【レポート】日本の代表的なベンダーが語る、Sales Tech Meetup#2

2020年4月「Sales Tech Meetup #2」と題したイベントをオンラインで開催しました。

セールステックは、日本国内でも導入企業が急激に増えており、限られたリソースで最大限の労働生産性を生み出すためには必要不可欠なものとなっています。

そんなセールステックをテーマに、営業支援会社セレブリックスの今井をファシリテーターとし、クラウド営業支援ツール「Senses」を提供する株式会社マツリカ 中谷真史氏、オンライン商談システム「ベルフェイス」を提供するベルフェイス株式会社 横山豊氏、DMP専業大手「セレクトDMP」を提供する株式会社インティメート・マージャー 佐伯朋嗣氏、セールスイネーブルメントツール「Sales Doc」を提供する株式会社Innovation & Co. 内田雅人氏の4名が登壇したパネルディスカッションの内容を一部抜粋してお伝えします。


見込み顧客に対する、成果の出るセールステックツールの活用方法

今井
「購買意欲のある顧客ないしは見込み顧客に対して、セールステックツールをどのように活用すると成果が出るのかを聞きたい」と質問をいただいています。どのツールを使うかにもよると思いますが、答えやアドバイスを頂きたいと思います。

内田
これはマーケティングオートメーション(MA)ツールの領域だなと思っています。リードを獲得したとしても、そこから商談に結びつく割合は、数パーセントなので、多くはそのまま流れていくんですよね。獲得したものの商談に結びつかなかったリードに定期的にコミュニケーションをとって、購買意欲を高めてあげる、ということが大事ですね。

今井
見込み顧客、まだ購入確度が高まっていない方には、MAで定期的なコミュニケーションをとって購買意欲を高める、ということですね。

佐伯
僕らがやっているのは、ベンチマークをしている企業やサービスに関するキーワードを検索した企業にも網の目を張るということです。自分たちではまだ直接手が届かない企業であっても、周りに網の目を張っておくことで、「実はこういったものもあるんですよ」と引き込んでいく。例えば、自社と競合のサービス名が含まれるページを見た企業は気になるわけで、もっと言えば、「競合サービス名」+「解約」を検討しているような企業が気になるわけです。そんなキーワード戦略を取っているかなとは思います。


在宅勤務での、インサイドセールス(アウトバウンド)の設計方法

今井
ありがとうございます。
次の質問になりますが「在宅勤務が多い状況の中で、インサイドセールスのアウトバウンドはどのように設計していますか?」

横山
会社の番号にかけてもほとんどは出ないので、これはもう諦めていますね。メールの活用が一番早いかなと思っています。ただ、gmailで一社一社送るのはかなり非効率なので、弊社では、MAツールの他にマルケトの「MSC (Marketo Sales Connect)」というツールを導入しています。たとえば、今日かけるリストが30社あれば、30社のgmail上に一斉送信できるようにしています。もちろん開封したら通知も飛んできますし、どこのページを見たかも可視化できます。

MAは膨大なリストに一斉に送れるツールだと思うのですが、「MSC」は、その日にアプローチしたい特定の相手に送れるもので、インサイドセールス用のツールになります。なので、開封した通知が来た後に電話をかけると反応が良く、コンタクト率とかも30%から40%に上がったりして、成果はありましたね。

電話をする際には、なんで電話をしたのかといった背景も説明して、相手に納得してもらった後にアポ打診をする、というトークを徹底しています。

今井
ファーストコンタクトから差別化を図るわけですね。「あなたにぴったり合う理由はこういう点だと思いますよ」というような、for youメッセージのイメージですね。相手の都合の良いタイミングでメールを見てもらって、メールを見て興味を持ったタイミングでfor youメッセージを送ってくると。参考になります。


セールスのプロフェッショナルならではの営業手法やセールスのモデル

今井
次の質問に移りたいと思います。セールスのテクノロジーを使うプロフェッショナルならではの営業のやり方やセールスのモデルが気になるという質問を頂いてます。

たとえばマツリカさんの場合はどういうやり方で営業の仕方やモデルを作っているのでしょうか?

中谷
最近、営業組織をインサイドセールスとフィールドセールスと一つの組織にしました。「THE MODEL型」の本質は、各人ごとにスペシャリティを高めて生産性を上げていく、という点にあると思っていて、必ずしも、機能ごとに組織を分けることが目的ではないと思うんですね。以前の組織状態では、やはりKPIがアポイント数に置かれるといった感覚になって、どうしてもインサイドセールスからフィールドセールスにバトンタッチするところで精度が落ちてしまっていたんです。

そこで、フィールドセールスとインサイドセールスがタッグを組んで、どうやってアポイントを取ったのかの共有と、その架電に対するフィードバックを実施するようにしました。更にフィールドセールスとインサイドセールスの間に、マネージャーが「ストーリーメーカー」という立ち位置で入って、架電を聞いて「こういうふうな商談をしましょう」といったストーリーを作ります。

このようなことを実践していった結果、3ヶ月で一人当たりの月の売り上げが596%になりました。

今井
マツリカさんでは、マネージャーが、営業を受注に結び付けるための脚本家のような立ち位置で、「こうやってこの顧客に、サービスを使ってもらって成功してもらおう」という画を描くわけですね。


ITリテラシーが低いと言われる日本の営業現場で、セールスツールを使ってもらうための工夫

今井
次の質問に参りたいと思います。これ結構重要な問題だと思うんですけれども、「日本において、セールスツールの導入が進まない理由の一つがITリテラシーの低さにある。日本の営業の方はIT嫌いの人が多くて、ITが苦手だから営業職を選ぶ人もいる。そういう中で、営業現場で各社のツールを使ってもらうための工夫を教えてください」とのことです。いかがですか?

中谷
日本の営業組織、営業パーソンのITリテラシーが低いという観点は、まさにその通りだと思います。そこでボトルネックになっているのは、マネージャーだと思っています。セールステックないしはプロダクトを設計できるITリテラシーとビジネスリテラシーがないと、浸透しない、というのがまず一つあります。

そして、ベンダー側として、プロダクトを浸透させるのはカスタマーサクセスであるというのが重要です。我々のプロダクトのSFA/CRMで言っても、プロダクトが売上を上げてくれるということはあり得ないんです。成果を出すには、必ず人間の考える力と実行力が重要になってきます。むしろどのツールを使うかより、そのツールを「どう使うか」の方が大切だったりするので、カスタマーサクセスが一番重要ではないかな、とは思っています。

今井
カスタマーサクセスをする上で大事なポイントというのは、マネージャーなんですね。極論、もしかしたらこの質問を投げかけてくださった方や意志決定をされるクラスの方々のリテラシーを、まずは高めていくことが社内でテックツールを浸透させる第一歩だ、ということですかね。

中谷
そうですね。なので、契約後にお客様ないしはマネージャーに対してカスタマーサクセスがアクションを起こすというのでは、100%遅いんです。ちょっと聞こえが良いかもしれませんが、営業が意志決定者に対して、営業をしながらカスタマーサクセスも始まっている状態を重要視しないと、導入した後に必ず失敗します。

今井
導入後のカスタマーサクセスではなくて、営業体験の中で、提案されたプロダクトの使い方や解決のシナリオを通して、そもそも自社の成功につながる画が見えているかどうかを大事にする必要がある、ということですね。
他の皆さんでアイデアなどがあれば教えていただきたいです。

佐伯
僕たちの会社は、実際に現場でプロダクトを使う方々にも会わせてもらうようにしています。導入後、営業の方やインサイドセールスの方がいる現場に入らせていただいて、半常駐のような形で一緒に仕事をしています。たとえば、実際に社員さんの目の前で企業リストを出してあげて、「このリストで明日電話をかけてください」といった形でサポートし、離陸するまでの第一歩目を大事にしています。

今井
ありがとうございます。横山さんはどうですか?

横山
弊社でも、セールスでITリテラシーが低い社員はどうしても出てきてしまいますので、インサイドセールスやオンラインセールスで成果を出しているような、SaaSのイケてる会社さんと情報交流会を実施して、「自社の取り組みをこういうふうにやっていますよ」という話をして意識を上げています。なので、他の会社さんとの交流で刺激を与えることも一つの方法かなと思いますね。


個人の営業として有効なリード獲得方法

今井
ありがとうございます。では最後の質問に移りたいと思います。「会社側がマーケティング予算をあまり掛けられなかったりする中で、会社がリード獲得をしてくれたらもちろん良いに越したことはないのですが、個人の努力の中でリードを獲得していく、ということもやはりしていかなければいけない。こうした中で、個人の営業として有効なリード獲得方法は何かあったりしますか?」というようなご質問が来ております。

内田
これ今井さんにも質問したいんですけど、昨今セールス個人がSNSを通して見込み顧客層を獲得できる時代だと思っていまして、こういった手段で、今井さんは結構成功しているんじゃないかなと思っています。そこを逆に教えてほしいです。

今井
僕はセレブリックスのマーケティング活動としてTwitterなどのSNSをやっているんですけれども、自分のもっているノウハウを、一部外に出していくことによって、ファンを作っています。「セレブリックスすごいんだぞ」と言っても、なかなかそれは自分都合で言っているだけなので、伝わらないです。だとすると、「営業のノウハウを持っていて、営業のお困りごとを結構解決してくれる今井っていうやつがいるらしい」と認知されるところから始めて、「この今井っていう人間がいる会社がセレブリックスで、今井はこのセレブリックスのノウハウを使っているらしい」という状態ができれば、セレブリックスという会社自体のブランディングができるんじゃないかなと思って始めたんです。

中谷
私も同じ考えですね。一人ひとりに対してファンが付いて、そこに一つのコミュニティが生まれるんですね。私も、この形が近未来的だなと思います。

今井
これまでのお話を簡単にまとめさせていただきますが、「テクノロジーやテックツールを導入したからといって、テックが代わりに売ってくれるということはないですよ」というメッセージがありました。テクノロジーは目的ではなくて手段であり、どんな目的を設定するかによって、使うツールやそのツールの使い方自体は、各社すべて異なるということを、ぜひ皆さんの心の中でしっかりと受け止めていただきたいと思います。

そして、その企業にとってベストなテクノロジーや使い方を、どのような基準で選べば良いか、その指標の一つとなるのが営業のあり方だと思います。セールステックベンダーさんから、各々の営業手法、その企業さんが描くカスタマーサクセスのあり方についてのお話もありました。

ぜひ皆さんも、このあたりをしっかりと見極めた上でテクノロジーと向き合い、今の環境だからできるセールスといったものを考えていただければと思います。


本イベントの登壇者

クラウド営業支援ツール「Senses」を提供する株式会社マツリカ 
オンライン商談システム「ベルフェイス」を提供するベルフェイス株式会社
DMP専業大手「セレクトDMP」を提供する株式会社インティメート・マージャー
セールスイネーブルメントツール「Sales Doc」を提供する株式会社Innovation & Co.
B2B営業代行業界最大手株式会社セレブリックス

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