「バックオフィス向けのSaaS型クラウドサービス」を販売するリコージャパン株式会社の支援事例です。
後編である『活用編』では、営業代行をどのような体制で活用し営業活動を推進したのか、デジタルサービス企画本部 EDW企画センター バックオフィス戦略室 技術支援グループの茂木様にお伺いしました。
茂木さま
もうじき5年ですかね。
今井
5年ですか。まさに現場の最前線で走られている茂木さんからしたら、5年なんて一瞬なのかもしれませんが、我々としてはある意味5年間変わることなくセレブリックスをご活用いただけていることは、ありがたい限りです。
とはいえ正直なお話…、忖度抜きでかまいません。
セレブリックスの営業代行を途中でやめようと思ったことはありませんか?
茂木さま
実はないんですよね。
社内的なプレッシャーは正直あります。実績との関係性とか費用とか。
でも、業務委託でメンバーを預かっている私としては全くないですね。
今井
ありがとうございます。
セレブリックスのメンバーは、今御社に常駐をさせていただいていると思いますが、どのくらい出社しているのでしょうか?
茂木さま
週1〜2回ですかね。
今井
コロナの影響でその環境が少し変わったりもしましたか?
茂木さま
はい、まさしくコロナで弊社も全国的に一時は出社できない時期がありました。
徐々に出社できるようになってきても、リモートで全国の商談を受けていますので、リモートのスタイルは基本的に変えずに今後もやっていこうかなと思っています。
今井
これまでの変遷を年表のような形でまとめてみました。まず、スタートが2019年10月なので、ちょうどコロナが始まる前ぐらいですね。ここでのセレブリックスとの活動について教えてください
茂木さま
はい。この頃はなるべくリコージャパン社員のセールスの手を使わずにビジネスを作れないかと考えていましたので。スタート時は5名の方に架電から商談、トライアルのフォロー(オンボーディング)までやっていただきました。
今井
何かこの頃で記憶に残っているエピソードはありますか?
茂木さま
とにかく商談に至らない、リードが獲得できないという非常に厳しい時期がありましたね。
今はどちらかと言うとリコージャパンの既存のお客様に対してのアプローチをしていますが、当時は新規開拓が中心で、まだデジタルで請求書発行や受領ができるという認識が少なかったので、リードがなかなか獲得できませんでした。
今井
辛かったですね。この時にセレブリックスからリードが獲得できていない現状に対して「こうしませんか?」とか「こうやってみましょうよ」という提案はありましたか?
茂木さん
たくさんありましたね。
メルマガや架電もそうなんですけど、同じ池に餌をまくだけになってしまうので、「これを使ってください!」とリストを提供いただいたりですとか、マネジメントの方から「リコージャパンの成果を出したい」といくつか提案をいただいたりしました。
今井
ありがとうございます。セレブリックスが営業代行と言わずに『戦略的営業代行』と自分たちのサービスを名乗っているのは、まさにその辺りかなという風に思っていまして、いかに戦略を描いて営業活動をやっても、うまくいかないことってたくさんあるじゃないですか。
正しい戦略のヒントは、営業の現場に事実としてお客様の声をたくさん拾い上げることができる。その拾い上げた声を元に改善活動をすることによって、良い戦略が練り込まれていく。そんな考え方をセレブリックスではとても大事にしています。
「お客様の買わない理由」や「探客」、「リストが命」と常日頃から言っていますので、そういう意味で「このリストにこういう理由でかけてみましょう」と当時ご提案をさせていただいたんじゃないかなと思います。
今井
2020年4月、まさにロックダウンの前月ですかね。
リレーション構築期で取った施策はどんなものですか?
茂木さま
数は少ないながらも徐々に案件や受注が増え始めてきた時期です。
ビジネスとして立ち上げるにはリコージャパンの顧客基盤に対してしっかりとアプローチしたほうがいいよね、という考えのもと営業活動をおこなっていました。しかし、なかなか案件にならない。
マーケティング活動から商談ができたとしても、セレブリックスさんではなく、弊社側の営業担当が付きますので、セレブリックスのメンバーはリコージャパンのセールスに対して能動的に「他にも案件ありませんか?」とコミュニケーションをとってくれたりしました。
今井
なるほど、まさに代理店営業ですね。
まず前提として、リコージャパンさんを経由せずにどうやって受注が取れるかを考えたのが立ち上げ期で、そうではなくて時流も変化しているし、追い風の部分も出てきているし、「リコーグループ全体で売っていこう!」となったのがリレーション構築期のスタートということですね。
茂木さま
おっしゃる通りです。
今井
ただ、いきなり売っていこうと言ってもなかなか売りにくいよねということで、御社とセレブリックスで各リコージャパンの支社の方々に勉強会を開催したんですよね。
勉強会を通じて、サービスが「身近なものですよ」「今売りやすいもの、需要があるもの」と理屈の部分からアプローチしていきました。
ただそれだけでは人は動かないので、リコージャパンの営業パーソン一人一人に直接連絡をとって、「○○さんのお客さまにこういう話持ってくとニーズあると思うんですけど…」とか、「お客さまに提案してくださったんですね、ありがとうございます!」というような感じでコミュニケーションをとって、「お、この人分かってるな」と思ってもらえるような情理的なアプローチも行ったと。
茂木さま
はい。本当に助かりましたね。
今井
ありがとうございます。
最初は営業代行がそこまでやるものだと思っていましたか?
茂木さま
全く思っていなかったですね。
リコージャパンの顧客にアプローチするとなると、すでに関係のあるお客様に対してコミュニケーション取っていくことになるので、かなり難易度が上がると思うんですよね。営業代行の人からしても。
リコージャパンにも直売と、パートナーさん経由の代売というものがありまして、そういった文化もしっかり理解いただけて、できるだけ事故を起こさずに商談進めていただくということを皆さんにやっていただけて非常にありがたいです。
今井
ありがとうございます。
続いて2022年1月、拡販期、そして法律の改正なども影響してきますね。この辺りのこと教えてください。
茂木さま
最初は株式会社リコーの部署でしたが、2020年の10月からその部署ごとリコージャパンに機能移管しました。
リコーにいてリコージャパンのお客様にアプローチするよりは、やっぱり同じ会社のメンバーになった方が風通しもいいよねということもあり、部署ごとリコージャパンの方に移したんです。
その後、いわゆる法改正の時期に差しかかりましたが、ルールも難しかったですし、法律は施行されたもののまだまだ世の中が追いついていなかったので、理由があれば従来通りの保存が認められる宥恕(ゆうじょ)期間が2年間設けられていました。その期間中に、日本全国のお客様に対してアプローチをかけていましたね。
今井
この頃になると商談数は月10件程度から100件まで増加していますね。
リコージャパンの営業の方々も「今これ追い風だ!」ということで商談機会をたくさん作ってくれたのでしょうか?
茂木さま
おっしゃる通りですね。
これまでのリレーションもそうですし、法改正なのでリコージャパンのセールスもお客様に「どちらにしてもやらなくてはいけないものですよ」と提案しやすかったのも理由のひとつです。
今井
お客様のための営業ですね。
この頃になると案件も増えているのでセレブリックスのメンバーも増えましたか?
茂木さま
そうですね。段階的にはなりますが、最終的には13名になりました。1日に3〜4商談程度しかできないこともあり、商談が後回しになってしまうと機会損失になりますので、ここは人を増強することにしました。
今井
東京と関西にメンバーがいらっしゃるとのことですが、時には定例会のような報告会を開催したりしているんでしょうか?
茂木さま
リモートが中心ですけども、グループでの定例や月1での報告会など、きちんと報告していただいています。
今井
この報告会ではセレブリックス側からどんな報告や情報提供がありますか?
茂木さま
定量的なもの、例えば商談件数やトライアル獲得件数、有償化の件数、こういう基本的なところから、支社別での状況まで出してくださっています。
あとは「最近こういうことを言われることが多いです」など、しっかり分析してくださった定性的な内容を報告してもらっていますね。
今井
そういった報告内容が商品施策やマーケティング施策に反映されることもありますか?
茂木さま
もちろんです。月次報告とはまた別に開発陣を含めた定例もありますので、セレブリックスさんのメンバーから「優先順位が高いものはこれです」というような発信もしっかりしていただいています。
今井
お客様の声として機能開発を優先順に「このジャンルで求められていますよ」とか、「これがあると売りやすくなります」みたいな声を出させていただいていると。
茂木さま
はい。
今井
ありがとうございます。最後の段階、2023年5月の育成期に「育成プログラム」というキーワードが出ていますが、これはなんでしょうか?
茂木さま
商談件数の増加に合わせて、稼働するメンバーの増加も必要になってきたので、リコージャパンの支社に我々の分身を作っていきたいと考えました。
そこで教育プログラムを作成し、比較的難易度の低い商談は自社側の分身が行い、難しい商談エスカレーションする体制をつくることにしたんです。
商品に触れたり、ロールプレイングを実施したりして、セレブリックスさんのメンバーがやっていたことをリコージャパンの各支社のメンバーに伝えていくという形を取りました。
今井
このプログラムを作る過程で、セレブリックスはどのように関わったのでしょうか?
茂木さま
プログラム作成だけじゃなく、講師も担当してくれているんです。
今井
なるほど。実際に営業を経験した人間が生々しい情報や実演も含めて、各支社の営業パーソンに伝えることをやらせていただいていると。今までは、「セレブリックスさんと一緒に売ろう(売って)」という関わりが、今はリコーグループ全体でこの取り組みをより活性化させるために売り方を考えたり、売れるようにするというところに関わらせていただいたりしているんですね。
茂木さま
はい、そうです。
今井
ありがとうございます。
これまでの歴史の変化の中でセレブリックスがどのように関わっていたのかがよくわかりました。
今井
最終的には御社も事業目標を達成し、茂木さんも表彰されたと伺っておりますが、それは事実でしょうか?
茂木さま
はい、そうですね。
私がというよりも、御社のメンバー、そして自社のメンバーが色々プロジェクトで頑張っていただいた結果として、代表して私がいただきました。
今井
みんなで勝ち取った表彰。
茂木さま
本当にそう思っています。
今井
ありがとうございます。ただ、成果が出ず苦しかった時期や周りの目が厳しかった時期もあったというお話がありましたが、その時に茂木さんが信じ続けたきっかけや思い があれば教えてください。
茂木さま
そうですね。私自身もプレッシャーを感じていましたし、コロナの影響でやりたいことができない時期もありました。ただ、会社の方針としてデジタルサービスカンパニーを成功に結びつけなきゃいけないという思いがありましたね。
個人としてはとにかく「なんとか成功させたい」「成功する当事者でありたい」というマインドでいました。
私のメンバーもリードがなくて持て余す時期があったと思いますが、色々な提案をいただきながら、立ち上げの時期は一緒に苦労してくれたので、なんとか成果を出せる時期まで頑張ってもらえるように鼓舞していましたね。
今井
ありがとうございます。僕がこのような言葉を使うのはおこがましいかもしれませんが、まさにこの一番苦しい時期を共にした戦友のような感じで僕らのメンバーを見てくださっているんだなというのが伝わります。
茂木さま
そうですね。
いなかったら今はありませんからね。
今井
セレブリックスに対して「もっとこういう部分の改善を期待している」とか、過去に戻れるとしたら「依頼の仕方やコミュニケーションの取り方をこう変えるだろうな」という点があれば教えてください。
茂木さま
そうですね、基本的には満足していますが、あえて言うならばバックオフィスの周辺サービスを今後広げていくとなった時に、キャッチアップしてついてきてほしいなと思います。
今井
なるほど。ある意味、特定の業界や職種に前提の知識を持っている人間がいるとありがたいということですね。
茂木さま
その通りです。
やはりその方が短期間で戦力になってもらえますので。
今井
わかりました。こういったバーティカルなところも我々の今後の課題にしていきたいと思いますし、ビジネスは生き物だなと感じています。契約後に、さらに商品が増えたりお客様の状況が変わったりする中で、柔軟にフィッティングをさせていきたいと思います。
茂木さま
ありがとうございます。
今井
最後に、リコーの挑戦やリコーの営業の魅力、リコージャパンの営業の魅力を茂木さんの言葉でいただけますか?
茂木さま
複合機やコピー機の領域だけではなく、デジタルサービスカンパニーとしてお客様に対して電子化やデジタル化を進めるサービスや商品をどんどん提供していきたいと考えています。
今年度(※2024年度)からは「バックオフィススペシャリスト」という制度も立ち上げており、全国のコーディネートセールスのメンバーが350人以上エントリーしています。これをホームページなどで公開して、お客様にバックオフィスのスペシャリストとしてお声がけしていく予定です。
今井
コーディネートセールスをやられる方々の採用や中途募集は行っていますか?
茂木さま
はい。都道府県の支社単位でも随時行っていますし、本部でもメンバーの募集を随時行っています。
今井
ありがとうございます。
リコーさんの挑戦に魅力を感じ、「その中心に自分も入ってやるぞ!」という意気込みがある方はぜひリコージャパンさんのウェブサイトやリクルートサイトを見ていただけたらと思います。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました!
茂木さま
ありがとうございました。
取材協力:リコージャパン株式会社
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