、商談設定すべきかどうかを判断することが必要になってくるでしょう。

「今すぐ顧客」と「そのうち顧客」を見極める

スクリーニング後、設定した商談が「たしかに興味があるはずなのに、全然商談が進まない」といった経験をしたことのある営業パーソンも多いのではないでしょうか。

その際には、スクリーニングのためにあらかじめヒアリングすべき内容としてよく挙げられるBANTを使って整理しましょう。

BANT
・Budget(予算)
・Authority(決裁権)
・Need(必要性)
・Timeframe(導入時期)

上記の項目を具体的に解説していきます。

・Budget(予算):導入に向けた予算があるのか、また予算確保ができそうかをヒアリングします。例えば、導入に最低でも100万円必要なサービスに対して、顧客がどうしても10万円までしか予算を取れない場合、価格が理由となり失注になるでしょう。

ただ、Timeframe(導入時期)の項目に記載しているように、顧客の導入時期目安が来年度にあたるのであれば、予算確保のために商談の場をセッティングすることも有効です。

・Authority(決裁権):サービス導入の決裁者を確認するヒアリングです。最終的な決裁者が誰なのか、また、導入推進者が決裁者にどのように提案されるかも聞く必要があります。

決裁者との直接の商談を設定できれば口頭で説明することもできますが、間接的であれば提案書に盛り込む必要も出てくるかもしれません。

同時に、問い合わせた方の役割や職務を確認することで、相手の役割を理解した状態で最適な説明をすることも可能になります。

・Need(必要性):サービスを利用する必要性があるのか、または情報収集なのかを確認するヒアリングです。

ひとえに問い合わせがあったと言えど、すぐに解決すべき課題があるのか、それともそのうち解決すればよいのかによって、受注確度は大きく異なります。この時のポイントは、顧客の緊急度・重要度を踏まえた上で商談を設定するのか、まずは資料送付や電話での説明に止めるのかをジャッジすることです。

・緊急度の確認例

「いつまでに導入しなければならないといった、期限はありますか?」
⇒期限がない場合
「では、いつ頃導入したいといったご希望はありますか?」

・重要度の確認例

1.「課題解決のために、競合含めサービスの導入はすでに決まっている状況ですか?」
2.「導入検討は会社としての方針か、または部署やチームとしての方針でしょうか?」
3.「他の施策も同時に検討されていらっしゃるでしょうか?」

・Timeframe(導入時期):いつまでに導入希望なのかを確認するヒアリングです。例えば、顧客は今週中の納品が必要なのに対し、提供側の在庫が無く、納品まで1ヶ月掛かってしまうような場合は契約には結びつきません。

予算と同様に明確に決まっていない事もありますが、少なくとも目安の時期を確認することで、現段階は情報収集なのか、本格的に検討しているのかわかるケースもあります。

このように、どうしても変更出来ない仕様が顧客にとっての絶対条件となってしまうのであれば、商談を設定することは双方にとって最良の選択とは言えません。ただし、その場合には、次に繋げるための情報をヒアリングすることや、定期的な連絡を入れることで、次の導入検討のタイミングで自社サービスを想起してもらえる状態を作ることが重要です。

スクリーニング実践事例

ここまでを踏まえ、採用管理システムを提供する会社でのスクリーニングをご紹介します。

前提条件

・サービス    :採用管理システム

・特徴      :月額1万円~で競合他社より安価かつシンプルな設計で直観的に理解しやすい

・サービスフェーズ:リリースして2年を経過しており、問い合わせ数も順調に増加中

・導入企業    :総数は400社、内370社が中小企業基本法の定義に当てはまる。また、ほとんどの企業がパート・アルバイト採用で応募の大半を占める

・受注傾向    :価格や使いやすさが認められ、システムを初めて導入する中小企業からの受注が多い

・失注傾向    :複雑な管理が出来ず、応募数が多い場合には希望を満たせずに失注しやすい  

・市場      :成長中で導入企業も大幅に増えているが、一方で競合も多い

 

このような企業の場合、受注傾向に記載のある中小企業をメインターゲットにすべきでしょう。では次に、例を用いて対応を考えてみます。

A社からの問い合わせ例

・企業情報:正規/非正規含め従業員数300名程度。パート/アルバイトの雇用が多く、求人媒体で頻繁に募集を掛けている。

・予算  :月額5万円以内

・決裁権 :決裁者は代表取締役、導入するか否かは経営会議決定。問い合わせは人事部の担当者。

・必要性 :最近採用管理システムを知り、興味を持った

・時期  :よいものであれば早めに導入を検討したい

この場合はターゲットに当てはまってはいますが、必要性が曖昧になっています。また、決定は経営会議で行われるため、担当者がよいと思っても導入がスムーズに進むかはわかりません。

このような場合、一度資料を送ってから導入推進の担当者の所感を伺ってみるべきでしょう。また、話をしている相手が導入推進者でない場合は、決裁者や導入推進を担当する方が商談に同席出来ないかを確認しましょう。同席によって導入確度が高まる可能性もあるため、同席確認は必須といえます。

例えば、主な失注理由に予算の問題が分析結果に出ることもあるでしょう。そういった場合にはスクリーニングの基準を予算に傾けるなど、自社にあった最適な基準を設計していきましょう。

まとめ

スクリーニングで注意すべき点として、あくまで双方にとって一番よい着地点であることが重要になります。単純に自社の見込顧客ではないからと言って無下にしてしまうと、自社ブランドに傷をつける行為にもなりかねません。相手が自社に興味を持ってくれたことを忘れずに、相手に興味を持って真摯に向き合う気持ちを大切にしましょう。

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